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あなたの「東京」はどこか

以前、上京した友人たちと「都内のどこに行ったとき、いちばん『東京』を感じるか」という話になり、「渋谷」と答えた。あんまりしっくりこなかったのだけど、スクランブル交差点の映像が浮かんで、なんとなく渋谷だと思ったのだ。けれど今日昼間そこへ行って、自分にとっての東京がどこかわかった。新橋だ。

大学を卒業したタイミングで上京し、新卒として就職した。配属されたオフィスの最寄り駅が新橋だったので、大井町に家を借りて、京浜東北線で通った。テレビなんかで観ていたので、人の数にびっくりするとか、満員電車に辟易するとかそういうことはなかったのだけど、そもそも実家が琵琶湖のほとりにある田舎町で、スーツを着た人をほとんど見かけない土地だったので、「きっちりした人がたくさんいる」ことが新鮮だった記憶がある。

JR新橋駅の烏森口を出て目の前の横断歩道を銀座方面に渡り、高架下を抜けるまでのあの道。そこではたらく若者やおじさん、おばさんにまぎれるぼく自身の姿。そこに重なっていく、学生時代から聞いてきた音楽。この映像が、ぼくにとっての東京だったと、当時歩いた道を行きながら思い返したのでした。新橋の飲み屋も銀座のランチも、もっといろいろ行けばよかったなあ。