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2023年面白かった漫画6選+α ~2024年はこれを読め!!~

田中一行 /『ジャンケットバンク

引用元: https://x.com/itch_itch/status/1328981317904568320

普段はお絵描き系VStreamerをやっている者です

去年読んだ、長期休暇に読めそうな漫画を挙げていきます(順位はないです)
あなたの好きな漫画はあるかな? あるなら私と語らいましょう! 語らってください!!
私の配信では雑談で漫画語りをしながらお絵描きやゲームをしているので、いつでも気軽に話しかけに来てください!

じゃーいきますよー 後日続きを書くかもです
セールやキャンペーンの情報は2024/3/15時点のものとなるので注意です




ジャンケットバンク

ジャンプ+で初回全話無料。
今最も熱いギャンブル漫画。
ギャンブラーにはそれぞれ職業を持つ者(医者、画家、配信者、神父など)が多く、それらを背景にした心理戦と同じくらい小気味よく展開される罵倒合戦のバランスが良い。田中先生のインタビューによると、台詞回しの多くは私も大好きなカードゲーム「Magic: the Gathering」からインスピレーションを得ているそう。
イケメン我慢比べとも評される「互いに手の平を突き刺し合う」「毒と解毒薬を飲み合う」「部屋の気圧を加圧/減圧する」といったお互いに負荷を掛け合うバトルの中で、主人公の「真経津晨(マフツ シン)」は作中でもトップクラスに掴み所のない、謎多きキャラとして描かれておりもう一人の主人公である平の銀行員「御手洗暉(ミタライ アキラ)」らを介してその謎を推し量っていくのも面白い。
主人公の真経津はギャンブル漫画の中でもあまり類を見ない「耐久型ギャンブラー(あるいはタフツさん)」とネット上で話されており、あえて1ラウンド目で負けることでルールの穴を見破る・相手にブラフを仕掛けるなどちょっと変わった自身のスキル(どのような能力なのかも謎に包まれているが…)を駆使したギャンブル漫画らしい戦術ももちろん見どころだし、その極限バトルを通してクセ強で強力な仲間や敵との奇妙な絆が描かれる。
極限環境下でのバトルって嘘やブラフが剥がれた人間の本質が表れるから「いい」んだよね。地下の舞台で行われるギャンブルゲームは銀行が主催しており、この世のあらゆる道楽をしゃぶり尽くした結果、もはや人の業や生き死にを見ることでしか楽しめなくなってしまった暗黒金持ち達向けの余興という設定なので、読み手の貴方も暗黒金持ちになった気分で「推しギャンブラー(または行員)」を見つけよう


寿エンパイア

マンガワンで無料(チケット制)
寿司がテーマの料理バトル漫画。
江戸前寿司はただ新鮮なネタを握るというだけではなく熟成やヅケなどの「仕事」で勝負が決まるということをよく説明していて、3Dプリンターで魚介類のタンパク質や米の成分を転写して作る「未来寿司(現実にもコンセプトレベルで存在している。参考:https://gendai.media/articles/-/88688)」も大真面目に取り扱っており新時代の寿司文化に正面から向き合っているのが好印象。
前作の「バンビーノ!」は強烈ないじめ描写が多くて敬遠していたが、こちらではかなりマイルド(でも女将はめちゃくちゃあくらつさがある)。苦境でも底抜けに明るい主人公に、読む方もページを読む手が進むことだと思う。ところどころ不穏な設定が見え隠れしているし重要なタイミングで主人公の心を折りに来る事実や出来事が生じるが、主人公はもちろん基本的に皆が寿司に真摯な明るい料理バトル漫画なので万人におすすめできる。
『マッズ! 金沢で寿司を握っている俺によくこんなものを食わせたな?』でお馴染み、Xでもスピンオフ漫画がバズった先輩キャラである「児島さん」は特に見どころ。前述の一見悪辣なセリフも彼の経験や性格といった裏があり各キャラの描写も丁寧なので是非読み進める中で紐解いてほしい。
そして、この漫画タイトルの意味とは…!?


追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~

マガポケで無料(チケット制)。通称チー付与
同名のWeb小説のコミカライズ。なんだけど、登場人物や設定やストーリーが原作者公認で大幅変更されており、漫画作者の作家性による独特の描き味がSNSで話題。
なろう系でよくある追放系テンプレに沿った展開…と見せかけて深い設定や騙し合いがギャグチックに描かれる。
ギルド長に「追放が流行ってるしオレも追放するか!」で追放されてしまった強化付与術師の主人公レインが、気ままに冒険したかったはずなのにあることをきっかけに国家を巻き込んだ大騒動を起こしてしまうといったストーリー。
レインの強化付与は確かにチートなんだけど数々の欠点もあり、別にそれで気ままで平穏なセカンドライフを謳歌できるわけでもなく、多くの人の様々な思惑が動いて大問題になってしまうのが納得できる形で描かれていて、漫画がうまいなあと唸る。
キャラ一人ひとりの背景や心理描写がしっかりと描かれていて、たとえば「パーティーやギルドに参加するにはこういう後ろめたい思いがあって…」みたいなのがある。それをレインが持ち前の変人さで氷解させていく。
また、「何の意味もないキャラ同士のじゃれ合い」を描くのがうまい。たとえば意味もなく他のキャラのマネをして周りがそれに乗っかって囃し立てたり突っ込んだり。こういうのは「仲が良い」という描写のために実は必要なシーンだったりするんですね。
現在の「半グレ編」では冨樫ばりの超高レベルな組織間の心理戦が展開されているので、能力ファンタジーバトルが好きな人は必見。


ふつうの軽音部

ジャンプ+で無料連載中。同名の原作はジャンプルーキーに。
タイトルに違わぬ等身大の軽音部高校生の青春を描く。
私自身に軽音部経験は無いですが、「これこれ! 高校部活や高校生活ってこうだったよね~!」的にあるあるネタが嫌味なく散りばめられており、同時に「〇〇さんって□□らしいよ」のようなありがちな噂話を介してキャラの性格や人間関係が細かく描かれているので、思春期の高校生特有の悩みや葛藤に共感できるようになっている。
たしかに軽音部自体は「普通」なのだが、それに所属するキャラたちは個性が強い。主人公も浮いた話もないロックに憧れる陰キャオタクを自称しているが、音楽に真摯で自分の未熟さに正面から向き合って成長し、先輩を頼ることや『どしたん? 話聞こか? 的な…ね』と時には周囲を巻き込むこともできるので十分な魅力がある。離婚や引っ越しなど、親の都合に振り回される事への叫びや、親の都合別居している父親(ロック好きも父親の影響だったりする)への思いが漏れるシーンではほろりと来るものがある。
お気に入りキャラは桃ちゃん。かわいい容姿と明るい性格で友だちが多く誰もが認めるクラスの一軍女子。中学からの友人と3ピースバンドを組んでいるが、友人たちの恋愛事情に振り回され(彼氏とのデートがあって一緒に遊びや練習できないなど)自分だけ取り残されている疎外感を悩みとして抱えている。桃ちゃんをはじめ、つい強い言葉で口論してしまうのだが内心では「相手の方が正しい。自分は子供っぽい我儘を言ってるだけだ」と一歩引いた考えも持つ等、「大人になりつつある」微妙な時期の人間を描けているのが他にあまりないな~と思う。尊いな~


バンオウ-盤王-

ジャンプ+で無料
物語がクライマックスに差し掛かっているので今書くしかないでしょう。
300年間将棋を打ち続けたアマチュアの吸血鬼主人公が行きつけの将棋会館に恩を返すため、永い吸血鬼生の中で一度きりの竜王戦に挑む話。
前編を通して将棋や人間を「好き」であることが強さになるということに説得力が強い漫画だと思う。
龍と苺でも言われていたけど、プロ棋士は膨大な棋譜を持っているので常に研究対策されるリスクを背負って戦っているわけで、過去の棋譜がない・かつ何百年もの他者の棋譜を見てきた主人公の月山にもアドバンテージがあるという「勝つ理由・負ける理由」が常にしっかりしているのでふわっとした読み方にならないのが良い。ある意味リアリティがあるというか
人間ってすごい! と嫌味なく相手に対するリスペクトを欠かさないのが良い。対するプロ棋士たちも主人公に対して、気に入らないこともあるが将棋盤の向こうに座られた以上、全力で戦うという姿勢にプロ精神を見た。
同じく吸血鬼の友人(?)が記者の立場から「将棋のことはよく分からないが主人公の勝つ姿と負ける姿を見たい」一心で描写されているのだが、ギャグチックでもあるため将棋がわからなくてもその様子を見るだけでも我々読者としては置いてけぼりにならず、同じ視点で楽しめる。現代将棋ってAI評価値もあるし素人でも楽しみやすいんだよね。「現代将棋の楽しみ方」に真っ向から取り組んでいるので、そういう意味でもすごい漫画だと思う。


乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ

ピッコマで待てば無料。完結済み。異世界ビーダマンではない

15世紀のボヘミア王国(現在のチェコ)で起きた、神聖ローマ帝国が率いる十字軍対プロテスタントの先駆であるフス派による「フス戦争」を題材にした戦記漫画。チェコの書店では翻訳版が取り扱われているほど知名度があるらしい
1話からいきなりとんでもない残虐騎士(幼女を強姦して何人もの子宮を破裂させた実績あり)が出てくるので、いきなり読み手のレベルを合わせる必要が出てくる(逆に初めて読む人にとっての門番として最適ともいえる。こういうの苦手な人にとってはトラウマものなので注意)。これを読むとベルセルクってダークファンタジーの顔してちゃんと少年漫画してたんだなと思わされる
宗教対立・戦争・飢餓・疫病・寒さなどなど、当時の環境が非常に細かく書かれており王も民もとにかく大変。その中で異常なほど前向きな主人公シャールカが光を放つ。まさに聖女
似た残虐描写のある「狼の口~ヴォルフスムント~」ほど露悪的でもなく、誰も彼もみんな生きるのに必死だったという事がこれでもかと描かれており読後感はさっぱりとして悪くない
日本に種子島が伝来する100年も前。その時に初めて「笛(ピーシュチャラ。ピストルの語源とも言われる)」という名で銃(ハンドカノン)が実戦投入された様子が描かれる。非常に恥ずかしながらこの時に活躍した傭兵の英雄ヤン・ジシュカを知らなかったので、この漫画内での八面六臂の活躍を見て「なんで今まで知らなかったんだ…これもう近代兵法の父と呼んでも良い戦術家だろ…」という感想。中世は文化の暗黒時代と言われていますが、騎士の腐敗と共に戦術と呼べるものも廃れてしまっていたんですね。マジで名乗りを上げて並んで騎馬で突撃するのが正道とされていた時代。ヤン・ジシュカは「笛」を見て、農民や女子供だけでそんな十字軍の騎士を勝てると考えたという。その仰天の戦術とは!
戦術や戦記物が大好きという人にはぜひおすすめしたい。外伝含め当時の理解が深まったし読んでよかった。お気に入りキャラはサーラ。


以上です


番外: 書ききれなかった漫画

以下後日書くかも

サチ録~サチの黙示録~

絶対BLになる世界 VS 絶対BLになりたくない男

鵺の陰陽師

グリーングリーングリーンズ

魔法少女にあこがれて

うめとももの普通の暮らし

Duel Masters LOST ~追憶の水晶~

ニクバミホネギシミ

カードゲームうさぎ

雷雷雷

    番外1: 完結済み漫画

嘘喰い

鉄鍋のジャン

     番外2: 2024年注目漫画

紅魔館の女たち



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