モノガタリの物語、4夜目。

もう二度と悲しまないように。
彼はそう言った。
忘れられない恋というものがあるとすれば、こういうものを指すのだろうか。
別れる時は嫌いだと言ってくれたら良かったのに。
もう二度と悲しまないように。
彼は私に深い傷を残した。
悲しい?悲しくはない。
けれどもやはり、残った傷は、いつまでも私の周りを走り回って、騒ぎ立てて。
なぜ私に嫌いと言ってくれなかったのだろう。
悪いのは俺の方だ。
そう言って彼は立ち去った。

なら何が悪いの。
何が変わってしまったのだろう。
彼が変わらない間に私は何が変わってしまったのだろう。
悲しまずにいても、私はいつまでも前に進めないのに。

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