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フランス最大級の農業見本市 Salon International de l'Agriculture 潜入レポート_パリ節約自炊生活番外編

フランス最大級の農業見本市「Salon International de l'Agriculture」に潜入してきました。フランスの農用地面積は国土全体の52%、EUの農業生産額全体の18%を占め、農産物輸出額は世界第5位という、言わずと知れた農業大国です。
そんなフランス最大の農業見本市は、まさに大イベント。初日にはマクロン大統領も駆けつけ、長時間に渡り出店者に声をかけたり、マスコミにもみくちゃにされたりしていました。そしてこの見本市、政治家や農業関係者だけでなく、入場料を払えば一般の人も参加できます。色んな動物や食べものが大集合という事で、右を向けば動物園、左を向けば大宴会。ベビーカーの家族連れから小学生の課外授業、そして赤ら顔のお父さん達と、様々な人達でごった返していました。
そんな農業見本市の潜入レポートを、動物の写真満載でお送りします。

◆Salon International de l'Agricultureとは?

東京ドーム3倍の広さを誇るパリ市内催事場Porte de Versaillesで毎年開催される農業見本市。フランス国内はもちろん、アジアやアフリカなど他国の出店エリアもあり会場は熱気に包まれます。

農業と言ってもその範疇は幅広く、野菜・果物・畜肉・チーズ・ワイン等の農産品や加工品、農機具、家畜の品評会、ペットコーナー、ガーデニングコーナー、環境問題関連団体の展示等、多岐に渡ります。
展示内容も様々で、牛の品評会、セミナー、TVの生中継、お料理体験、物販、試食、レストランブースと多岐にわたり、1日あっても回りきれないほどです。
今回はその中でも、動物と食べものを中心にお伝えしたいと思います。

◆色んな動物大集合

まず第一パビリオン入って最初に目に入る(というか鼻に入る)のが広大な牛さんコーナー。牛ってこんなに種類がいるんだなと感心するほど、たくさんの種類の牛が並んでいます。柵もないので、撫でたり写真を撮ったりする家族連れで人だかりができています。

続いて羊、山羊コーナー。生まれたての赤ちゃんも一緒に展示されていて可愛らしいです。

続いてウサギコーナー。こちらも様々な種類のウサギが展示されています。写真はたまたま向かい合っていたスフィンクスウサギ。かわいすぎる…

こちらはモコモコウサギ。毛がモコモコし過ぎて、おじいさんのようです。ウサギブースの一部ケージは空いていたので、もしかしたら買われて行ってしまったのかもしれません…フランス人のウサギ好きについては、以前書いたこちらの記事もご参照ください。


最後に、何だか分からない鳥。なんだこれ…

◆色んな食べもの大集合

続いて食べものコーナー。代表的な農産品ではハム・サラミ・チーズ・ジャム・ワインなどのブースが幅を効かせていて、どのブースも試食や試飲ができるため、昼間から出来上がっているお父さん達で熱気ムンムンです。第3パビリオンは全体が農産加工品の展示になっているのですが、展示というよりもはやオクトーバーフェスト会場状態。
あまりに人が多すぎて第3パビリオンの写真は撮りそびれましたが、お得に美味しいワインやビールが楽しめるので、街中のカフェで飲むよりオススメです。

こちらは第7パビリオンにあったブラジルが出店しているレストラン。このように広いスペースで本格的な料理を提供しているお店もたくさんあります。会場内に漂う料理の香りがたまらなく美味しそうです。

パリにもありました、バナナの叩き売り。1房1.5€(約191円)というなかなかお得なお値段ですが、全部売り切らないと帰れないのか、通行人を止めてまで売りさばいていました(笑)

◆色んな展示が大集合

こちらは農産品コーナーで見つけた、野菜で作ったエッフェル塔。フランスらしいです。

こちらはプレイステーション4のゲームで、農業体験ができるソフトだそうです。土をおこし、種を蒔き、水をやり、敵が出てくる訳でもワープするわけでもなく、淡々と進行するガチ農業ゲームで本気度を感じました。

この見本市の幅広さを感じる展示がこちら。電気自動車の展示です。農業関係者だけでなく、環境問題やエコなライフスタイルに感心のある一般の人もたくさん集まるので、この電気自動車の展示も関連性が高いのでしょう。

◆AGRI 4.0

最後に、フランスらしいなと感じたブース「AGRI 4.0」について。写真のパネルにあるように、農業×イノベーション、農業×スタートアップ、農業×デジタルというキーワードの出店者が紹介されているブースです。
もちろん第3パビリオン(宴会会場)や、第1パビリオン(動物園)のような盛り上がりはありませんが、このようなブースを儲けるあたりが、新しい技術を取り入れて戦略的に農業を発展させようとするフランス政府の意志を感じます。

中でも面白かったのがこちら。エア・リキード(Air Liquide)という産業ガスメーカーのブースですが、展示されているのは「myfood」という省スペースの温室です。
「myfood」は自宅の庭やベランダで一年中、化学肥料を用いない野菜を栽培できます。温室内の環境はアプリで確認し遠隔操作できるほか、何か問題があればアプリを通じて専門家に簡単に相談でるそう。大型の温室(593×380cm)では、年間最大400kgの生野菜生産が可能だそうです。

面白い事にこの「myfood」は、アプリによる環境管理も含めて月額制のサブスクリプションモデルのようです。ガスメーカーならではの発想であり、新しい農業ビジネスモデルの形かもしれません。
フランスでもフードレマイレージの問題や、パリを中心とした首都圏(Île-de-France)の食料自給率は他の地域に比べて低い事が問題視されていて、省スペースで新鮮な野菜を生産する事についての関心は高まっていてるので、この「myfood」は今後注目されるかもしれません。

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