Yuri Suzuki

コピーライター /Story for healingをテーマとしたWebマガジン「OL…

Yuri Suzuki

コピーライター /Story for healingをテーマとしたWebマガジン「OLIVE」の編集をしています✍️ |映画館に寄付できるオンラインショップはこちら➡︎https://suzuri.jp/OLIVE

マガジン

  • メールマガジン「OLIVE Letter」

    映画や文学の話から、記事には中々書く機会がない他愛もない話まで、OLIVE編集部からゆるっとお届けします。 毎週水曜日更新です📪

  • OLIVE (映画マガジン)

    映画を観て感じた「!」をつらつらと書いていきます✏️ 映画メディア「OLIVE」(http://olive-movie.net) の公式サイトも是非のぞいてください!

最近の記事

「はじまして」の人に会うことは、新しい自分に出会うこと。- OLIVE Letter #5

2021年が終わろうとしている今振り返ってみて、記憶に残っているのはどんなときでしょうか。 私が思い起こすのは、春から夏へ切り替わる、蒸し暑い雨つづきの40日間です。同僚に誘われてあるホステルに滞在したことで、私にとって京都は「帰る場所」になりました。 滞在したのは、京都市左京区にあるNINIROOMというホステル。スタッフ、宿泊するゲスト、出会った人々はみなあたたかく、志を持つ素敵な人たちでした。 エンジニアになるための勉強をしているアメリカ出身の男の子、会社を辞めて大学

    • 今年最後の夏を、石垣島で - OLIVE Letter#4

      先週、沖縄県の八重山諸島に行ってきました。八重山諸島は、沖縄本島南西にある12の島々の総称で、今回は石垣島、西表島、そして竹富島まで足を伸ばしてきました。 「ここで生まれた人は、靴下なんて履いたことないよ」と、竹富島のおじさんが言っていましたが、10月だというのに気温は30°Cくらい。冬でも20°Cくらいでとても暖かく、通年いつでもパイナップルが採れるのだそうです。 あまり外で過ごせなかった今年の夏を取り戻すことができて、ちょっと嬉しくなりました。 人間のことなんて見えて

      • 日常を愛でるアート「ストリートフォト」のすすめ - OLIVE Letter#3

        昔から映像や写真を通して、行ったことのない街を眺めるのが好きでした。小中学校時代の休日の楽しみの一つが「世界ふれあい街歩き」を見ること。リアルな旅気分に浸れるテレビ番組で「いつか、この街のこの道を歩いてみたいな」と夢をふくらませていました。 道の向こうから歩いてきた人の、身なりや持ち物から、何をしている人なのか想像するのが楽しいんです。 同じ観点で最近よく見ているのが「ストリートフォト」というジャンルの写真です。自分以外の人の生活を垣間見ることができる、ストリートフォト。定

        • 凶器ではなく、救いとしての言葉を-OLIVE Letter #2

          いつ聞いたかは忘れてしまっても、いつまでも心に火を灯してくれる言葉があります。言葉は完全ではないし、言葉で表したことが真実とは限りません。言ったり書いたりするほど、伝えたいことから遠ざかってしまうこともあります。 しかし、誰かにもらった一言や映画のセリフなど、多くの言葉に救われながら私たちは日々生きていているように思います。 "何があったにしろ、おまえは自分で何かしようとした。それはほとんどのやつが決してやらない事だ"ー Little Miss Sunshine(2006)

        「はじまして」の人に会うことは、新しい自分に出会うこと。- OLIVE Letter #5

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        • メールマガジン「OLIVE Letter」
          5本
        • OLIVE (映画マガジン)
          25本

        記事

          何かいい物語があって、それを語る相手がいることーOLIVE Letter #1

          こんばんは、OLIVE編集部の鈴木です。 季節はすっかり秋、と思いきや、まだ少し夏が残っているような日々が続きますね。私の家のまわりでは日中、まだ蝉が鳴いています。 コロナによる非日常が、もう日常になりつつあり、今年の夏もあっという間に過ぎてしまいました。定期的に会っていた友達や、毎日顔を合わせていた同僚に会わない日々。体に必要な栄養素の何かが不足しているような感覚が続き、新しい日常に慣れ切れずにいます。 みなさんはどんなふうに、毎日を過ごしていますか?緊急事態宣言が明け、

          何かいい物語があって、それを語る相手がいることーOLIVE Letter #1

          料理はアートのように、国境を越え人々をつなぐー『世界で一番しあわせな食堂』

          フィンランドには、一度だけ訪れたことがあります。緑あふれるヘルシンキの街並みや、神秘的な力を秘めたヌークシオの森。 そのなかでも特に忘れられないのは、フィンランドをつなぐ空の色です。少し霞がかった淡いピンク色のグラデーションが、見渡す限り広がっていました。 映画「世界で一番しあわせな食堂」で映し出された空をみて、その時のことを思い出しました。 この物語の舞台は、フィンランド北部のラップランド。 “世界で最も空気がきれいな場所”と言われていて、本作の監督ミカ・カウリスマキはイ

          料理はアートのように、国境を越え人々をつなぐー『世界で一番しあわせな食堂』

          「栄光のマイヨジョーヌ」 “人生を楽しむ”という哲学を共有する、オーストラリア発のロードレースチーム・グリーンエッジ。大怪我を負った新人、ラストシーズンを迎えるベテラン選手など、異なるバックグラウンドを持つ彼らが各々の役割を果たし頂点を目指す姿は、まさにチームの理想のあり方でした

          「栄光のマイヨジョーヌ」 “人生を楽しむ”という哲学を共有する、オーストラリア発のロードレースチーム・グリーンエッジ。大怪我を負った新人、ラストシーズンを迎えるベテラン選手など、異なるバックグラウンドを持つ彼らが各々の役割を果たし頂点を目指す姿は、まさにチームの理想のあり方でした

          「映画館にささやかなエールを」寄付金についてのご報告

          4月より実施してまいりました、映画館へ寄付企画「映画館にささやかなエールを」についてご報告です。 約320名の方々のご協力により、総額30万円の寄付金が集まり、ご指定いただいた全国40館の映画館へお届けすることができました。 お届けした映画館は、以下になります。 ▼宮城県 フォーラム仙台 ▼東京都 UPLINK、新宿武蔵野館、新宿シネマカリテ、新文芸坐、ギンレイホール、下高井戸シネマ、シネマシティ、(K’s cinema)、ユーロスペース、シネマ・チュプキ・タバタ、シネマ

          「映画館にささやかなエールを」寄付金についてのご報告

          正義を貫くのは、愚かなことですかー「はちどり」

          憧れの先生がいたこと。友達と授業をさぼったこと。自分の嫌な部分が目について、目を背けたくなったこと。 14歳の少女・ウニとは、生まれた国も時代も何もかもが違うのに、一つひとつの出来事がとても懐かしく感じられます。不安げな表情や時折見せる不器用な笑顔が、中学生の頃の自分のように見えてくるのです。 本作「はちどり」は、若さゆえの残酷さから目を背けず、わたし達の思春期に存在した日々をみずみずしく映し出します。 見守るという、寄り添い方。視線が心の扉をたたく平凡な家庭に生まれ、学

          正義を貫くのは、愚かなことですかー「はちどり」

          人とのつながりが、この世界をまた美しくするー「WAVES」

          気づかぬうちに自分を責めていた、そう気づいたことが今までに何度もあります。嫌な思いをしている友達を助けかれなかったとか、正直な気持ちを言えなかったとか。そういった出来事がずっと心のどこかにあって、知らず知らずのうちに、いつまでも自分を苦しめている。それは誰しも経験のあることではないでしょうか。 映画「WAVES」では、自分の未熟さや他人を救えなかった後悔と向き合う過程を、兄タイラーとその妹エイミー2人の視点から描いています。 前編と後編でタイラーからエミリーへ視点がスイッチ

          人とのつながりが、この世界をまた美しくするー「WAVES」

          \映画館にささやかなエールを/ 指定の映画館に寄付ができる、オンラインショップを開設しました! 寄付額は、500円から2000円。 是非一度のぞいてみてください➡︎https://suzuri.jp/OLIVE

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          自分のまま、大人になることー「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」

          自分の部屋で、SNSの世界に浸る主人公・ケイラ。その姿は自分の中学生時代の姿と重なります。mixiでクラスメイトのブログを読んだり、隣の学校にいる気になる人のプロフィールを見つけては喜んだり。SNSはまさに、青春の一部でした。 そんな日々を赤裸々に描く「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」は、誰もが過ごした青春時代の1ページを切り取った、宝物のような作品です。 メール、SNS、またLINEなどのアプリの登場は、コミュニケーション方法から人間関係の築き方までを、劇

          自分のまま、大人になることー「エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ」

          〈インタビュー〉アダム・グジンスキ監督—大人でも子どもでもない。狭間で格闘する少年のひと夏の記憶

          ポーランドの小さな町に住む、少年・ピョトレックの夏休みを描く「メモリーズ・オブ・サマー」 主に描かれるのは、母親と息子について。揺らぐはずのないふたりの関係が、母親の「浮気」という裏切りによって壊れていきます。 © 2016 Opus Film, Telewizja Polska S.A., Instytucja Filmowa SILESIA FILM, EC1 Łódź -Miasto Kultury w Łodzi 監督は、ポーランド出身のアダム・グジンスキさん。自

          〈インタビュー〉アダム・グジンスキ監督—大人でも子どもでもない。狭間で格闘する少年のひと夏の記憶

          「疑い」のフィルターを取り払う。ただ受け入れる、純真な心ー「幸福なラザロ」

          青年は、初めてスクリーンに映し出された瞬間から、他の人とは違うものをみつめていました。 名前はラザロ。聖書の「ヨハネによる福音書」に登場する、イエス・キリストが奇跡によって生き返らせた人物と同じ名前です。 2018年、カンヌ国際映画祭で「万引き家族」と共に話題をさらった「幸福なラザロ」。渓谷に囲まれた小さな村で暮らす人々と、村を支配するデ・ルーナ侯爵夫人が、主な登場人物です。 村一番の働き者であるラザロは、どこか人間離れした魅力を持ち、そんな彼を中心に人間模様が描かれます。

          「疑い」のフィルターを取り払う。ただ受け入れる、純真な心ー「幸福なラザロ」

          ひとりの少年を悼む、救いのラブストーリー /「シシリアン・ゴースト・ストーリー」

          1993年、シチリア島のパレルモで実際に起こった誘拐事件をもとに製作された「シシリアン・ゴースト・ストーリー」。 当時パレルモに住んでいた2人の監督がメガホンを取り、誘拐された少年・ジュゼッペへの追悼の意が込められた作品となっています。 この痛ましい事件は、監督2人の心に深く残り続けていて、当事者ではなくとも悲しみと無力感は何年経っても拭われなかったそうです。 いなくなってしまったジュゼッペをいま救うことはできませんが、せめて物語の中で彼を救いたいという作り手の思いが作品を

          ひとりの少年を悼む、救いのラブストーリー /「シシリアン・ゴースト・ストーリー」

          さよならのあとも、関係は続いていくー「ぼくとアールと彼女のさよなら」

          映画のトビラvol.1 「ぼくとアールと彼女のさよなら」(Me and Earl and the Dying Girl) ひねくれ男子高校生と、少女の出会い主人公グレッグは、一歩引いて学園生活を眺めている、いわゆるひねくれ者の高校生。学校のすべての国のパスポートを手に入れ、みんなとそれなりに仲良くして卒業したいと願っていました。物語は彼のユニークな視点で語られ、テンポよく進んでいくのですが、彼の前に少女レイチェルが現れることで、生活リズムが変わっていきます。 心の中で成

          さよならのあとも、関係は続いていくー「ぼくとアールと彼女のさよなら」