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知るためじゃなくて楽しむために読もう

年始はベトナムのホーチミンに行っていた。街歩きに疲れて(暑いからずっと外にいると疲れる)夕方頃はホテルのプールサイドで優雅に小説を読んだりしていた。
いつも海外旅行に行くときは、書店で何冊か新しく本を買って行くのだけど今回は買う時間がなく家の本棚から適当な文庫本を選び何冊かもっていった。

怒り』吉田修一、『星間商事株式会社社史編纂室』三浦しをん、『思いわずらうことなく愉しく生きよ』江國香織

上の2作品は、一度だけ読んでそれ以来読んでいなかった。

小学生から高校までの間は、小説は何度も読むのが当たり前だった。でも大人になってからはあまり時間がない。だから一度だけ読んで本だなにいれっぱなしになっていた本がたくさんある。

ノースリーブを着たくなるような暑い空気に気持ちよい風が通り抜ける中、プールサイドで小説を読むのはただただ至福だった。結末を知っているのに読むというところにこそ、本を読む楽しみがあると思う。「結末を知る」「内容を知る」ためでなく、「物語を味わう」ための読書が私が好きな読書だったと久しぶりに思い出した。

三浦しをんさんの作品は、登場人物が悩みながらも自分の生き方に向き合っていくところが好き。江國香織さんの作品は、「自分はこうゆうふうにしか生きられない」ということを知っている人ばっかりが出てくるから好き。この人の本を読み続けたおかげで私の心はしなやかに強くなった。そしてこの本のタイトルは私の生きる指針でもある。

『怒り』はまず映画を観て次に小説を読んでどちらもショックが大きすぎてなんとなく再読を避けていたけれど、やはり面白かった(最初に読んだときに衝撃を受けすぎて1度しか読んでいない本がけっこうあるがその中のひとつだった)。上巻を旅行中のおそらく飛行機に忘れてきてしまったので、もう一度買おうと思う。

日本に帰ってきてからも、人生何百回目かわからない読書ブームが自分の中で再来し、『月の満ち欠け』(岩波書店、佐藤正午)をむさぼるように読んだ。これも最初に読んだときの満足感が大きすぎて一度しか読んでいなかった。これを読んで「現実味がない」などの感想を言うのは野暮でしかないと私は思う。

昨年末からわりと本を読んでいるので、面白かった本のメモ。

初めて読んでよかったもの。『断片的なものの社会学』『はじめての沖縄』『街の人生』岸 政彦、『でっちあげ』福田ますみ、『こんな夜更けにバナナかよ』渡辺一史    

再読のもの。何度読んでもよいもの。 『はだかんぼうたち』江國香織、『男ともだち』千原茜、『寝ても覚めても』柴崎 友香、『日日是好日』森下典子

余談だが、飛行機の中で見た映画『ベイビードライバー』が死ぬほど良かった。かっこよすぎた。『ワンダー』も観てよかったがこちらはより内容を知るために小説を読んだほうがいいなと思った。Amazonで原作を取り寄せ中なので読むのが楽しみ。

これを読んだら○○に役立つかも、と思って読むのではない、ただ楽しむための読書の時間を今年はもっと増やしたい。映画も新作旧作問わず週に1本くらいのペースで見れたらいいと思う。日常的に良い作品に埋もれたい。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

追伸 本のタイトルがんばってAmazonリンクはったので1冊でも面白そうと思ってもらえたら嬉しいです笑。

ベトナム、道でたくさん犬が寝てて素敵でした。

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