ある日のニューヨーク日記とレ・ミゼラブル鑑賞記録

1年以上ぶりなので、許してください。そう、過去の日記の引っ張り出しDAYです。とっても眠くて、頭が働かないのです。

これは5年近く前、ひとりで卒業旅行と称してニューヨークへ行ったときの日記です。後半は、ミュージカル「レ・ミゼラブル(通称レミゼ)」の鑑賞記録。誰に向けてでもなく、自分のためにつらつらとEvernoteに書き溜めていたものです。

後半はただただレミゼの鑑賞メモなので、レミゼ好きじゃない人にはなんのこっちゃ?だと思います…すみません。そんな日もある、と開き直ってみます。あと、なんでハダカデバネズミがこんなに頻出するのか、今の私にはわかりません。


・・・

ニューヨークをNYCと書くと
通っぽいんじゃないかと思ったの。
通じゃないけど。

今は3月16日。
ラガーディア空港で
帰りの飛行機を待っています。
アメリカではたいていの場所で
無料Wi-Fiが飛んでるけど
ここの空港はどうやらない
(またはすごく遅い)模様。

ネットが使えると、
無意味にNAVERまとめとか見ちゃうから
Wi-Fiがない方が、シンプルでよろしい。

ちょっとぞっとするくらいの速さで
NYC(文中で使うとくどい)旅行は
終わってしまいました。

一日目のことから順に、
振り返っていこうと思います。

@シェアウス
(※注 学生時代、シェアハウス暮らしだったのです)

4:00に目覚ましをかけてたけど、
3:50に起床。
最近は朝寝坊気味だったけど、
やれば出来るじゃない。
(ニューヨーク旅行を控えていても起きられなかったらそのときはもう人間をやめてハダカデバネズミか何かになろう)

キッチンの方からなにやら物音がする。
寝ぼけた目をこすりつつ障子をあけると
茄子を焼く石田さんの姿が目に入った。

年に一度、かぼちゃスープを作るときしか
キッチンに立たないという石田さんが
旬でもない野菜をただ焼いている。

テフロンのフライパンで
ただ焼いただけの茄子が
美味しいのかわからないけど
焼いてる本人が楽しそうだったからまあいいや。

石田さんにいってきますを言って、
いざ出発。

朝の下鴨神社の空気はやっぱり特別。
空気中にわさびが0.2%くらい混ざっていて
ぴりっと気持ちよい。

前回のリュックサッカー旅行は楽だったけど
楽すぎて張り合いがないくらいだったので
今回は我が家最大のスーツケースを
実家から召喚しました。

ごろごろ。重い。ごろごろ。遅い。楽しい。

重たい物体を転がしているだけなのに
なぜこんなに楽しいのか。

重い荷物を運ぶ喜びを
「ドM」の一言で片付けようとする。
情緒を介さぬ人間なんか
ハダカデバネズミに蹴られっちまえ。

3年ぶりの伊丹は
ちょっと小奇麗になってたけど
記憶の中とあんまり変わっていませんでした。

ANAのお姉さんの対応は
「これぞ日系」という安心感。

一瞬たりとも途切れぬ笑顔と、
細やかな配慮。
荷物の上げ下げは手伝ってくれるし、
質問には丁寧に回答。
エアアジアを使った直後なので、
違いが顕著に感じられる。
一人ひとりのスタッフが
全体のシステムをきちんと把握している感じ。

「安心感」というのは
会社として大きな武器だと感じました。
特に飛行機は、
なんとなく緊張感が漂う乗り物だし

お客さんに対して
「ここのスタッフに任せれば大丈夫」
という気もちを抱かせることは
(ほんとうに大丈夫かは別として)
会社全体のイメージに
貢献するものだと思いましたとさ。

さて、飛行機に乗ります。

伊丹-成田間は小さな機体で、モニターもなし。
離陸した途端眠ってたみたいで、
どうやら機内食を食べそこねた模様。
・・・・・・痛恨のミス!

しかも、飲みもののサービスのときに
コンソメスープを貰いたかったのに
気づいたら「お茶ください」って言ってた。
特に飲みたくもなかったはずなのに
お茶て・・・。なぜだ・・・。

自分の行動は
ときに自分でも制御出来ません。

たぶんまたうとうとして
瞬く間に成田到着。
乗ったうちにカウントされないくらい
あっという間。

成田からの国際便は、
実は初めてです。
前回はジェットスターだったので
成田感ゼロでした。

成田の国際ロビーは想像通り広くてきれい。
でも広すぎて
とてもじゃないけど全貌はつかめなかった。
そして売ってるものが全部高い。
(この瞬間から、値札に対して毎度毎度毎度「高いわ!!!」と毒づく日々が始まる)

NHKニュースを見ながら
ポテトサンドイッチを食べ、
エネルギー補給。

12時間のフライトでしたが
機内の映画のラインナップが素晴らしく
退屈する暇もなくニューヨークに到着。

「インターステラ―」
・子供時代のマーフがアン・ハサウェイにそっくりだったのは特に意味なし?
・マシュー・マコノヒーはキムタクに似ている。口の開け方が。
・マシュー・マコノヒーはやっぱりそんなに好きじゃない。
・パパ勝手すぎる。
・ストーリーは、奇想天外・・・ではなかったかも。タイムトラベルの王道。
・ラストの後味の悪さはよい。
・音楽、デプラってハリポタの曲も作ってたな
・マーフかわいい
・時計はちょっと納得しかねる。
・コーン、巨大な畑、これぞアメリカ
・一歩間違えばB級の設定をスリリングに練り上げるクリストファーノーランさすが
・大画面で観るのに適した映画だと思うけど、
揺れる機内で見るのも悪くない映画

「ベイマックス」
・背景の美しさ、こだわり
・キャラ設定は日本受けしなさそう
・こないだジョン・ラセターのドキュメンタリー観てたから、
ストーリー展開や背景に注目できて面白かった
・ロボットの話はこれからきっとどんどん増えていく
・この既視感はドラえもん

「イミテーションゲーム」
・カンバーバッジはシャーロックそのもの
・観る方は、役者のほかの作品のイメージもそこに重ねている
・パソコンも戦争がつくったのか
・テーマはブレ気味。個人の話か、同性愛の話か、メカの話か
・キーラはいつでもキーラ。でもそれがいい
・インターステラーがアメリカ感ばりばりだったのに対して
こちらはイギリス映画。抑えめ。控えめ。


てな感じで夢中で映画を観ていたら、
あっという間に
着いてしまいました。
ニューヨーク。

機内から見た日の出と、
霞むニューヨークの摩天楼は
忘れがたい光景。

飛行機から見る日の出は
幻想的で美しいのに
みんな寝てた。

アンコールワットで朝日を見たときと
大違いでなんか不思議な感じ。
「はい、朝日が出ますよ!」って言われないと
人は太陽を見ないのか。

ほとんど寝てないんだけど、
ニューヨークは朝。
これから一日が始まります。

エアトレインと地下鉄を乗り継いで、
まずはホステルへ。

Booking.comでとても評判の良かった
Local Hostel NYC に6泊。

荷物を置いたら、
いざマンハッタンへ。
向かうはタイムズ・スクエア。
ライオンキングのチケットを
ゲットしに行きます。

日本国内から、座席指定でチケットを買うには
「チケットぴあ」のアメリカ版のような存在、
「Ticketmaster」しか手段がありません。

しかしこのTicket Masterには
あまり良い思い出がないうえ、
S席(オーケストラシート)前列が
250ドルくらいするので
もう現地で買おうと決めたのでした。

チケットオフィスでの購入は
拍子抜けするほど簡単。
あっさり。

希望の日にちと座席を言って、
値段を聞いて、
お金を払う。以上。
IDの提示もなかった。

ライオンキングは値段表もなくて
価格は流動的みたいだけど、
ほかの劇場だと
一覧を張り出してあるとこもあった。

覚悟してた値段の半額で
オーケストラシートをゲット!

チケットさえ確保できればもう安心。

シェイク・シャックでお昼ごはん。
オーガニックのハンバーガーって、
ジャンクな精進料理と同じくらい違和感あるけど
前者はどうやら成立できるらしい。
ジューシーなパテがおいしいバーガーでした。

その後はタイムズ・スクエア周辺をぶらぶら。
ディズニーストアのぬいぐるみ、
顔ぶれがアメリカンでした。

ライオンキングを上映している
ミンスコフシアターの向かい側なだけあって、
日本じゃなかなかお目にかかれない
シンバのぬいぐるみも売ってた。

その後、大好きなドラマ「フレンズ」の
グッズを探しにNBCスタジオへ。
ロックフェラーセンターの中に入っています。
終了してからもう10年経つのに、
まだグッズが売られてる。

ほんとに愛されてる証拠ですね。
マグカップとかキーホルダーとかを探したんだけど
Tシャツ(ドクターラモーレ)とエプロンしかなかった。
残念。

ラジオホールも外側から見て、
「ライ麦畑でつかまえて」のホールデンごっこ。

それからアンティークショップの一角めざして
25Stの方へ向かいます。

雨が降ってきたし、
お腹も空いてきたし
ひとまず休憩。

24時間営業のカフェに入りました。
深夜にカフェなんて行くことないんだけど
いつでも開いてるお店って
なんだか安心感がある。

眠気と寒さでふらふらしながら、
マフィンとコーヒーを注文。

地元のおじちゃん・おばあちゃんたちが集う
のどかなレストランでした。
日本の喫茶店の感覚に近い。

マフィンはバターが効いてて
わざとなのかなんなのか、
分解された状態ででてきた。
隣にジャムがてんこもり。

そのあとのこと実はよく覚えてない。

気がついたらtktsの価格をチェックしてて、
レ・ミゼラブルの当日券を買うか
悩みに悩んでいました。

tktsの窓口に行って、値段を聞いて、
観ようかなやっぱやめようかな、を
繰り返すこと3回。
雨のせいか人は全然並んでなかった。

寒いし眠いし
さっきのマフィンで
なんだか胃もたれがしてるし・・・
という最悪のコンディションの中、
なぜか針が振りきれてしまったようです。
いきなり決心が着き、お支払い。

開場まで30分くらいあったのだけど、
ほかのところを見て回るほど元気もなく
雨も降っていたので劇場入り口で待機。

レミゼを上映している
インペリアル劇場は、
入ってすぐに座席が広がっています。
こぢんまりとした印象。

赤いカーペットと
控えめなシャンデリアで、
落ち着いた雰囲気。
サイドとはいえ、
予想をはるかに上回る良い席に興奮。
(窓口の説明じゃいまいち席がわからなかった)


以下、レミゼ鑑賞記録。

・・・

「オープニング・囚人の歌」
音楽でも小説でも映画でも、始まりと終わりはやっぱり特別だと思います。特にミュージカルは、観客を強引に引き込まないといけないわけだから、最初の一音がとっっても大事。

(ていう話を書きながら気づいたんだけど
The Mob Song、音程で表そうとするとめっちゃ間抜けだ。)

「ラレッレッレレー」

とにかくあのイントロは思い出すだけで鳥肌。銅鑼を演奏する人、楽しいだろうな。

ファレレドファレレドファ・レ・レ・ド・レ 「「「ジョワーーーーーーーン!!!!」」」」

新演出は最初から飛ばしてきます。
スクリーンを使った水しぶき。

全体を通して、映画とのリンクが強まってるように感じた。旧演出の詳細は覚えてないから断言は出来ないけど。

最初の囚人たちからやられた。これこれ、これが聞きたかった!っていう、迫力のある声量。

そして大好きな俳優、ラミン・カリムルー演じるバルジャンの登場です。

あまりにおっさんで、本当にラミンなのか疑ったくらい。でもギラッギラの眼力がまごうことなきラミン。初代バルジャン、コルム・ウィルキンソンさんは全身から善人オーラが溢れ出てたけどラミンは全然雰囲気が違う。田舎のヤンキー的素直さと荒々しさが同居している。この人ならパンくらい盗みかねないなって感じの、人はいいけど喧嘩っぱやそうな雰囲気。

「バルジャンの独白」
ラミンは声が高めなので、音が低いとこは台詞風にしてました。でもアドリブ効いてて、聴いててきつい感じはしなかった。

工場長の歌い方は割りと好きでした。ファンティーヌは、衣装はみんなと同じだけど居る場所が一人だけ違った。

メイヤーバルジャンの登場。不思議なくらい、ちゃんとおっさん。

「ラブリーレイディー」
客席ウケてた。ファンティーヌの痛々しさがかなりリアルでした。
アン・ハサウェイに足りないものが一つあるとすれば、金髪なんじゃないかと思った。「金髪のお嬢さん」という設定にしか出せない雰囲気がある。特に、髪を売るところ。

「I Dreamed a Dream」
安心感のあるファンティーヌ。10周年記念コンサートのキャストと雰囲気が似てた。すごく好きなタイプの声でした。

「Who am I」
脱ぐ?脱ぐ?脱いだーーーーーー!!!!!

「Come to Me」
客席みんな泣きまくり。病院のベッドはやはりアイアンベッドでした。
(※注 当時の私はとにかくアイアンベッドを購入したくて、目に付くすべてのアイアンベッドをメモしていました)

追っかけてきたジャベールをやっつけたバルジャンがくるんって振り向いて、死んだファンティーヌに向かって優しく歌うところで笑いが起きてた。切り替え早すぎ。こういうところ素直に笑う感じ、日本にはなくて斬新や。

「宿屋」
旧演出は覚えてないけど、細かい芸が映画にかなり近かった。エキストラがいきいきしてて、演技してる感じがない。テナルディエが出てくることで、シリアスなストーリーの中で「笑っていいよ」っていうサインになってるんだな。いったん笑うことで、その後の感情の起伏も大きくなる。

バルジャンを誘惑しようと胸を寄せたり、生足を出したりするテナルディエ夫人が非常に可愛かったです。

真顔で対応するラミンバルジャン。

コゼット、歌唱力だけで言えばひなたちゃんの方が上だと思う。ただ、森の中不安で寂しくて歌ってるっていうシチュエーションを加味すると音が揺れる感じもわざとやってる可能性あり。

コゼットと二人になったバルジャンが、コゼットを抱き上げてダンスごっこをするのが可愛くて可愛くてたまりませんでした。タンゴ?を踊る人みたいに、わざとキリッて踊るの。

人形を渡すときに首をぐるんっっって回転させるのもウケてた。

ほんの数分のシーンなんだけど、バルジャンの不器用な優しさみたいなのが凝縮されてて思い出すだけでちょっとあたたかい気持ちになれる。これを名場面と言わずしてなんだというのだ。

「At the End of the Day」
エキストラの迫力。音を詰め込んでまくし立てるように歌うのは、英語ならでは。

ガブローシュがいい味出してた。舌っ足らずで天然。ハリポタに出てくるルーナに近い雰囲気。ちやほやされて育った感じが、わざとなのかどうかわからないけど、新しいガブローシュ像だと思う。

ガブローシュが出てくるたびに笑いが起こるっていう。前に日本で見たときは学生たちがガブローシュに対してツンデレなイメージがあったけど、今回はもうデレデレにかわいがってた。

アンジョルラスとエポニーヌは黒人キャスト。斬新。彼らが演じることで、新たな意味が付け加えられる。自由のために戦うアンジョルラスと、愛する人にふりむいてももらえないエポニーヌ。そこに思わず黒人の歴史を重ねてしまう。

テナルディエってやっぱり人気なのね。みんなすごくウケてた。

新演出は映像、音響ともに面白かった。最後のファンティーヌはやりすぎ?高低差をうまく使ってた。基地が地下だったり、ジャベールの自殺場面で彼が降りるのではなく橋が持ち上がったり。手押し車に関しては、昔を知ってる人のあいだであるあるネタとして話題提供してくれたから許そ……いや許せない。

照明も面白かった。背後からスモーク焚いて神々しくなってる人がたくさんいた。

回り舞台がなくなったのは残念。「ターニング(回る・循環する)」は、この作品の大事なテーマだろうに。バルジャンが生を歌う歌と同じメロディでジャベールが死ぬ、とか。色んな手段でターニングについて現してたはずなのに。

アンジョルラスはかっこよかったけど、少し落ち着きすぎな気もした。ちゃんと悟ってる。まっすぐだけどどこか突っ走り気味な、いかにも若気の至り、世間を知らない学生といった、どこか地に足ついてない感じがある方が私は好き。

パワフルなエポニーヌ、振り切れててかっこよかった。従来のイメージとは違ったけど、面白かった。

リトルフォールオブレインは、未だにピンと来ないんだよなー。イメージは出来るけど、しっくり来る演技はまだ観てない気がする。

ラミンは信じられないくらいバルジャン。アンジョルラスやってた人とは思えない。声が違うもん。でも目力がラミンでした。最後はちゃんとおじいちゃんに見えるからすごい。

最後はみんなみんなスタンディングオベーション!

サポートいただけたら、旅に出たときのごはん代にさせていただきます。旅のあいだの栄養状態が、ちょっと良くなります。