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「私」という物体

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ライターとしての私とライター以外の私
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記事一覧

誰かに殺されたくて、夜遊びをしてた。

誰かに殺されたくて、夜遊びをしてた。

ずっと、男好きだと思ってた。過去の、あの頃の私。「愛」と名付けた、自分の中の自分。

さみしいから、メル友掲示板で見つけた男と遊びに行って、ヤルことで自分の女らしさを確かめてるんだと思ってた。自分の存在意義を、価値を見出してたんだと思ってた。

でも、本当は違ったんだね。あなたは、誰かに殺されたくて、いろんな男に会いに行ってたんだね。今日、やっと分かったよ。

頭の中に浮かんできた気持ちにどっぷり

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なんで娘の私が「母親の親役」を引き受けてるんだろう

なんで娘の私が「母親の親役」を引き受けてるんだろう

母と出かけると、私がこの人を守らないとっていう気持ちになる。世間知らずなところがあるから、私がフォローしてあげないと。人に説明するのが下手なところがあるから、私が代わりにやってあげないと。お茶代も私が出してあげないと。

そう感じると心がザワザワする。ドキドキする。苦しくなってくる。イライラしてくる。冷静に考えれば、私がしていることは親側の役目だ。それに、今日気づいた。

小さい頃から愚痴を聞いて

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無意識の中に「あの日の私」がいた

無意識の中に「あの日の私」がいた

毒親系の漫画に惹かれて読むけど、読んだ後には心が徐々にザワザワしてくるのが苦しい。触れなかったら、きっと楽。でも、やっぱり興味を持ってしまう。

たくさん思い出す。私が自信を無くした記憶や自分の形が分からなくなった原因の言葉を。それらが頭に溢れてくると、心が苦しくなる。でも、そんな自分に「頑張ったね」という言葉はかけられるようになった。

どれほど、しんどかったかな。生きていけないくらいだったよね

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たったひとつの優しい思い出で「親のすべて」を愛そうと頑張ってきた

たったひとつの優しい思い出で「親のすべて」を愛そうと頑張ってきた

自分では作れなかった、小学1年生の付録を父が組み立ててくれた。

親が子どもにして当たり前な、たったそれだけの優しい行動を心の中で大切にして「ああいう優しさも受けたから嫌っちゃダメだ」と思ってた。その優しい思い出の数に及ばないくらい、酷い思い出のほうが多かったのに「愛してはくれていたはずだから許さないといけない」「全部が全部悪い思い出ばかりじゃないから自分の中で整理をつけなければ」と思っていた。

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分かってしまう痛みがあるから。

分かってしまう痛みがあるから。

裁判の傍聴に行った。父と姉を殺害した20代男性の事件。無心で書いた傍聴記事は、後日公開される。

ライターとして、記事として記すと、中立の立場にならざるを得ない。けれど、私個人の意見として、なんでも言っていいよとの前提で聞かれたのであれば、とても悲しく切ない事件だと思った。

どうしても分かる傷や痛みが多く、被告の生い立ちに自身を重ねてしまうところがあるのは、私自身も複雑性PTSDであるからだろう

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自分を満たせるのは結局、自分だけ。

自分を満たせるのは結局、自分だけ。

ずっと、自分は周りの人よりも下だと思ってた。だから、外を歩くときも視線が怖かった。品定めされてるみたいで。欠点を探されてるみたいで。完璧でないことが見透かされそうで。 

お店の店員さんと話すときも怖かった。自分は下だから、賢いふりをして、わかったふりをしてないといけないって思って。

周りにいる人がみんな完璧に見えた。だから、ロボットになりたかった。完璧な中に、なんとかして混じりたかった。

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「いい子」で殺す喜怒哀楽の価値は?

「いい子」で殺す喜怒哀楽の価値は?

最近、気づいたんだけど、私は何かが起きたり、人から相談をされたりすると、自分の喜怒哀楽よりも、相手がどう感じるか、相手の立場はどうかに重きを置いている気がする。

例えば、姉から職場の人間関係の愚痴を聞かされた時には、物事の全体像を見て、姉はこういうところがあるから、相手はこう思っているんじゃないか、相手の言った言葉はこういう意味もあったのに姉はこういう意味に捉えたんではないかとぐるぐる考えてしま

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一番、弔いたい人だけ弔えなくて。

一番、弔いたい人だけ弔えなくて。

色んな考えの人がいるから、「コロナ」というワードを出すことはTwitterでは躊躇われたので、こちらで改めて記録。

朝7時、祖父の死を知らされた時、ああ、だめだったのか…と悲しかった。昨日、偶然、自分の定期健診で祖父が入院している病院へ行ったので、母と一緒に集中治療室の看護師さんへ状況を聞きに行った。

祖父と同居している伯父夫婦からは、祖父がコロナ陽性で、くも膜下出血や脳出血など、脳に色々な損

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そのディスりは「あなた」の心の問題ですよね

そのディスりは「あなた」の心の問題ですよね

他人の目に見えている自分と、自分が思っている自己像がかけ離れていることに最近、よく気づく。私が思っていた私は、ちっぽけで弱くて度胸も行動力もなくて、ブスで馬鹿で世間から笑われるほど常識がないヤツだった。

小さい頃から、母や姉から冗談交じりでからかわれてきた面長な輪郭や低い鼻が大嫌いだった。私は馬面。おでこなんてとてもじゃないけど、出せない。通り過ぎる人、みんな、心の中で私の鼻の形を嗤ってるんだろ

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結局、生きながら死んでる

結局、生きながら死んでる

心の奥に秘めた感情に耳を澄まさず、悔いている過去に目を背けながら生きていたい日がある。

見て見ぬふりして笑いたい朝があって、幸せだと言い聞かせながら眠りたい夜がある。「幸せ」の味さえ分からないのに。

「私らしい」を探しても、そもそも私が分からないから見つけられない。「これでいいんだ」と言い聞かせても、「うそばっかり」という心の声が脳に刺さる。

死にたいと生きたいと間を、結局いつも彷徨う。ちょ

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涙の痕を探す旅

涙の痕を探す旅

カウンセリングを始めてから、過去の自分に無性に会いたくなる時がある。あの頃の自分は、何をどう考えていて、どんな気持ちを抱いて過ごしていたのか、今の自分視点で知りたくなる。

要らない自己分析が多すぎるのは、私の悪いところ。余計に自分の首を絞めるだけなのに、自分を俯瞰で見ないと納得できない癖がある。

中学生の頃から、そうだった。無邪気に、心のままを書きなぐった日記を読み返しては、自分で自分を罰して

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鎖で縛ったあなたたちには絶対に教えてあげない

鎖で縛ったあなたたちには絶対に教えてあげない

眠れない夜、ひとりでひっそりmixiを見るのが憩いの時間だった。色々な想いと価値観を持つ人が、各々が生きやすいスレッドで住んでいる世界。心地よかった。

リスカをしてても、ODしてても、出会い系がやめられなくても似た辛さを抱えている人がここにはいる。気持ちを話せる。それが、癒しだった。

盛りに盛った自撮りを掲載して、人から何点だと評価してもらうと安心した。他人の目には自分が人間に見えていることが

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灰色の涙

灰色の涙

ひとりぼっちの部屋で待っていたのは、緑のランプ。誰かが私を必要としてくれる、その灯りだけが希望と呼べるものだった。

耳も目も心も塞いでいるのに、流れ込んでくるキンキン声の憎悪と大声の苛立ち。その音に触れるだけで、心は簡単に壊れた。

なにも見たくない。聞きたくない。子供でありたい。大人の世界から、追い出されたい。
届かない願いはいつも、過呼吸に変わった。

わからないのなら、解かろうとするフリを

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じゃあ、あんたは誰かに希望を与えるために生きてんのか?

じゃあ、あんたは誰かに希望を与えるために生きてんのか?

「前向きな記事を」「読んだ人が希望を持てる記事を」
障害者関連の記事を書く時に、よく聞く言葉。これが、嫌い。

なぜ、障害者は誰かに「希望を与える存在」でなければならないのか。
なぜ、混沌とした感情やいま感じている絶望を、そのまま文字に乗せてはいけないのか。
なぜ、ラストは明るく締めないといけないのか。

そんな立派な生き方、求めなくてもいいのではと思う。

誰かに希望を与えるために障害者は生きて

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