見出し画像

IVRyエンジニアの自作キーボード入門記

こんにちは。IVRy のエンジニアの yuri ( @yuri_ivry ) です。

先日の休みに、IVRy のメンバーと一緒に自作キーボードを購入・製作しました。
個人的には初めての自作体験でしたが、想像以上に楽しい体験で今後も作ることになりそうなので、自分の記録のためにもこの記事をしたためておきます。

購入品サマリ 及び 使った費用

総額36,874円也。

おまけ: 買わなかったもの

  • USB ケーブル

    • Choco60 rev.2 は USB Type-C で PC と接続するキーボード

    • Macbook との接続は Type-C to Type-C のケーブルがあれば良いので、既に家にあったものを利用している

    • キーボードの中には micro USB を利用するのものも多くありそう

お店の紹介

自作キーボード界隈では知らない人がいないという、遊舎工房さんの実店舗にお邪魔しました。
各種アイテム販売だけでなく、併設されている工作室で実際に製作するところまで行うことができます

なお、遊舎工房さんでは IVRy をご利用いただいております!
遊舎工房さんへ電話でお問い合わせの際は、IVRy の自動応答を聞くこともあると思います。

買ったもの詳解 ~ 選び方とともに

キーボードキット

Choco60 rev.2 というキットを購入しました。

元々考えていた個人的な要件は「分割キーボードであること」くらいでしたが、事前に詳しい人に聞いていく中で下記のような観点があることがわかりました。

  • キー数

    • 100%, 60%, 40% 等

    • テンキー、ファンクションキー、数字キーなどの有無によって、フルキー(104キー)からの差分を大まかな割合で表現している

    • 詳しくは https://tacahiroy.hatenablog.com/entry/percents などに纏まっている

    • 自分が購入した Choco60 rev.2 は名前の通り60%

  • 一体型 or 分割型

    • 名前の通り、1つのキーボードか左右で分割されているかという形状のこと

    • 分割型は肩幅に応じて左右のキーボードを離して利用できるため、疲れにくいと言われていそう

    • 自分はこれまで市販の一体型のキーボードしか利用したことがなかったが、分割型を利用してみたい思いが強かったため今回は分割型で選んだ

      • ちなみに従前は Apple 純正の Magic Keyboard を利用していた

  • キー配置

  • US or JIS 配列

    • 自作キーボードにおいては US 配列の方がメジャーで色々と選択肢が多そうに見えた

    • もちろん JIS 配列も作成は可能で、実際今回の同行メンバの中にも JIS 配列を選んだ人はいた

上記のように観点だけはうっすらと把握した上で遊舎工房さんへ伺い、あとは見た目やフィーリングで決めました

遊舎工房さんの店頭ではこのようにたくさんの作成例が並んでいるため、フィーリングで決めることも十分できました。

なお、選んだときは気づかなかったのですが、結果として Choco60 rev.2 は製作が簡単な部類に入るキットだったようです。
上記のようなキーボードとしての完成状態の観点以外にも、製作難易度の観点もあるのは事前に意識できていませんでした。
※ 誤解を恐れずにいうと、初心者には実質的に はんだ付けをする数がほぼ製作難易度になるような気もしました。

キーボードキット以外に購入が必要なものは、キットについている QR コードから飛べる説明資料から確認できました。
(キーボードによっては、店頭にも掲示がありそうでした。)
スタビライザーは同梱していたので、キーセット(キーキャップ)・キースイッチ・TRRS ケーブルもガンガン選んでいきます。

キーキャップ

OSA Marrs Green PBT DOUBLESHOT KEYCAPS SET を購入しました。
IVRy っぽい感じの色とマットな質感が良かったです。

キー数やキー配列によって選べるキーキャップの種類が変わるようです。
また、細かくはキーの高さや角度など色々と観点はありそうです。

印字はほしいな、くらいしか意思持たずに遊舎工房さんの店頭に行きましたが、60% の HHKB 配列に合うものを店員の方に相談させてもらいながら、店頭にあったものに触れつつ選びました

尚、サイト上でもこの辺の記載を見れば選ぶことができそうです。

レイアウト: 61/63/67/68/84/87/104keys /HHKB layouts

OSA Marrs Green PBT DOUBLESHOT KEYCAPS SET – 遊舎工房ショップ より

また、後続のキースイッチとの対応可否もある模様です。
今回はメジャーと思われる Cherry MX 互換のパーツ選定にしていた(気づいたらそうなっていた)ため、あまり意識することはありませんでした。

キースイッチ

Kailh Box V2 Switch / Brown / Tactile を購入しました。
ブラウン(茶軸), タクタイル というところが重要なキーワードかと思います。

前述の通り現状 Magic Keyboard を利用していることもあってか、タクタイルの触り心地が無性に気に入ったためこれに決めました。
遊舎工房さんでは種類ごとに売れ筋ランキング的なものを掲示してくれていたため、上位のものを選ぶことができました。
初心者フレンドリーでとてもありがたかったです。

遊舎工房さんの店頭のキーキャップエリア。充実のラインナップ

必要なキーキャップの個数は、自分の選んだキーボードの説明書などから知ることができます。

別途、購入が必要なもの
名称 数量
キースイッチ 62

Choco60 rev.2 – recompile keys より抜粋

Choco60 rev.2 であれば上記の通り62個で足りますが、自分は64個買いました。
理由としては、はんだ付けで絶対に失敗していくつかだめにするだろうなと思ったためですw
結果としてはミスせず完成させることができたので、そのまま2個余りました。
今回の私達のように遊舎工房さんの工作室を利用させてもらう場合、足りなければすぐに買いに行くこともできるため、多めに買う必要はなかったかもしれません。

TRRSケーブル

左右のキーボードを接続するためのケーブルです。
こちらは選ぶ余地がほとんどありませんでした。白か黒かだけ選びました。

同行メンバの中にはこの TRRS ケーブルを自作しているメンバもいました
玄人レベルになるとそういうところまで拘れるんだなーと、キーボード沼の深淵を垣間見た気持ちになりました。

TRRS は Tip Ring Ring Sleeve の略のようです。
TRRS ケーブルについてに限らず、自作キーボード界隈の Discord サーバに紐づく下記の Scrapbox の説明が充実しています。

製作

遊舎工房さんの工作室をお借りして製作しました。

工作室は、最初の2hは2,000円、その後1hごとに1,000円という料金形態で利用可能です。
はんだごてやペンチ等の必要な機材は一式お借りできる他、消耗品であるはんだも使い放題(限度はあると思いますが…)、スタッフの方も常駐されており、困ったときは有償で技術サポートを受けることもできます。
広さとしては10席弱に見えました。
(全て 2022/08/11 時点の情報です)

はんだ付けが上手な同行メンバの作業風景

それぞれのキーボードキットに同梱の作り方等を参照しながら製作を進めます。
自分が購入した Choco60 rev.2 の場合は、ビルドガイド にも記載がある通り、詳細な作成手順が YouTube の動画に纏まっていたため、これを参照しながら作りました。

個人的には、はんだ付けをするのは中学の技術の授業以来20年弱ぶりで少し苦労しましたw
持ち前の不器用さを遺憾なく発揮し、一通り作り終えたあとの動作確認でも押せないキーやチャタリングするキーがいくつも出てしまいましたが、動作確認とはんだ付け直しを繰り返し無事完成まで持っていくことができました。

動作確認はこちらのサイトで行うのが便利でした。
他にも QMK Toolbox や他のツール(失念…)もありました。

今回一緒に行った5名はそれぞれ異なるキーボードを製作しており(うち1名はTRRSケーブルを製作)、所要時間はまちまちでしたが、私達の平均では4時間くらいでした。
工作室にいらしたスタッフの S さんとお喋りしながら楽しく作業をしていると、4時間は本当にあっという間でした。

完成したのが嬉しすぎて気づいたら Instagram に投稿していました

自作したキーボードを使ってみて

左右分割は本当に正解で、とても快適に利用できています。
キースイッチもキートップもお気に入りで、打鍵感も心地よく毎日キーボードを使うのがとても楽しいです
今回自作したキーボードは会社に置いているのですが、IVRy メンバの評判(主に見た目や質感)もよく、社内で自作キーボードへの興味喚起ができている感じがしています。

キーマップも書き換えられるようなので、左右合わせて3つあったスペースキーは1つくらい違うものに書き換えてみてもよさそうだな、と思っています。
ちょうど最近 VIA が Web サービス化(従来はデスクトップアプリケーションのみ)したようで、更に敷居が下がったように感じます!

あえて気になる点を書くとすれば、下記の2点になります。

  • 有線接続のため、Macbook Air の2つしかない Thunderbolt / USB 4ポート(USB Type-C ポート)が圧迫される

    • 自分の場合は電源、ディスプレイ、キーボードで3つ必要になるため、Macbook 側に2つしかない現状では何かしらのハブを必要としてしまう

    • 会社のディスプレイを USB PD 対応のものに変えて回避した

  • 長時間の PC スリープから復旧した際に(?)稀にキーボードが認識されなくなることがある

    • スリープからの復帰時に外付けキーボードを利用すると起きていそうなので、ビルトインのキーボード(というか Touch ID )で復帰する癖付けすれば回避できそう

ともあれ、新しいオフィスと自作のキーボードで毎日楽しく仕事ができており、自作キーボードにチャレンジしてよかったと思っています!
今度は自宅用にもう1台作りたいなと企んでいます。

最後に

5,000文字程度の文章を書くのは、新しいキーボードを使う良い練習になりました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?