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年間ベスト・シングル2018

音楽ライター、ナカジこと中嶋友理がお送りする2018年の年間ベスト企画、シングル編です。
この後発表予定のアルバム編、そしてすでに公開済みのライヴ編とあわせてお楽しみいただければ幸いでございます。
それでは早速行ってみましょー!


①「1999 Wildfire」Brockhampton


はい、曲単位ではアメリカの若手ヒップホップ・クルー=Brockhamptonが1位です。
ケンドリック・ラマー&SZAの「All The Stars」も大好きな2018年の代表曲なんだけど、アルバムとライヴの方で上位に入れたのでこの部門では他に譲ります。

まあこのnoteでファンジン始めてしまったことからもわかる通り、2018年前半の我がスターがケンドリックだったのに対し、後半のアイドルは完全にBrockhamptonでした。
7月上旬にラジオで解禁されたのを聴いて、「何これ!好き!!!」と即恋に落ちてしまったのがこの曲です。
ファースト・リッスンで雷に打たれたような衝撃を受ける曲との出会いってそうそうあるもんじゃないんだけど、2018年はこの曲のお陰で久々にその痺れるような快感を味わうことができました。

この曲はもともと2018年夏頃の予定されていたアルバムのためのリード・シングルとして製作されたもので、この後「1998 Truman」と「1997 Diana」という毛色の違う2曲も公開されています。
後者2曲も大好きで、実質2位と3位なのですが、トップ3を全部Brockhamptonで埋めると他のアーティストが選べなくなるのでここは1.2位と1.3位というずるいカウントで逃げ切りたいと思いますw

2018年一番勢いがあったヒップホップ・クルーと言っても過言ではないBrockhamptonですが、この曲は割とゆったりとしたビートで、メンバー各々の個性とスキルがしっかり表現されている印象。
シンガロングできるキャッチーなフックと洗練されたグルーヴで、フロアバンガーとしてウケたというのも納得の一曲です。ライヴ映えで言ったらアグレッシヴな「1998 Truman」やパーティーチューンな「1997 Diana」の方が上なんだけど、「2018年のBrockhamptonの良さ」を凝縮できているという点ではこの曲がベスト。
2019年はこれを超えてくる曲を期待しています。

②「Trip」Ella Mai


これもラジオで聴いて恋に落ちてしまった曲。
ロンドン出身、24歳の女性R&Bシンガーです。

もーとにかく彼女は声が好き。
私、女性シンガーや女性ヴォーカルのグループにハマることって少ないんですけど、この人の声はとにかく聴いていて気持ちいい。
昨年公開されてた「Boo'd Up」も知ってはいたんですが、本格的に彼女の魅力の虜になったのはこの曲ですね。
今年リリースのセルフタイトル・アルバムもかなり良かったんだけど、声を聴いてるだけで気持ちよくなってしまうあまり、曲単位で印象に残るポイントがあまりなかったのでベスト・アルバムからは外しました。
来年あたり来日しないかなあ。
ブルーノートとかビルボードライブでお酒飲みながらしっぽり聴きたいです。

③「Move Me」Mura Masa & Octavian


昨年のアルバムも各メディアで絶賛だったUK出身のエレクトロ・ミュージック界の新星、ムラ・マサのアルバム未収録シングル。
南ロンドンのラップ/グライム界隈で人気のアーティスト、オクタヴィアンと組んだ1曲です。
淡々としたビートとライムなのにめちゃくちゃ色気があって、これ22歳が作ってるってマジ?って何回も思っちゃいました。
このドライなセクシーさと中毒性がたまりません。
作業用BGMとしても優秀で、集中したい単純作業の時に1曲リピで聴きまくってました。

④「This Is America」Childish Gambino


この曲についてはあんまり概要を説明する必要もないかと思いますが、一応。
俳優ドナルド・グローヴァーのラッパーとしての活動名義、チャイルディッシュ・ガンビーノが発表した新曲。
「Black Lives Matter」の流れを汲んだメッセージの強烈さと、MV初見時のインパクトは2018年で一番デカかったかも。
この曲はこの後リリース予定のアルバムに入らないみたいですね。
「Black Lives Matter」に対する彼なりの緊急メッセージとしてリリースしたものなのかもしれません。

あと曲とは直接関係ないけど映画『ハン・ソロ』のランド役が最高すぎたってことも書いておきたい。
ランドが動かなくなったL3に「ごめん」って言ったシーン、エモofエモでしたよね!?!?!?

⑤「One Kiss」Calvin Harris & Dua Lipa

2018年夏のテーマ・ソング。
カルヴィンらしい、リッチすぎないトラックの上で自信満々ガールのデュア・リパが挑発的に歌ってるっていうこのコンビネーションが絶妙でした。
ドライヴ用のプレイリストとかに入れて聴きまくってましたね。

⑥「Underwater」Rufus Du Sol

シドニーのトリップ・ホップ・トリオのシングルです。
11月にはこの曲を含むアルバム「Solace」も出ていてこれもなかなかお気に入りなんですが、先行曲としてシングルの中でもこの「Underwater」は不穏な感じの女性コーラスが特にツボでした。
この手のエレクトロ系アーティストってゲストシンガーを迎える形が多いんですが、彼らは自分たちでヴォーカルを立ててます。
この渋めのヴォーカルの声がまた味があって好きです。
ライヴ見てみたいな〜ULTRAとかで来日しないかな。

⑦「Better Now」Post Malone

なんでワイはフジロックの初日に行けなかったんや(ギリギリ)
アルバム「Beerbongs & Bentleys」ももちろん好きなんですが、中でも突出して良かったのがこの曲。
そもそもポスト・マローンはヒップホップなのか?という議論もあるようなんですけど私は別にその論点には全然興味ないです。
もともと白人のロック(しかもメタルとかラウドロック系)好きというところから出発し、ヒップホップに開眼して今のスタイルに落ち着いたという彼の存在の「今っぽさ」がすごく好きだし、自分も似たようなリスナー遍歴なので抵抗もない。
一番驚いたことといえば彼があのナリでまだ23歳ってことかな……。

⑧「Venus」大橋トリオ

珍しく日本のアーティストから1曲。
大橋トリオ、今年リリースのアルバム「STEREO」収録のシングルです。
InterFMかなんかで流れてたの聴いて「わー好き!」と思ってDLしたんでした。
私、男性が女性言葉で歌ってるのに弱いという性癖がありまして。
調べてみたら大橋トリオの作詞ってずっと女性の作詞家さんがされてるんですね。
あとこのジャムっぽい間奏が夜の運転中とかに聴くと大変気持ちよくて。
フジのField Of Heavenとかで聴けたら気持ちいいだろうなあ。

⑨「Play」Marmozets

開始3秒でブチ上がれるキラー・チューン。
UK産の5人組ロック・バンド、マーモゼッツのセカンド・アルバム「Knowing What You Know Now」の1曲目です。
今年この曲のイントロの瞬発力に勝てる曲って他になかった気がする。
サマソニで観られるのめちゃくちゃ楽しみにしてたので、東京がキャンセルになったのは超ショックでしたけど、単独でリベンジお願いしますね……ホントに……。

⑩「Voice In The Silence」Mutemath

2018年11月、Mutemathは今後ヴォーカルのポール・ミーニーのソロ・プロジェクトとなることが正式にアナウンスされました。
それと同時に公開されたのがこの曲。
上のビデオでは全てのパートをポールが担当し、ループを使って構成していく様子が記録されています。
Mutemathの核はポールであることを再確認できる、クールな曲です。
この人が弾いて歌えばMutemathなんだという、有無を言わさぬ説得力があります。

もともとマルチプレイヤーであるポールは、ドラムもベースもギターも自分で弾けちゃう秀才です。
でもこのベースライン、めっちゃ元メンバーのロイっぽいと思いませんか?
それもそのはず、この曲実は2009年のアルバム「Armistice」から漏れた曲で、USツアーでは何回か演奏されたことがある曲なんです。
「Armistice」期の4人(ポール、ダレン、ロイ、グレッグ)で演奏してる映像もあります。

つまりこの曲はバンド時代の名残がある、元メンバーたちの置き土産でもあるわけです。
そんなわけで私情たっぷりにこの曲を10位に突っ込む私は、やっぱり諦めの悪いMutemathファンです……。

ナカジの年間ベスト企画、シングル編は以上です。
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