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【追悼】小澤征爾&ベルリン・フィル、晋友会合唱団/オルフ:カルミナ・ブラーナ

2024年2月6日、世界的な指揮者・小澤征爾さんが逝去されました。
ずいぶん長いこと元気で指揮をする姿を見ていなかったこと、24時間態勢で看護を受けているという情報を聞いていたので、こうした日が近いことは覚悟していました。でも、実際にその日が来てみると、やはりとても寂しくもあり悲しいです。
「CD、DVD、Blu-ray視聴記」を始めて早々に追悼特集を組まないといけないのも切ないことですが、CDやDVDでの小澤さんの名演を紹介しながら、小澤さんを偲びたいと思います。
小澤征爾さん追悼特集の第1回は、小澤さんがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と晋友会合唱団を指揮して録音した、オルフの「カルミナ・ブラーナ」。

ベルリン・フィルの強力な合奏+圧倒的な表現力の合唱

ジャケット 録音に先立って行われたコンサートのPhoto

<曲目>
カール・オルフ:世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」
 導入:世界の支配者フォルトゥナ
 第1部:春
 第2部:居酒屋にて
 第3部:睦言、ブランヅィフロールとヘレナ
 結尾:世界の支配者フォルトゥナ
ドイツの作曲家カール・オルフ(1895-1982)がベネディクト・ボイレン修道院に伝えられる中世の詩歌をテキストにして作曲したカンタータで1937年初演。
明快にして強烈なメロディーとリズム、色彩的な管弦楽の響きにのって、春の喜び、居酒屋での陶酔と乱痴気騒ぎ、男女の愛の交歓が、高らかに歌われる。
<演奏者>
Sop:エディタ・グルベローヴァ
Ten:ジョン・エイラー
Bar:トーマス・ハンプソン
晋友会合唱団 ベルリン・シュターツ&ドム少年合唱団
合唱指導:関屋晋
指揮:小澤征爾
<録音>
1988年6月25-26日 ベルリン・フィルハーモニー・ホール

「カルミナ・ブラーナ」のCDは数多発売されていますが、小澤&ベルリン・フィルが演奏したこのCDは、ベルリン・フィルの強力な合奏と表現力豊かな合唱が聞きもの。
「カルミナ・ブラーナ」の演奏は、金管楽器や打楽器を強奏して迫力あるものが多いですが、ベルリン・フィルは金管・打楽器ももちろん強力なのですが、弦楽器群がそれにもまして強力かつしなやかです。うねり、刻み、押し寄せてくる弦楽器の響きが金管&木管&打楽器群とせめぎ合い、オーケストラを聴く楽しみを満喫させてくれます。
合唱の主力となる晋友会合唱団は、合唱指揮者・関屋晋(1928.7.6-2005.4.6)に指導されている首都圏の合唱団の連合で、この演奏を聴いたベルリン・フィルの音楽監督ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908.4.5-1989.7.16)が晋友会合唱団の精緻にして力強い表現力を誉め讃えたと伝わっています。

小澤征爾は同じ1988年6月15日(この録音が行われる10日前)に新日本フィルハーモニー管弦楽団と晋友会合唱団を指揮し、東京文化会館での舞台上演形式で「カルミナ・ブラーナ」を上演していますが、これも聞きものです。台本:大岡信、語り:平幹二朗、演出:実相寺昭雄とスタッフも超強力です。平幹二朗の語りが超おどろおどろしくて最高!(←誉めてます)
ただしオーケストラの力量は、ベルリン・フィルと比べると残念ながら落ちます。Youtubeに映像がUPされています。ORFF Carmina Burana (youtube.com)

小澤とベルリン・フィルは、1989年12月31日に再び晋友会合唱団とともに「カルミナ・ブラーナ」を再演しており、やはりYoutubeに映像がありますが、このCDほどの熱っぽい迫力はなく、ソリストの歌唱もこのCDの方が上です。

<次回予告>
・小澤征爾&ベルリン・フィル:ヴァルトビューネの森コンサート「ロシアン・ナイト」

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