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憲法改定基本法の提案

現在「憲法変えよう」という主張が政府・与党などからなされていて、そのための法整備として「国民投票法」が作られたが、国の統治の根本原則である憲法を変えるということがそんな手続法だけで進められるべきではない。
憲法の何を変えてはいけなくて、何なら変えて良いのか、
どう変えてはいけなくて、どう変えるなら良いのか、
どのような手続きで変えるのか、を包括的に規定した憲法改定基本法の制定を提案する。
(文責: 城崎裕一)


憲法改定基本法とは

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」
これは日本国憲法前文である。これを要約して日本国憲法における三大原則を「国民主権・基本的人権・平和主義」と表現するが、まさにこの日本国統治の大原則を覆そうとする企みが自民党・日本維新の会・公明党をはじめとする国会与党勢力によって進められている。
憲法改定手続きについては憲法第九十六条に書かれているが、その「国民投票」の手続きを定めた「国民投票法」が作られたのもその一環。
しかし、国の統治の根幹を定める憲法を変えることについて手続きだけを決めて「さぁ変えましょう」なんて軽い調子でやっていいのか??
憲法を変えるにしても「いい変え方」と「悪い変え方」がある。
「いい変え方」は受け容れて「悪い変え方」を排除するには憲法改定のルールを決める必要があると考え、憲法改定基本法を提案する。

憲法改定基本法の骨子

逐条改定の原則

日本国憲法に定められた三大原則、国民主権・基本的人権尊重・平和主義を、将来の国民に確実に継承するためには大規模な書き換えを禁止する必要がある。
理由は2つ、「大規模な書き換え(極端な話、2012年自民党草案のような全面書き換え)によって原則そのものが変更されてしまう危険があること」と「大規模な書き換えは国民への周知、国民による検証が難しく、マスコミを通じた大量宣伝による〈洗脳〉で間違って可決されてしまう危険があること」である。
そこで、憲法改定は「一度につき一条のみ」に限定し憲法破壊を防ぐことを提案する。

改定禁止条項

日本国憲法には統治の基本原則を規定している条文と統治機構を規定している条文がある。
日本国を国民主権・基本的人権・平和主義の国として将来の国民に渡すためには、統治の基本原則を規定している条文を改定すべきではない。
よって、改定禁止条項を定めることを提案する。

  • 前文

  • 第九条

  • 第十一条

  • 第十三条

  • 第九十六条

  • 第九十七条

  • 第九十八条第1項

  • 第九十九条

上記はざっと挙げた候補であるが、他にも候補はあると思う。
特に上に挙げた条文の前後の条文は候補となり得るが微調整が必要になる可能性もあると考えて含めなかった。
それらの条文は次項「改定不可逆の原則」によって保護されるべきと考える。

改定不可逆の原則

憲法の条文の中には「改定を禁止してしまうのはいき過ぎだが、改定の仕方によっては良くも悪くもなる」という条文も多い。
そこで、憲法改定の基本原則として
「国民個人の権利として現行憲法で保証されている権利は改定後の憲法においても一切の不足なく必ず保証されなければならない」
つまり、国民個人の権利を拡張する方向の改定は良いがその逆は許されないとする規定を置くことを提案する。

可決条件

民主主義国家における憲法とは、国家権力が常に国民のためにのみ行使されるよう国家権力を縛る最高法規である。
しかるに、主に手続き的な困難回避を理由として、憲法第九十六条第1項に規定された改定手続きでは国家権力の一角で且つ国権の最高機関である国会が改定を発議することとなっている。
この「発議権」を濫用した、国民の望まぬ「壊憲」を発議する動きが現在進んでいるが、そのようなことを防ぐための「真の国民の望みによる改憲」だけを可決する可決条件を設定する必要がある。
その考えに基づいて提案する可決条件が以下である。

  1. 国民投票において、全有権者数の四分の三以上の有効投票を以って国民投票が成立したものとする

  2. 成立した国民投票において全有効投票の三分の二以上の賛成票を以って改定可決とする

第1項によって、発議された改定が国民レベルで広く共有された問題意識から発せられたこと、言い換えれば国会が「真に国民の代理として」発議した改定であることを担保する。
その上で、第2項によって憲法第九十六条に規定された国民(全有権者)の過半数の賛成を要求する。

改定不成立時のペナルティ

民主主義国家における憲法が国家政府を初めとする公権力に対する国民・市民からの命令書である以上、その改定発議はあくまで「国民の総意の代理として」のみ国会議員に許されたものである。それを踏み越えて国民からの意思もないまま、国会議員が旗を振って勝手に改定を発議することは重大な越権行為であり、国家反逆である。
そのような国会内与党(政権政党)による恣意的な「壊憲」発議を抑止するために、発議した憲法改定が国民投票不成立または反対多数で採択されなかった場合に、その発議に荷担した国会議員に対しペナルティを課すことを提案する。

  1. 発議賛否の議決は全て記名投票で行なう

  2. 発議した改定が不成立になった場合(以下、「不成立の場合」とする)、10日以内に衆議院を自動的に解散する

  3. 不成立の場合、第2項による解散に伴う総選挙において発議に賛成した衆議院議員の公民権をその選挙限りにおいて停止する

  4. 不成立の場合、発議に賛成した参議院議員の公民権を当該議員それぞれの初めての改選通常選挙限りにおいて停止する

変更履歴

2023.10.29

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