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バインミーを巡る冒険

ぼくには、好きなものができると、そればかり摂取する性質がある。高校の購買で買うのはいつもピタパンだったし、学生のときは毎日C1000タケダのビタミンウォーターを飲んでいた。新卒のときは毎朝モーニングショットを飲み、デスクでガルボを食べていた。

これは、イチローのカレーやおにぎりやピザのような、こだわりだとかルーティーンだとか言われるかっこいいものではまったくない。ただただ「まずいものを食べて損をしたくない」という、極めてケチくさい精神性がそうさせるのである。

ただ、どうやら最近自分の中で「損」の基準が変わってきているようで、コンビニで買うお菓子なんかは、多少の冒険ができるようになった。これは、間違ってむちゃくちゃまずいものを食べたとしてもやり直しができるからである。金銭的にも、胃のスペース的にも。それでもまだ、ハーゲンダッツの季節限定フレーバーは迷う。あれを躊躇なく買えるようになったとき、ぼくは経済的自由を感じるような気がする。

このケチくさい精神が如実にあらわれるのが、ランチである。

弊社のオフィスがある神保町という街は、働く人にとって都内有数のランチ天国であり、すなわち出店者にとって地獄(競争がはげしい)の街なのだ。だから神保町は大丈夫。本当にレベルが高く、ハズレがない。安心して冒険ができる。

問題は自宅近辺でのランチである。自転車通勤をしているぼくは寝坊した日、道中でランチを食べることにしているのだが、このときの選択肢が大久保か高田馬場かということになる(自宅の位置はなんとなく察してください)。どっちも多国籍なレストランがひしめき、正直言って当たり外れがはげしい。冒険しにくい。ハーゲンダッツで失敗したくない人間にとってあまりに過酷な土地だ。

なので、つい「ベトナムちゃん」に入ってしまう。都内でも有名なベトナム料理店であるこのお店、フォー、サラダ、揚げ春巻き、生春巻きがセットになったボリュームのあるランチは、何度食べても飽きないし、何度食べても前の晩から楽しみになるぐらいにおいしい。

しかし最近、一度だけ冒険をした。そしたら、この牙城を崩しにかかる勢力があらわれた。「バインミー」である。ベトナム発祥のこのサンドウィッチは、トーストして中がやわらかくなったフランスパンに、焼いた豚肉、エビ、パクチー、たまご、きゅうりなどがはさまれたもの。ソースがあまじょっぱいベトナム料理らしい味をしており、たいそうおいしい。

ぜんぜん知らなかったのだけど、高田馬場駅周辺は徒歩5分圏内に3軒のバインミー専門店がひしめいており、日夜バインミー戦争を繰り広げているらしい。それぞれテイクアウトが可能とあって、ぼくはいま日替わりで各店をまわる、バインミーサーキットを開催している。今日が3日目だった。

しばらく食べ続けようと思うので、各店の正解がわかったらまた書きます。今日、本当は別の、もっとまじめなnoteを書く予定だったのですがそっちが書き切れなかったので、バインミーでお茶をにごしました。

ちなみにバインミーというのはベトナム語で「パン」という意味らしいです。ぼくは、パン屋めぐりをしているのです。