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密会 -前編-

10月23日、月曜日。

夏の終わりにメロン記念日にハマって早2ヶ月。
ハマった頃にはもうすでにSold Outしていたイベントのチケット。

こればっかりは仕方ないと思いながらも、どうしても行けないことが悔しくて、虚しい心にいろんな言い訳を詰め込んでいたある日。

何気なくTwitterをみていたら、行けなくなった方のお譲りツイートを発見。
詐欺かもしれない、いや詐欺でも嘘でもこれに賭けてみよう!という気持ちでDM。最後まで疑っていたものの詐欺ではなく本当によい方で、あれよあれよという間に、なんと行けることになってしまった。

もし行けることになったら大泣きするかもと思っていたのに、それまで心のなかにたっぷり詰め込んでいた言い訳を誰かに強奪されたような感じでぽっかり空洞ができてしまい、ただただポカンとしてしまった。

そして、よろこびよりもやってきたのは不安と緊張と焦燥感。すぐさま緊急事態を別界隈オタクの友人に宣言。テンパる私の様子をみてその日の夜に会合を開いてくれ、ちぃかわのステッカーを一緒に選んでもらい、銀座のロイホで作戦会議。

もしイベントなどでお逢いする機会があれば村田さんにお手紙を書きたいと思っていたけれど、もう1週間弱しかない。
仕事で文章を書くことはあっても、自分の言葉で書くことをここ数年本当にできていないので、自信がないし怖かった。
でも、何を書きたいのかたくさん話して、「あとは書くだけですね!」と背中を押された帰り道、数年ぶりの“書きたい”という気持ちが、久しぶり〜と言わんばかりに湧いてきた。どこ行ってたんだ、逢いたかったよ。

それから約4日間、手紙の下書きを当日朝まで何度も何度も推敲。
やっとできたー!と思っては気になって直して…をくり返し。
最後まで自信はなかったけど、前日の夜にずっと持っていたのに観れていなかった解散ライブDVDでの、4人とヲタもだちの勇姿をみて腹を括った。



10月28日、土曜日。

連日の推敲で寝不足になりつつ、いざ、新宿ロフトプラスワンへ。
一度行ったことがある場所のはずが、客席がどんなだったかなど全然覚えてない。整理番号順も超久しぶりで、とにかくあせる。

並んでいると、想像通りレジェンド級のヲタもだち(と思われる)方々が次々へと現れ、みんなあいさつを交わしている。当たり前だけど私には知り合いなんて誰もおらず、独りでものすごいアウェー感。
たかが2ヶ月の新参者、人権がないとはこのことだ…

うしろに並んだ方々が「この缶バッチ、いる人いない?」などと和気藹々と話されていてすごく愉しそうで、いいなぁ羨ましいなぁ(缶バッチほしい…)と思っていた。

そして、開場して階段を降りながらふと振り返ったとき、
たまたまうしろに並んでいたお姉さんと目があって、あろうことかニコッと微笑んでくださったのだ…!!
「いまだーっ!!いけーっ!!」
心の声に従って、持ち前の行動力を活かして話しかけた。
「あの、今年の夏からで、初めてなんですけど…缶バッチください!」
急な自己紹介にもかかわらず、「なんだって!?」と周りの皆さんが一斉に振り返って話しかけてくださった。(缶バッチもくれた!)
「よかったら、お姉さんのとなりに座ってもいいですか?」
「いいですよ!仲間が先に入ってるので合流しましょう!」

お姉さん、やさしすぎる…と思いつつ、はて、仲間とは…??

こうして人権のないアウェーな私は、気づいたらレジェンド級のヲタもだちの皆様に囲まれながら、『密会』をむかえることになっていたのだった。


つづけ

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