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Aimerカバーと改めてRADのセプテンバーさんを聴いてみて。

 歌詞全体的に偶然性かさなるような、「まさに今」この瞬間だから感じられた心の動きの強調が歌詞とメロディ両方から感じさせられるような気がします。こういう静かに感情が膨張するようなさまが、元のRADWINSPS版のギターのリフにしろ、Aimer版のシンセ(?)アレンジにしろ、すっと耳に入ってくるのが不思議な曲だと思いました。

 低音域中心に平たんなメロディで静かに始まるところからゆるやかに盛り上がって、最後の「さぁ今だから この声だから さぁ今ならば この声ならば こんな僕だけど そう君となら 何もないけれど そう今ならば 響く気がしたんだ」と間髪入れないようなフレーズの連なりで強く訴えてくるのがとても気持ちが良い。ボーカルの間髪入れないメロディの隙間に、ギターリフも後を追うようにどんどんフレーズが重なるから、ぐっと訴えかけられる気がするのもかっこいい。

「声が響きだす
そこに意味はなくとも
君が笑い出す
そこに夏はなくとも」

RADWINSPS「セプテンバーさん」の歌詞より抜粋


 その逆にこの曲のいいところでもある、ことばとギターの余白。倒置と「とも」の助詞がゆらゆら揺れ動いくかのように考えをめぐらしているように感じさせられるし、この条件提示の仕方がなんか物悲しい気持ちにさせられる。そして「とも」の後ろの余韻部分にはギターのリフもなくてリフにも余白がある。なんかこのほどよい余白が、歌詞の伝えたい情景をすごく印象深く伝えているような気がします。

 「もう少しだけここにいさせて」の部分だけ突然音程が高くなっていて、それまでの低温で比較的平たんなメロディから飛び出す感じがして、まさにハイライトがあたった記憶を掘り起こしている感じがしたり、なんとも気持ちを揺さぶられる曲だなぁと思います。この歌詞のイメージにはギターがジャジャッてかきなさられるビート感の方がいいかと思いきや、Aimerのちょっと軽めのアップテンポも不思議と抜けた感じがしてゆらゆらした歌詞の雰囲気が感じられるような気がして素敵。

 「そんなこともあるさと笑える」って少し突き放して考えられる大人になったことがうかがえる冒頭から、突然「湿る空が乾く色をきっとパパは探していたの」と、古い記憶を(おそらく)こどもに独り語りするような時間の行き来も感じられたり、ずっと昔の記憶と今とをゆらゆら行き来しているような全体の流れも、ボーカルのメロディーとギターのリフが激しく重なるところと余白がある差も、改めていい曲だなぁと思いました。

 高校生の時に聴いたときにはなんとなくいい曲としか思っていなかったけど、10年以上越しに聴くと変わるんやなぁ・・・。Aimerのカバーを最近知って聴いてよかった。

#RADWINSPS #Aimer #ロック #音楽 #歌詞 #ギター

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