自分だけは大丈夫

気温41度、湿度70%、スモッグかかった晴天。
スモッグを突き抜けてくる強い夏の日差しと、アスファルトから伝わる熱で、足が火傷しそうになる。

どんなに暑くても、マスクは外さない。
めんどくさくても、毎回建物に入るときは消毒する。
自分の身を守るため。
他の人の健康を守るため。

私が住んでいる外国のこの街は、コロナの影響を最小限に抑えられている。
外国から帰国した人が1人感染していたと言うだけで、大袈裟なくらいビクビクする。
そのおかげで、多少の影響はあるものの、仕事もなんとかできている。

私だけでなく、街の人々は、買い物や外食は極力回数を減らし、テイクアウトやデリバリーを活用している。

エレベーターでは話さないし、椅子は一つおきにしか座らない。

電車やバスに乗るときには、必ずマスクで、距離を取る。
そもそも日本のように混雑してない。
公共交通機関を使わなくても通勤できる距離に住んでいるということもある。
ただ、たいてい狭い部屋の集合住宅。
日本のような庭付き一戸建ては夢のまた夢。

街歩きでも、買い物でも、職場でも、できるだけマスクをして、手洗い、消毒は欠かさない。

混雑して、人に迷惑をかけそうなときは、諦めて帰るか、時間をずらしてまた来る。

感染者ゼロが1か月以上続いたので、旅行もできるようになった。
それでも、決して「自分だけは大丈夫」と思わないし、街の人々もそう思っているのがわかる。
だから、ナーバスになって、コロナ対策をする。

自分の身は自分で守る。
他の人の健康も守る。

そんな当たり前の思いやりが、この街にはある。

だから、感染が拡大していない。

日本で感染が拡大している。
日本にいる家族や友だちがとても心配。
この街の人も日本を心配している。

マスクが暑いと文句をいい、感染が拡大しても、死者が少ないから大丈夫と言ってるコメンテーターがいるから驚く。
死ななきゃいいという考え方、私は理解できない。

「自分だけは大丈夫」
ナイフよりも、ピストルよりも、爆弾よりも怖い考え。

試されているのは自分。

あくまで個人の見解です。


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