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ヒプマイ楽曲が引用・オマージュしてる洋楽ネタを検証してみた vol.2

こんばんは、写真のセンスが皆無なナカジです。
家にオシャレなパッケージの砂糖もキャンディもなかったので普通に台所にある料理用の砂糖を撮影しました。これがゲットーのリアルだ(違)

さて今回は前回の予告通り、飴村乱数の「drops」とその洋楽の元ネタを取り上げたいと思います。ヘッダーの画像も一応それに関係しているということは読み進めていただければわかるかと。1回目を未読の人はこっちから読んでください。MTCの「シノギ」の元ネタについて紹介してます。


と、その前にこのヒプマイ洋楽元ネタ解説で取り上げている曲の聴き比べがしやすいようにApple Musicでプレイリストを作ってみました。
記事を読みながら聴き流したいという方はご活用くださいね。

●「drops」飴村乱数/「Sugar」Maroon 5

シブヤディビジョン=Fling PosseのEP『Fling Posse-F.P.S.M-』に収録されている飴村乱数のソロ曲「drops」です。上の動画では冒頭から1番サビ終わりまで聴けます。Apple Musicではフルで聴けるよ!

この曲も洋楽の大ヒットソングのオマージュです。
ネタにされてるのがこちら、Maroon 5が2014年に発表したシングル「Sugar」。

普段はあんまり洋楽を聴かなくても、彼らの名前は聞いたことあるという人はいるんじゃないでしょうか。2019年2月にはここ日本で東京ドーム公演も成功させている、超ビッグなアメリカのポップ・バンドです。ちなみに東京ドームの収容人数はコンサートの場合だいたい5万5千人くらいです(設営にもよるけど)。
2019年10月の時点でこの曲のビデオ再生回数はなんと30億回。全米シングルチャートでは最高2位(ちなみにどうしても勝てなかった1曲はマーク・ロンソン feat. ブルーノ・マーズの「Uptown Funk」)。まぎれもない大ヒット曲です。

両方の曲を聴き比べると、ベースとなるテンポや曲の雰囲気そのものがまず似ていることが感じ取れると思います。サビの作り方も【メインメロディA】→【メインメロディB】→【メインメロディA】というサンドイッチ状の構成が全く一緒です。

本当はここでコード進行が〜とか書き出して解説できたらカッコいいんですけど、ワタクシその手の音楽理論はきちんと勉強していない人なので、それができないんです申し訳ねえ。もしも解説できる人がいたら助けてほしいナ……。

で、シンプル&キャッチーなMaroon 5の大ヒット曲をこんなに上手いことオマージュした「drops」を書いたのは一体誰なんだろうと調べてみたところ、作詞を担当したCHI-MEY以外は海外のソングライターチームを起用した曲でした。
クレジットを見ると作曲者は「Mike Woods, Kevin White, CHI-MEY, Andrew Bazzi, MZMC」とあります。Andrew Bazziはカバー曲や自作曲をYouTubeにアップして頭角を現したアメリカの若手ソングライター、バージィですね。それぞれのソングライターの楽曲提供履歴を調べたら、EXOやNCT、Super JuniorなどK-POP界隈の曲を書いていることが多い人たちのようです。
K-POPはBTSを筆頭にアメリカ進出も盛んですし、そのためにアメリカのポップのトレンド研究に余念がないシーンなので、Maroon 5のヒット曲の要素をうまくオリジナル曲に落とし込むためにK-POP周辺のソングライターを使ったというのはあり得る話だと思います。

「drops」がMaroon 5の「Sugar」にオマージュを捧げているのは、何も曲調だけの話ではありません。タイトルも歌詞も、乱数の名前や性格を表現しながら最大限にオリジナル曲へのアンサーとして機能しています。
まず、曲名の「drops」ですがこれは飴玉という意味もあり、乱数の飴村という苗字と掛けてある。で、飴玉の材料といえば……そう、砂糖=Sugarというわけです。うまーい! だからトップ画像にも砂糖の画像を貼ったわけ。

さらに歌詞を見ていきましょう。オリジナルの「Sugar」は、ド直球のラブソングです。「Need little a sweetness in my life(僕の人生にはもう少し甘みが必要)」「Your sugar, Yes please(君はシュガー、それは君のことなんだ)」と、歌い手が恋人に愛を乞う、甘いもの=恋人自身を求めるような内容ですね。英語では恋人のことをハニーとかダーリンと呼ぶことがありますが、シュガーもそういった言葉の一つです。

一方の乱数の方は「I drop my drops(=飴玉) マジカルLollipops(=棒つきキャンディ)拾いたければ拾えば」「癖になっても知らないよ」「甘い甘い乱数の飴 君にも降り注げ」と、「甘いものをあげる」というスタンスの歌詞です。
自分が中毒性のあるシュガーであることを自覚しており、「欲しければあげるよ」とちょっと投げやり?挑発的?な態度で“くれてやる側”として振舞っているわけです。魔性の男っ……!

つまり、Maroon 5は「Sugar」でスウィートなものを求める側の気持ちを歌い、乱数は「drops」でスウィートなものを与える側としての立場を歌っていることになります。この対比とオマージュ、乱数の名前とキャラも活かした上でやっているのってすごく見事じゃないですか? 私はこの2曲を聴き比べた時、思わず唸っちゃいました。前回書いた「シノギ」も丁寧に作られたオマージュ作品でしたが、この「drops」も負けてないと思います。

余談ですが上に貼ったMaroon 5のMVは、バンドが何組かのファンの結婚式にサプライズで訪れて演奏するという内容です。見ているこっちもハッピーになれるビデオなのでぜひ一度観てください。

では、次回はシンジュクの「Shinjuku Style 笑わすな」をやりまーす。

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