目的地に早く辿り着くだけが「正しい人生」じゃないから。


ここ数日、仕事で遠方の街に来ていた。今日、帰る予定だった。
夕方に仕事が無事終わり、予約をしている帰りの電車に飛び乗るため、まずは目的地としてJRの駅に向かおうと、用事先の近くの停留所から路線バスに乗った。

そのバスは終点の停留所が行きたかった駅だから、ずっと乗っていれば、早くに目的地に着くことは分かっていた。
そのつもりでしばらく乗っていて、ふと、窓の外の天気がとても穏やかだったので、車内に差してきた光を辿ってみる。すると、朗らかに春がこちらを見つめていた。

桜だ。

この街では、今日が一番の見頃なんだ。

咄嗟に荷物をまとめ、終点よりもだいぶ前の停留所で急いで降りた。

降りてからしばらく道なりに沿って歩いてみると、お花見で有名な広々とした公園に辿りついた。やはり、満開のさくらは美しくて、優しくて、可憐で、とても愛おしかった。


ここ数日、仕事も仕事以外も、ちょっと様々なことで私はバタバタしていて、少しだけ疲れていた。

あのまま目的地に早く行けば、一便早いJRに乗ることが出来て、恐らく今夜はより早めにゆっくりと休むことが本当は出来たと思う。

でもわたしは、目的地に早く着くバスに乗っていても、窓の外の風景が美しいと、嬉しくなって途中下車してしまうタイプの人間だ。

つい「きっとどうにかなる」と考えて、少しだけ見え隠れする世界に期待をして、寄り道をしてしまう。

そのせいで、目的を果たすまでにいつも時間がかかり、結果、人よりも遠回りでのゴールになってしまいがちなのだけど、こうしてゆっくりと外の世界を味わって、自分を見つめる時間を取ってしまうことは、私にとって凄く重要だ。

それは、自分が「目的地に辿り着く早さ」よりも、「どうやって目的地に辿り着き、辿り着いた時に振り返った過去の道のりがどれだけ濃ゆいものだったか」を重要視したくなるからだ。

普段のこうした「くせ」は、自分の人生観そのものだな、とふと感じる。

あえて寄り道をしたおかげで、その後の今日の帰り道はなんだかとても穏やかな気分に満ち溢れた。

ついつい誰かに今までの感謝の気持ちを伝えたくなって突然メールをしてしまったり、いい旅だったな、いい出会いだったな、いい時間だったな、と、ここ数日間のシーンが思い出補正されながら蘇ってきたりと、たったそれだけで、なにげない時間の流れが色濃いものへと変化した。

寄り道と聞くと、ふと、ネガティヴに捉えられがちだけど、その後に戻った世界をより大切に取り扱いたいのなら、寄り道だって決して悪いものでは無いのでは無いか、と思った。

**目的地に私たちはつい早く行きたくて生き急いでしまうけれど、目的地に辿り着いてからが本当の旅の始まりならば、焦らずに脱線を恐れないのも良いかもしれない。 **

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やっぱり、今日の咄嗟の思いつきは、いい寄り道だったな、と、写真を見返しながら思い出に浸ってみる。

こういった「一見無駄」なことを、これからも大切にしていきたい。と、思った。

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川口 ゆり

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