ワシントンポスト 9/13/2022の記事の翻訳です。

米国の新たな情報機関のレビューによると、ロシアは2014年以降、国境を越えた政治的出来事を形成しようと、20数カ国の外国政党や候補者に少なくとも3億ドルを密かに流した。

バイデン政権がこの夏に委託したレビューによると、モスクワは民主主義制度を弱め、クレムリンの利益と一致すると見られる世界の政治勢力を促進する秘密作戦の一環として、更に数億ドルを費やす計画だった。

ある米政府高官は、他の政府高官と同様に、情報の調査結果を議論するために匿名を条件に火曜日に記者会見し、ヨーロッパ、アフリカ、その他の国々で政治体制を揺るがすロシアの能力に対抗するために、政権は調査結果の一部を機密解除することを決定したと述べた。

「ロシアの秘密政治資金と民主主義プロセスを弱体化させるロシアの試みに光を当てることで、外国の政党や候補者に、ロシアの資金を秘密裏に受け取れば、それを暴くことができると警告している」と、同高官は述べた。

この問題に詳しい政府関係者によると、こうした活動が確認された国には、アルバニア、モンテネグロ、マダガスカル、そしてエクアドルが含まれる可能性があると言う。

また、ロシア大使が大統領候補に数百万ドルの現金を渡したとされるアジアの国（名前は伏せた）を指摘した。また、クレムリンとつながりのある勢力は、ペーパーカンパニーやシンクタンクなどを使って政治的イベントに影響を与え、時には極右グループの利益となることもあると言う。

高官によると、米国政府は2014年にロシアの秘密政治資金調達の増加を検出した。この見直しは、米国内のロシアの活動には触れていない。

米国のスパイ機関による評価と超党派の上院の調査は、ウラジーミル・プーチン大統領率いるロシアが2016年の大統領選挙で当時の候補者ドナルド・トランプを支援するための干渉キャンペーンを開始したと結論づけた。

クレムリンの政治的影響力行使とされるキャンペーンの詳細が公表されたのは、米国が対ロシア戦争でウクライナへの軍事支援を拡大し、現在7カ月目に入っているためだ。

今年初めからホワイトハウスは、ウクライナに関連するモスクワの意図と行動に関連する機密解除された情報を繰り返し公開するという異例の措置を取っており、これはプーチンの野望を押し返し、米国当局者がロシアの偽情報操作と表現しているものに対抗する試みの一部である。

国務省が月曜日に100カ国以上の米大使館に送った公文書には、ロシアの活動疑惑が記載され、米国とその同盟国が制裁、渡航禁止、政治資金活動に関与したロシアのスパイ容疑者の追放など、反撃するために取るべき措置が提案されている。

当局者が記者団に提供したこの公電によると、ロシアの政治資金はロシア政府高官や議員が監督することもあり、ロシア連邦保安局などの組織が実行していたと言う。

また、このケーブル(電報)では、エフゲニー・プリゴージンとアレクサンドル・ババコフを含む、「資金調達スキーム」に関与しているとされるロシアのオリガルヒの名前も挙げられている。ロシア政府のケータリング契約で巨額を稼ぎ、「プーチンのシェフ」と呼ばれるプリゴージンは、2016年の米選挙に干渉しようとした罪で2018年に米当局に起訴された。民間軍事会社「ワグナー」との関係も指摘されており、FBIに指名手配されている。

モスクワは暗号通貨、現金、贈り物を使って他国の政治的出来事を形成しており、しばしばそのためにロシア大使館の口座や資源を使用している、と電報は述べている。

「今後数カ月、ロシアは中南米、アフリカ、中東、アジアで、国際制裁の効力を弱め、ウクライナでの戦争が続く中でこれらの地域での影響力を維持しようと、秘密の政治資金を含む秘密の影響力ツールキットにますます頼るようになるかもしれません」と、同電報は述べている。

米国の外交官は、他国の外交官にこの活動についてブリーフィング(簡単な説明報告)を行っており、米国の当局者は、特定された国や金額をはるかに超える可能性があると考えている。

「これは氷山の一角に過ぎないと考えている」と高官は語った。「だから、傍観するのではなく、我々はこれらの対応策を共有している 」と述べた。

米国当局は、米国政府がロシアの活動の全体像を把握するために、ロシアの資金調達に関する独自の情報を共有するようパートナー国にも求めている。

今回の見直しは、米国におけるロシアの影響力の行使については触れていないが、同高官は、この問題が米国の政治体制と選挙を守るための継続的な作業を必要とする主要な課題であることを認めた。

「我々にも、この脆弱性があることに疑問の余地はない」と同高官は述べた。

ワシントンのPaul Sonneがこのレポートを寄稿した。