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「いい店」がなくなるのはもうイヤだ

新宿に「ハイチ」というお店があります。
喫茶店なのですがドライカレーが名物です。
ランチセットは、このカレーに
サラダ・ドリンクが付いて1000円とお値打で、
なによりこのカレーがまあ、おいしい。
食後に出てくるハイチコーヒーも、
ブランデーで香り付けするのが
おすすめの飲み方だったりして、
要はなんだか、粋なお店なのです。

社会人2年目のころ、2週に1回ぐらいの頻度で
新宿のだだっ広い地下通路を通って三井ビルの
お客さんのところへ通っていたのですが、
その帰りにひとりでここのカレーを食べるのが、
ちょっとしたたのしみでした。

そんなハイチが、今年3月、
ぼくの知らぬ間に閉店していました。
(中野で復活するというニュースで知った)

味が守られるのは素晴らしいことですが、
ぼくにとっては、場所も含めての価値でした。
新宿の、高層ビル群から帰ってきて寄る、
あるいは大きな会社との打ち合わせの
あいだに寄るハイチが好きでした。

東京に来て8年、好きなお店がたくさんできて、
そのいくつかがなくなっていきました。

つぶれるのはいつも、
安くて、空いてて、
居心地がよいお店ばかりです。
あんな「いいお店」がどうして!
と思ってしまいがちですが、
お店側から考えると、
おそらく当然の帰結なのです。
さびしいけれど。

安い=客単価が低い
空いてる=集客力に対してお店が大きすぎる
居心地がいい=回転率が悪い

ってことですもんね。
そりゃつぶれるよねっていう……。

迷ったらそういう店に行くようにしたり、
長居するときはおかわりを頼んだり、
おすすめの店を聴かれた際には
紹介したりするようにしてはいますが、
根本的な解決は無理なのかなと思っています。

案外、もらった分がほぼそのまま利益になる
「チップ」という文化は、こういう店の保護に
ひと役かっているのかもしれませんね。
チップ、いい店には払いたいなあ。