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しょうがないよ。好きになってしまったんだもの。

私には夫がいる。仮に名前をSとしよう。

Sくんとの出会いは、友人の紹介だった。普段の私は、恋愛に関してはかなり感覚的に生きている。恋に落ちそうな人に関しては、出会った瞬間にピンとくる。顔がかっこいいとか服がおしゃれとかそんなんじゃなくて、第六感みたいなものが働くのだ。「この人、好きになりそう」と。

ただ、Sと出会ったときにはそれを感じなかった。「かしこくて、いい人そうだなぁ」可もなく不可もなくの極みみたいな印象。だけどSを知っていくうちに、恋とは違うけれど結婚するならばこんな人がいいのかもしれないと思うようになった。


Sはいわゆる理系の優等生タイプ。なんだって卒なくこなすし、男友達からの評価がやたらと高い。「あいつはすごい」「まじで仕事できる」「頭いい」。

愛とか恋とかはわからないけれど、まわりのみんながそう言うんであればきっと「正しい」選択なんだろう。そう思って結婚に踏み切った。

Sと、これからも平凡な日常を続けていくんだろうなあと思っていた。

私の人生を変えてしまう出会いがあったのは、Sとの生活を3ヶ月ほど続けたころだった。



順調に進むはずだった人生の歯車を、突如狂わせることになるひとと出会った。

名前はFとしよう。FはSとまったくタイプの違う人間だった。細身の体にモノトーンの服をぴったりまとう。文系というよりも「文化系」という言葉が似合う。

非難を承知でいうと、じつはSとの結婚前から、Fのことは一方的に知っていた。Fの顔がかっこいいなと思っていた。だけどそのときすでに私はSとの結婚を決めていて、私にはその道しかないと思い込んでいたのだ。

Sと歩む毎日こそが幸せなんだと自分に言い聞かせていたけれど、ことあるごとにFのことが頭に浮かんだ。この平凡な毎日を、Fと歩んだらどうなるだろうと。

Sと結婚して3ヶ月ほど経ったときだった。Sは素晴らしい人だし、誰にだって胸を張って会える相手だとわかっていたけれど、だんだんと息苦しさを感じるようになった。いっしょに時を重ねても、Sの素晴らしさに自分はついていけてない気がした。だんだん自分に引け目を感じるようになった。Sが褒められれば褒められるほど、「私は釣り合ってないんじゃないか?」という疑問が首をもたげた。

とうとう我慢しきれなくなって、こっそりFに会いにいった。

そして、気づいてしまったのだ。

Fの隣にいると、なんでもない風景がきらめいて見える。Fといるだけで、心が浮き立つ。あんなに嫌いだった自分の姿までもが、すこし可愛く見える。空が晴れているというだけでうれしくなる。世界ってこんなにきれいだったっけ?なんでもないのに泣きそうになる。

家に帰ってからも、Fのことばかり考えていた。

だけど、Sといる限り、Fとは一緒にはいられない。Sといる安定した生活を壊す勇気はない。

それから数ヶ月のあいだ、ただただ悩む日々が続いた。

自分でもどうしたらいいかわからず、親しい友人にも相談した。それでもなかなか煮え切らず、寝ていてもうなされるほど悩んだ。



だけどやっと。1週間前、答えを出した。私に決断する勇気を与えてくれたのは、paypayだった。お金の力で、私は愛を買うことにした。






Fくん、これからどうぞ、よろしくね。末長く愛することを誓います。

↑愛しのFくん:FUJI FILM X-T3



↑誰もが認める優等生Sくん:SONY α7ⅲ


【追記】
ちなみに、Fくんとのうきうき初さんぽ写真がこちら


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