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言葉から始まるコメディー演劇をやろうと思います。

こんにちは、「ゆーの」こと田中優之介です。

ここまで、連続3回にわたって演技を考えるアクティビティを紹介してきました。お読みいただいた方は、本当にありがとうございました。



これらのアクティビティは、全て劇団パジャマパーティーの稽古場で実践されたものです。今日は、来週末に迫った今回の公演で僕たちが何をやりたいのか、ということをお話しさせていただければと思います。

少しの間だけ、お付き合いください。


脚本に立ち返りつづける

僕は今回脚本家として、徹底的に脚本に立ち返ることを稽古場で求めつづけました。

・書かれているものを、自分本位に変えないこと。
・言葉を言えない、という感覚を無視しないこと。

おもにこの2つを大事にしてほしいと、役者にお願いしつづけました。


これらを大事にすることは役者にとって、とてもとても辛いことです。

「うーん、よくわからないなぁ」という思いを抱えたまま、言葉を発話しなければならないのですから心地いいはずがありません。

しかし、だからこそ役者は活きるだと僕は感じます。

「もっと納得感を感じられる読み方はないのか」
「ここは、違った解釈で読めるのではないだろうか」

稽古期間中、全ての役者がノンストップでこのような試行錯誤を行いつづけました。


このようにして役者の創造性が発揮されたことにより、日々新しい意味づけが生まれ、当初から変わらなかったシーンは一つとしてありません。


もちろん、上演の際には僕たちが見つけた数ある意味づけの中の1つしかお見せできません。

しかし、先述の試行錯誤の数だけ役者の演技と台詞のあいだの豊かな結びつきがあります。これは、僕が思う今回の見どころの1つです。

れっきとしたコメディーでありながらも、舞台上での言葉と演技のかろやかな交わりを楽しんでいただけるのではないか、と期待しています。


ポップなコメディーに成形する

演劇を上演するうえで、もうひとつ大事な要素があります。

それが、「成形すること」。これは、演出家の役目です。

言葉を大事にしようとすると、脚本に引っ張られすぎてしまうことがよくあります。つまり、演技が言葉をただ再現するだけに終わってしまい役者の創造力がうまく生かされていない、というような状況です。

このようなとき、劇全体の方向性を示し、形を整えていくのが演出家の仕事です。


今回の脚本は、シェイクスピアが書いた『から騒ぎ』(Much Ado About Nothing)を僕が翻訳・改変したものですが、その文体や口調は現代に生きる我々にとって日常的なものではありません。

稽古中盤。役者は脚本を大事にしようとするあまり、「時代っぽさ」が先行した喋り方や、重苦しい身体に囚われてしまっていました。

そこを、ポップなコメディー調に成形したのが演出家・吉武でした。

脚本を読み込んでいた役者にとってある種破壊的とも言える演出方針を示すことで、役者を脚本解釈の底なし沼からすくい上げ、

「あくまで、腹から笑えるコメディーであってほしい」

という太い軸を示したことで、皆さんにお見せできるレベルにまで体裁が整った気がしています。


最後に

「気軽に楽しめる作品でありたいね」
「でも、笑えるだけでは終わらない作品でもありたいね」

劇団結成前、僕は吉武とそんな話をよくしていました。

今、まさに「気軽に楽しめるけど、観終わったあとに感じさせられるものがある作品」を創れている気がします。


最後に、内輪事ですが劇団員への感謝の気持ちを述べさせてください。

本当にうまくいくのかどうかもよくわからないような理想論をいつも聞いてくれてありがとう。僕は、みんなと演劇ができてとても嬉しいです。そして、もうすぐみんなで創ってきたこの劇を無事上演できそうなことが本当に楽しみでたまりません。

スキル、性格とかいうただの一面ではなく、この劇作を通して僕はみんなと、一人一人の人間として一緒に関われたことを誇りに思います。今回の仲間が、みんなでよかったです。誰一人欠けても成立しないこの劇を、無事終演までもっていきましょう。


皆さん。ぜひ、大笑いしにきてください。

そうして、ちょっと考え事をしながら帰り道の夜空を仰いでくれたらなぁ、と思います。

10月11日〜14日。
東京大学駒場キャンパス駒場小空間でお待ちしております。


チラシ

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宣伝文

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劇団パジャマパーティー

旗揚げ公演「から騒ぎ」

舞台は、スペイン領シチリア島メッシーナ。
戦から帰還した青年クローディオとベネディック。クローディオは街の知事の娘ヒーローに思いを寄せ、頑なに独身主義を貫くベネディックは、これまた男嫌いのベアトリスと果てしない小競り合いを繰り広げる。
順風満帆だったクローディオ&ヒーローにある陰謀が襲いかかる一方、ベネディック&ベアトリスはある“事件”をきっかけに熱愛関係に?!
どこか愛したくなるような間抜けな人たちが繰り広げる恋と勘違いのコメディー。

原作: William Shakespeare
脚本:田中優之介
演出: 吉武沙織

◇日程
10/11(金) 19:00-
10/12(土) 14:00-/19:00-
10/13(日) 14:00-/19:00-
10/14(月) 19:00-

◇会場
駒場小空間
(東京大学駒場キャンパス内多目的ホール)

<アクセス>
京王井の頭線「駒場東大前」駅東口より徒歩7分
会場までの道のりが大変分かりにくくなっております。お時間に余裕を持ってお越しください。受付開始は開演45分前、開場は開演30分前となっております。
料金無料カンパ制・予約不要

◇Twitter
@pajamaparty2019 #パジャパ

◇お問い合わせ
Tel: 090-3720-9105(制作)
Mail: 2019pajamaparty@gmail.com

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