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今期のドラマを語る -大恋愛編-

人間ドラマが好きだ。

愛だの恋だの語るドラマはあまたある。
でも私は、いわゆる男女の恋愛だけではない、
友達、家族、師弟、ライバル、そういった関係性を描いたドラマが好きだ。

そんな私にとって、「大恋愛」というタイトルは、正直そそらない。
でも、
・TBS金曜10時枠(Nのために、コウノドリ、アンナチュラル…他、秀作豊富!)
・戸田恵梨香主演(演技が好き)
・ムロツヨシ(おそらく)初めてのゴールデンタイムドラマでの真面目な役
・難病モノ(個人的に好き)
というキーワードに惹かれて観てみることにした

結論。
今期民放ナンバー1である。

第1章がちょうど先週終わったので、ここまでのあらすじをまとめてみる。
読んだ方はぜひ今日の放送から見始めてほしい。

両親が医者で開業医(父とは死別)、自分も産婦人科医となって家を継ぎ、仕事は順調。プライベートでも適齢期ということもあり同じく医者である男性とお見合いし、婚約。まさに順風満帆な人生を送る北澤尚。
そんな尚の前に現れた引っ越し屋のアルバイトをする男性、真司。
婚約者と同居するための引っ越しで水漏れのトラブルがあり、助けてくれた真司を食事に誘う尚。話すうちに、彼が、尚が最も愛する純文学小説「砂にまみれたアンジェリカ」の作者・間宮真司だと知る。もう小説は書いていないというが、憧れの人に出会えた興奮と、一緒にいる時間を笑いながら心地よく過ごせることに気付いた尚は、急速に真司に惹かれていく。
これまで激しい恋に落ちる経験などなかった尚は、婚約を解消し、真司との将来を選んだ。そんな矢先、尚は若年性アルツハイマー病の前段階、MCIであることが発覚する。
動揺する尚を支えようと思う真司だったが、婚約者がアルツハイマー病の第一人者であるため主治医となったこと、尚の母親から反対されたことなどから、自ら身を引き別れを告げる。
9年後、アルツハイマー病は未だ発症していないものの、医者として働くこともできず、毎日を無気力に過ごしていた尚だったが、立ち寄った本屋で間宮真司の新作が発刊されていることに気付く。それは、尚と真司の愛にあふれた日々をつづったものであった。
元婚約者のアシストのおかげで再会した二人は、何があっても離れないと誓い、結婚。尚の母親をはじめとする周囲から祝福された結婚パーティで、尚は皆に自らの病気を告げる。
それでも、「死にたいくらい辛いこともあったけど、今は死んでもいいくらい幸せ」と言って笑うのだった。

(わかりやすくするために”引用”の体裁をとってますが、私オリジナルのあらすじです)

はぁ…。長くなってしまった。
読んでいただければわかるが、これは「難病モノ」の「ラブストーリー」である。
登場人物も多くなく、非常にシンプルに話は進む。言ってしまえば、ありふれた、お涙頂戴ドラマだ。
そんなドラマにハマる理由。それは「ムロツヨシの超ハマり役」そして「戸田恵梨香の超好演」だろう。

ムロツヨシの超ハマり役

生まれてすぐに神社に捨てられ、施設育ち。親しい人はいないまま大人になり、小説家としてデビュー、そして大ヒット。しかし、以後なかなか筆がすすまず、生活のため引っ越し屋のアルバイトをしているうちに、いつしか小説を書くという情熱も失ってしまった哀れな青年(中年)、それが間宮真司。
これだけを見て、これをムロツヨシが演じていると想像する日本人は多くないだろう。彼に求められてきた役柄は、いつも奇人・変人・三枚目。それが、今作では悲劇の生い立ちを背負った純文学小説家である。
始めは、奇を衒ったミスキャストではないかと思った。でも、ほぼ日のこの記事を見て改めた。
ムロツヨシは確かに三枚目だけど、LIFE!(NHKで不定期放送のコント番組、ムロはレギュラーメンバー)で時折演じるシリアスな役は確かに今回の真司のようにきちんと「普通に」演技する。それは空気を損なうことなく自然で、目立たないがうまいのだ。
さらに、ムロはバラエティにもよく出演し、芸人並みの笑いを起こすし、友人が多く人懐っこいその人柄も知られるところではあるが、実は生い立ちは複雑。気になる方は「ムロツヨシ 生い立ち」で検索していただければと思うが、今回の役柄、間宮真司と重なるところもある。そう考えると、実はムロツヨシは喜劇俳優ではなく、闇を抱えた役こそ適役ではないかと思えてくる。
でも真司は、ともすれば重い生い立ちや背景を、あまり重く受け止めていない。事実として受け入れて、仕方がないと割り切っている。だから人を信用しない、しようともしない。悲しいことだけれど、軽やかだ。
だから、尚が婚約を解消して自分のところに来た時も、尚の病気が分かった時も、事実は受け止めて、軽やかに返す。真司が言う冗談に、尚も視聴者もふっと心を緩めさせられて、逆に涙がこぼれてしまう。気付いたら、私、ムロツヨシに恋してる。

おっさんだしかっこよくないし、書けない小説家でアルバイトで、お金も地位も家族も友人もなにもない間宮真司なのに、若くてきれいで女医で金も名誉も優しい母親も分かり合える親友もいる、なにもかももっている北澤尚が、恋に落ちるに十分値する説得力がある。
こんな人となら、何があっても笑って生きていけるなって思える。いいなぁ、間宮真司。

戸田恵梨香の超好演

戸田恵梨香は、好きな女優の一人だ。顔はそんなに好みではないが、彼女が出るドラマは好きなものが多い。コード・ブルーでの勝ち気だけど実は弱くて、そして優しい思いやりのある女医、流星での絆の兄弟から愛される甘えん坊だが最後は人を愛する強さを知る妹、リバースでのただの主人公の彼女かと思いきや復讐心を燃やすちょっと怖い女性(そういえばリバースもTBS金10だ)。とにかく戸田恵梨香が出ていると、「なにかあるぞ」と感じさせてくれる、そんな女優だと思う。
それを考えると、今回は割と普通に健全な「ハイスペックな女」。戸田恵梨香らしくないなと思ったし、実際戸田恵梨香自身も今作の役作りは難しいと感じているとか。
でもやっぱり戸田恵梨香はすごい。
ハイスぺック女が本当の愛を知り、同時に病とも戦い、落ち込んだり、愛したり、突き放したり、前を向いたり、生きることを決意したり。自分とは比べ物にならないくらいハイスペックなのに、等身大で、応援したくなる。素直で正直で、ころころ変わる表情や態度が本当にかわいい。「間宮真司、いいなぁ。尚ちゃんにこんなにも愛されて。」と思ってしまうくらい、とても魅力的だ。戸田恵梨香でないと醸し出せなかった魅力だと思う。尚、かわいいよ尚。


…とここまで書いたが(ワード2枚分)、気付いたら11月16日の放送が終わってしまった。物語は第2章に入り、新たに小池徹平が尚と同じ病気にかかった患者役で登場(あと真司の編集役で木南ちゃん。好き。)。徹平たんまで出てくるなんてリバースかよ!復讐かよ!って思ってたら本当に闇の深いヤバそうな人だった。やめて二人を引っ掻き回さないで。ドラマにならないかもしれないけど私は二人のラブラブシーンが観られればそれでいいんだよ(振り向きざまのチューとかそれを2回もやってくれるとかなんなんだよ最高かよもう)。
なんかもう最後はただの真司&尚ちゃんのファンになっちゃったけど、ますます目が離せない「大恋愛」、どうか皆様ぜひぜひご覧ください。


大恋愛~僕を忘れる君と


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