「月刊ショートコント」を持ち込んだら

編集の方は、読んだ後にため息をつかれました。

「絵をもっと練習しろ」
「うちの雑誌は、日常のシチュエーションで笑わすという4コマだから、この、女の子がすごく変わってることで笑わす作風は合わない」
「作風とか抜きにアドバイスすると、これだと同じパターンばかりになってしまうと思う」

と、今思えば持ち込みなんか行かなくたってわかりきったようなことを丁寧に教えてくださったなと、わざわざこんな作品を読んでアホな漫画家志望にアドバイスするために時間を割いてくださった女性編集者の方には感謝しかありません。


しかし当時の私はアホだったので「チクショウ」と思いながら帰りました。
これでデビューできると思うほどアホではありませんでしたが、わざわざ電話かけてアポとって持ち込んだということは、多少なりともウケるだろうと思ったに違いないです。

だいたい、本当にウケがよかった作品を持ち込む時でさえ、
自分の描いた、ウンコとか鼻くそとかバカみたいな漫画を手元に置いて、厳粛な雰囲気(出版社によりますけど)と緊張感の中待たされるあの時間ってイヤなものなんです。


ましてこの作品ですよ。
どれだけ無謀だったかは、漫画家を目指したことのない方でもなんとなく察してもらえるんじゃないかと思います。

だけど私が本当に言いたいのはこっから先。

私の得意技は、「全裸体当たり大作戦」。


やりたいことのために、恥を捨ててぶつかって、とりあえず体験して、失敗してみる。


日本語を学習しようとする外国人に、「日本語を早く話せるようになるにはどうしたらいいか」と聞かれたら、
「座学もいいけど、とにかく日本人とたくさん喋りましょう」
とアドバイスしたくなる、あのかんじ、

話を聞くだけじゃどんなもんだかわかんないんだから、とりあえずやってみて失敗しましょう、です。

お前ごときが失敗して恥かいたところで、誰も気に留めないから。

失敗することでしか学べないんだから、失敗したらカッコ悪い、傷つく、恥ずかしい、、などと鼻くそみたいなプライドは捨てろ。

当時の私には、実際に出版社に行ってため息をつかれボロクソ言われるという経験が必要で、その失敗がなければ気づけなかったのです。すすめなかったのです。アホだから。

だからあんな作品を持ち込んだことは後悔してない。

これはいくつになっても忘れたくない私の得意技です。

相手が歳下であっても、
「私なんにもわからないけど、やってみたいので教えてください!!」

失敗したら、恥をかいたら、
「ハイすみません気をつけます!もう次はしません!」
「そうだったんですね!今覚えました絶対忘れません!」

でいいじゃん。
それで一歩夢に近づけたんだから。

同じ失敗を、繰り返さなきゃいいだけの話。
(自動車運転とか命にかかわることはまた別だけど)


やりたくもない仕事だとそういうのっていちいちストレスなんですけど、
本当にやりたいことだと、イヤな思いは1日で終わる。


もちろん、歳を重ねれば経験は増えますし若いときよりも世間を知ってますから、ある程度予測がついてて確実に無駄だと思うことはやりませんし、事前に準備できるとわかってることはやりますけど、

本当にやってみないとわからない、けどどうしてもやってみたいことに関しては全裸体当たり作戦を発動させます。
そういう時って結果がどうであっても、
はぐれメタル倒したときくらい経験値もらえるんです。


まあなんといってもまずは、
「何に替えてもやりたいことがある」人間って最強なんですよね。
私は自分のそういう気持ちは大事にしたいし、そういう人は応援したい。

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