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「かわいがられる後輩」が実践している4つのこと(ひとつは上級者向け)

鼻の風邪をひいた。「もうひいてるから、逆にうつらない」という論理で極力普段通り行動していたら、今度は喉にきた。医者に行くと「二重感染ですね」と言われた。知らない言葉だった。ひとつ賢くなった。

そんな年の暮れ。

少し時間が経ってしまったけれども、12月19日(火)に行った「 #パラレル親方 」について振り返っておきたい。

※タイトルの内容は最後の見出しの部分にあります。そこだけ読んでも意味が通るようにしてあるので、お急ぎの方はスクロールしてどうぞ。

パラレル親方とは

パラレル親方とは、株式会社Huuuu社長で「ジモコロ」編集長でもある徳谷柿次郎さんが発起人となってはじまった、編集者・ライターの複数名同時並行徒弟制度(←ぼくの理解です)のことである。

書き手を求める編集者(親方)と仕事を求めるライター(弟子)。両者をマッチングさせることが主な目的ではあるものの、いわゆる徒弟制とはちょっと違う。何が違うか。ひとりの親方が複数の弟子の面倒を見るのはもちろん、弟子側も複数の親方に教えを乞うことを推奨しているのだ。

実践できれば、双方のリスクを小さくすることができる。親方は弟子の人生をひとりで背負い込まずに済むし、弟子側もひとりの親方に依存しないので、搾取構造に陥る可能性が低いのだ。

「いや、それは双方覚悟が足りないでしょうよ」とか、「都合良く労働力として使うだけでは?」、「体の良いやりがい搾取だ」といった指摘は水面下にある気がするが、少なくともこの仕組みを思いついた徳谷柿次郎さんは利他と当事者意識の権化のような人なのでよこしまな心は一切ないと断言できる。

柿次郎さんから「一緒に親方として出ませんか?」と言ってもらえたときはすごく嬉しかった。なぜならこのプロジェクトは、成功が約束されたものではないからだ。未知の冒険に「お客さん」は連れていけないし、「役立たず」などもってのほかだ。期待値込みだとは思うけど「頼れる仲間」と認識してもらえているのが嬉しかった。

全国から精鋭がつどった

かくして行われたパラレル親方。83人もの応募者のなかから選ばれた40人弱の人たちが、5,000円という安くないお金を払って集まってくれた。

事前に親方同士でシェアした各社の紹介スライドの充実ぶりがすばらしく、まだまだ実績が足りないツドイ(弊社)はどうしたものかと悩んだが、「(今はともかく)これからおもしろくなりそう」と思ってもらえればいいやと開き直り、未来に寄せた話をたくさんした。うちでバイトをしてくれているY(21歳大学生男子)の120点のステージングにも助けられ、会社として満点のプレゼンができたと思う。

弟子候補のみなさんのモチベーションも素晴らしかった。「今日人生を変えるんだ!」という意気込みを感じる人も少なくなくて、こちらも手が抜けない。おかげで随分疲れたけれど、心地のいい徒労感だった。できれば長い付き合いをしたいなと思う人とも出会うことができた。

「かわいい弟子」でいるために大事なこと

今回、引き受けてから気付いたことがあった。ありがたいことに、ぼく自身が「パラレル親方」の実践者なのだ。

古賀さんも以前noteに書いてくださった通り、ぼくには親方と呼びたい人がたくさんいる。ここにあがっていない人でいうと、くるりの岸田さんやバッドニュースの千葉さん、星海社の紺野さんもそうだし、新卒のときお世話になったリーダーふたりにも頭が上がらない。大学の時お世話になった東田先生もそうだ。たまに「お前は何人師匠(親方)がいるんだよ!」と冗談交じりに突っ込まれるけど、みなさん親方なのだから仕方ない。誰がかけても、今のぼくはいないのだから。

そんな「パラレル弟子」経験を踏まえ、いい弟子の基準をぼくなりに考えてみた。4つある。

「苦言」を呈しやすい態度をとる
親方との付き合いの中でもらえるものはたくさんある。おいしいご飯やおもしろくてためになる経験談、時事放談に業界裏話などありがたいものばかりだが、一番の宝は「苦言」だ。なぜならそれは、目の前にいるあなた一人のために発せられる、カスタマイズされたアドバイスだからだ。一流ほど、重い苦言をくれる。キツいが、嫌な顔をせず、すねたりもせず、きちんと受けとめよう。強靱な心のシックスパックは、苦言の向こうにしかない。

②相手にとって自分の「価値」が何かを見極め、提供する
親方によって弟子に求めるものは異なる。書いたり編んだりするスキルが横一線なら、他で差別化する必要があるだろう。ある人には「いつでも気軽に呼び出せる飲み仲間」が必要なのかもしれないし、ある人には「20代前半の『いまの気分』を知るマーケティングサンプル」として重宝される可能性もある。自分が持っているリソースの中で、何が提供できるか考えてみるのをおすすめする。

③相手が「されて嫌なこと」をしない
例えば飲み会のあと、改札やタクシーに乗るところまで送って欲しい人もいれば、それが煩わしい人もいる。自分と会ったことをSNSにアップされるのが好きな人もいれば、嫌な人もいる。相手がして欲しいことよりも、されたくないことに目を向けると、関係性は長続きする。

④よくないときはよくないって言う(ただし直接)
親方も打率10割とはいかない(恐ろしいことに限りなくそれに近い人もいるけれど……)。そして、自分がヒットを打てなかったことを誰よりわかっているのは本人だったりする。そんなとき、「あれ、ぼくはちょっとピンときませんでした」と言えたらデカい。あなたの信頼度はグッと上がる。ただしこれは、直接会って言うべきだ。ニュアンスが大事なので。たぶん、この機微を感じ取り、適切なテンションで伝える能力を「コミュ力」と言う。上級者向け。

こ4つができれば、いい関係が作れると思う。少なくともぼくの好きな後輩たちは、これをやってくれている。

逆に、①すぐムスッとして、②欲しがってばかりで、③して欲しくないことをする、④いいことしか言わない人とのお付き合いは難しい。

なんか最後偉そうになりましたが、パラレル親方で縁のできたみなさんとは、長い付き合いができればと思っていますので、なにとぞ、なにとぞ、よろしくお願いします。