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Thank you for everything

とうとう最終節。相手は浦和レッズ。
まさかの小野伸二引退試合になるとは思っていなかった。

席に着くと、紙が貼ってあった。
いつものことながら、準備した方は大変だったろうと思う。ありがたいことだ。

今年は、伸二くんのゲーフラを一度も上げることがなかった。
皮肉にも、あげられるのが引退試合になるとは全く予想していなかった。
上げられたゲーフラは、練習でピッチに入ってきた彼の目に映っただろうか。

会場が暗転してコレオが始まる。
ゴール裏には44の白文字が浮かぶ。
スタメンに名を連ねたのはいつぶりだろう。
ゲームキャプテンとして、サッカー選手として限られた時間ではあったけれど、彼がボールに触れるたびに何かを起こしてくれるんじゃないかという期待と、これが最後だという一抹の寂しさとが綯い交ぜになった気持ちでピッチを見ていた。
前半20分過ぎにチェックと交代が告げられると、札幌と浦和両チームの選手たちが集まって花道を作って伸二を送り出した。こんなことされる選手なんて今までいただろうか。サッカーの実力はもとより、その人柄の賜物がそうした行為になったんだろうと思う。

試合はまあ割愛。
浦和のホセ・カンテ選手が交代した時、メインの一部の人たちが拍手をした。彼もこの試合をもって引退する選手だからだ。敵味方関係なく、引退する選手にねぎらいの拍手を送れるなんて素晴らしいことだと思う。

31,143人。今季最高の入場者数。
こういう時にこそ、スカッと勝って一見さんをリピーターにするのがお客を増やす最善の策なのに、なぜだかうちのチームは勝てない。実にもったいない。


試合後セレモニー。

記録を達成した選手たちにご家族(関係者)から花束が贈られるのだが、菅ちゃんの上の子が、まるで父柴に駆け寄ってくる子柴みたいでかわいかった。

三上GMの挨拶の最中
「話なげーよ」
とアウェイ側からヤジが飛んだ。
人んとこのセレモニーに文句付けるなんていい度胸してるな
相変わらず永遠の中二病か…
今年どうして上位進出できなかったのかをフロントとしてきちんと総括して、来シーズンに向けて(ミシャが望むような)選手の獲得、現有選手の慰留に努めてほしい。私がGMに望むのはそれだけだな。

GMの後はミシャ校長の訓辞。
まず一言目から浦和サポに対する説教。
もう大いに笑わせてもらった。セレモニーでこんなにゲラゲラ笑ったのここ数年ないわ。
どうやら来期もミシャ体制になるので一安心といったところだけど、毎年毎年手塩にかけて育ってきた選手を抜かれてしまう現状で申し訳ないと思う。
貧乏は本当にイヤだ。お金さえあれば解決できることもあるのに。伝家の宝刀「選手獲得のためのCF」は今年やって来年も同じ手は使いづらいだろう。
どこかアラブの王族でもいいから、ちょっと小遣い程度の2億円くらいポンと出してくれないだろうか…


また会場が暗転して、伸二くんの引退セレモニー。
今までの経歴や、そうそうたる方々からのメッセージがスクリーンに流れる。
そして本人の挨拶。
ここでも苦言を呈される浦和サポ。なかなかの者だな君ら。誇れるような勲章じゃないから勘違いしないでね。
挨拶の終わりに、お母様が亡くなられていたことを公表して
「僕を産んでくれてありがとう」
と感謝の言葉を述べたときに、うっかり涙腺が決壊しそうになったので何とかこらえた。

最後まで残っていた浦和サポが出したダンマク。
そーゆーとこやぞ君ら!!!って指さして笑っちゃった。
でもね、確かに伸二くんが輝いたのは浦和と世界だった。それはぐうの音も出ないほどの事実。
あの日札幌テレビ塔の下で赤黒のユニに袖を通してから、伸二くんらしい輝きを放てたことは何度あっただろうか。

札幌に来て一緒に戦ってくれたこと、一度離れてもまた戻ってきてくれたこと、そして札幌でスパイクを脱いでくれたこと、そのすべてに「ありがとう」という言葉しかない。

全日程を終了し、いよいよストーブリーグに入る。
今年のチームはもう二度とみられない。
1年間、楽しませてくれてありがとう。
歓喜の声を上げたことも、いつになったら勝てるんだと愚痴をこぼしたこともあったけれど、終わってみたら来年も何とかJ1で戦える。
そして何より、あの声出し制限下から普通に声を出してサッカーを応援できる日が来たことに感謝したい。


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