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「財布にコンドームを入れておくと金運が上がる」のか?

「財布にコンドームを入れておくと金運が上がる」

ぼくが高校に通っていた2000年代初頭、
女子たちの間で半ば常識となっていた話です。
女子の友人が全然いなかったので
サンプル数が十分かはわかりませんが、
当時の滋賀の女子高生、
特に彼氏がいつもいるような、
ちょっと派手な子の財布には、
けっこうな割合でコンドームが入っていました。

純朴な田舎の童貞で女子の友人も少なかったぼくは、
女子がコンドームを持ち歩いているという事実に
少しドキドキしつつも、まあ、そんなもんなのかと、
特に気にとめていませんでした。

このおまじないにある仮説を立てのは、
社会人になってしばらく経ったころです。
ボーナスが出るたび(ときにボーナス払いで)
映画や音楽に好きなだけお金を費やしては、
「これも経験だし……」と自分に言い訳をしていた
ぼくはふと気付きます。

「あ! あれも言い訳だったのか」

おそらくきっかけは、
ひとりの女子高生の方便だったのだと思います。
友だちか親かはわかりませんが、
財布に入っていたコンドームを
不意に見られてしまって、咄嗟に出た言葉が、
「金運が上がるから入れてるの!」
だったのではないかなと……。
その話が、口コミかあるいは、
雑誌やテレビなんかを通して、
全国に広まっていったのではないかと。

だとしたら、その最初のひとりの功績って、
すさまじいものがあると思うのです。
当時、財布にコンドームを入れた
女子高生のほとんどは、ある種のファッションとして
この変わったお守りを所持していたのだと
想像するのですが、実際に避妊具として
使用せざるを得ない場面に遭遇した人も、
ちょっとはいるはずで……。
そのときスッと財布からコンドームを出せたから
回避できたリスクが少なからずあったはずです。

たとえば保険の先生が、
「自衛のためにコンドームを持ち歩きなさい」
と啓発しても、すぐに浸透するとは考えにくいんです。
知ってか知らずか、そこをちょっとずらして、
日本の女子高生の避妊具所持率を飛躍的に高める
ことに成功したのが、
「財布にコンドームを入れておくと金運が上がる」
という噂話だったのではないかと。
最初に言い訳した子、すごい! 尊い!

特保の食品とか、ブルーベリーとか、
もしかしたらバレンタインのチョコも
そうかもしれないですけど、
こうしてうまい「言い訳」を意図的に作れる人が、
世の中動かしていくんでしょうね。