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パリ節約自炊生活番外編 美味しいご飯の炊き方(在仏5ヶ月時点最旨)

パリ節約自炊生活も5ヶ月目に突入しました。毎晩ディナーの写真の右上にひっそりと写っているご飯ですが、実は日々試行錯誤を繰り返しやっと美味しいレベルになってきたので、今回は在仏5ヶ月時点で最旨のご飯の炊き方についてお伝えします。制約条件が日本とは異なるので、私と同じ条件で米を炊かなければならない人はそうそう居ないと思いますが、この過酷な状況に陥った奇特な方はぜひ参考にしてください。

◆炊飯器無し、レンジ無し、ガスコンロ無し

まず、炊飯器がない。家電屋さんで売っていますが、我々の在仏は1年の予定なので買いたくない。

次に、電子レンジがない。パリでは、オーブンはあるけどレンジがない家庭が結構存在します。日本にいるときは電子レンジ炊飯器「ちびくろちゃん」(後述します)を愛用しており、わざわざパリまで持参しましたが、完全に出る幕無し。

そして、ガスコンロがない。パリでガスを見かける事はほぼ無く、コンロは電熱かIHです。我が家は電熱で、熱しにくく冷めにくい。まさにメンヘラ女子の恋心のようで、ご飯を炊くときの一気加熱と急速弱火という絶妙な火加減が難しい。この様に、ご飯を炊くには不毛地帯と言わざるを得ない環境です。

◆日本の米が高くて買えない

日本のお米は、日本食材店やアジア食材店に行けば売っています。しかし、そもそも日本のお米は高級な上に輸送費がかかるので、「1日3食2人で15€以下」というルールのパリ節約自炊生活的には買う事ができません。

そこで目をつけたのが以前紹介したパリのスーパーで売られているお米。タイ米、バスマティライス(インド料理で出てくる長いお米)、ライスプリン用の小さめのお米など、タイのスーパーではとても種類豊富なお米が売られていますが、その中でも我が家で愛用しているのが上の写真の“Riz de Camargue”。直訳すると「カマルグの米」という意味で、カマルグは地中海に面する南仏の稲作地帯です。Long grainと記載されている様にジャポニカ米よりは大きいですが、ホクホクした食感は日本のお米に近いです。

そして何と言っても、1Kg入で1.96€(約256円)という激安価格。フランスはパスタもパンもお米も小麦粉も、総じて主食は大変お得で、節約自炊生活の味方です。

見た目はこんな感じ。ジャポニカ米より大きく、黄色掛かっていて、油分が多めです。黒いお米が混ざっていたりと当然日本とは品質が異なりますが、キロ256円なので何の文句もありません。

◆素直に作り方に従っても美味しくない
フランスの米の作り方を読むと、「沸騰したお湯に入れて10分茹でる」というパスタ的な作り方が書いてあり、暫く素直に実践していました。がしかし、パスタで言うとアルデンテな感じ、芯が残っていて日本のお米の食感には程遠い食感です。さもありなん、フランスではお米はサラダのトッピングとして使われる事が多く、付け合わせではないため、もっちりほくほくした食感は求められていないのです。詳細は以前買いた「お米!ご飯!事情」をご覧ください。

◆ついに見つけた!パリの設備とお米に合わせた炊き方。

炊飯器無し、レンジ無し、ガスコンロ無しの設備で「カマルグの米」を炊く…日々試行錯誤しながらその最適解を見つけました。以下、このニッチかつアウェイな状況における現在の最旨炊飯方法です。ちなみにレンジがないので再加熱できないので当然1合炊きです。

①米を研ぐ
まず当たり前ですが米を研ぎます。ところがフランスの米の作り方には「沸騰した中にそのまま入れる」と書いてあるので暫く研いでいませんでしたが、やはり研ぐと雑味が減り旨味がクリアになるので、米を研ぐって大事です。

②水に1時間以上浸ける

日本だと「夏30分以上、冬1時間以上」が定説だと思いますが、粒が大きいので夏の気温でも1時間以上浸けます。上の写真は23℃で1時間吸水させた状態。その前の写真と比較してもかなり吸水して膨らんでいる事がわかります。日々やっていると、膨らんでくれるお米が愛おしく感じます。

③炊飯用の水は1合:110ml

ジャポニカ米では

米:水 = 1:1.1 = 1合(180cc):200cc

が一般的だと思います。この水加減が一番の難関で、何度も試行錯誤した結果、「カマルグの米」の最適配合はこうなりました。

米:水 = 1合(180cc):110cc

粒が大きい分、吸水量もすごいので、ジャポニカ米と同じ分量の水ではべちゃべちゃになってしまいます。そこで1時間以上吸水させた上で水分量は少なめにします。

鍋に入れた状態がこちら。ひたひた、ならぬ、しもしも、な感じです。ここまで準備できたらいよいよ加熱です。

④電熱コンロ2つを同時に加熱し温度差を作り出す

前述の通り電熱コンロはメンヘラ女子同様、熱しにくく冷めにくい。ガスコンロであれば、沸騰した瞬間に弱火に変えるなど造作もない事が、電熱コンロではできません。

そこで編み出したのが、2口コンロ同時加熱法。鍋の乗っているコンロを最大出力で加熱、乗っていないコンロを最弱出力で同時に加熱します。鍋が沸騰する頃には、奥のコンロはガスコンロの“弱火”状態になっているため、沸騰した瞬間に奥のコンロに移します。

奥のコンロに移してから8〜9分すると、それまで吹き出していた蒸気が切れる瞬間があります。その瞬間に鍋をコンロから下ろします。もちろん、蓋は絶対にとりません。

⑤じっと蒸らし、一気に混ぜて、Bon appetit!

ここからは蓋をしたままじっと我慢。8分ほど蒸らせば出来上がり!蓋をとるとホワッとご飯の美味しい香りが漂います。一気に全体をかき混ぜてさらに移したらBon appetit!

◆ない×ない×ない×ない…だからこそ美味しいごはん。

繰り返しますが、炊飯器買えない、電子レンジ買えない、電熱コンロしかない、日本の米も高くて買えない…などという状況は普通の日本人には発生しないので、この記事が参考になる人はほとんどいないと思います。ですが、どんな状況でも、どんな外国で生活しても、工夫次第で美味しいご飯が食べられるという事をお伝えしたくて、細々と作り方を書きました。

日本のほかほかしたご飯があんなに安い価格で食べられるのは、奇跡的に幸せな事です。朝昼晩に、もっちりホカホカのご飯が食べられれば、それだけでとても幸せな事だなと、パリ節約自炊生活では改めて感じるのでした。



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