誰も魔女の死を悼んだりしない

浪人時代、取り憑かれたように聴いていたアルバムがある。

ブロードウェイのミュージカル、Wickedのサントラだ。

重々しくて、かつファンタジックなオープニングも好きだし、主人公ふたりの軽妙な言い争いが楽しい"What's This Feeling?" も空で歌えるくらいには聴き込んだし、ラストの"For Good"の優しいメロディと歌詞は何度聴いてもぐっとくる。

英語の歌詞のおもしろさを知ったのも、この作品がきっかけだった。

日本語版だと「死んだぞウィキッド」になってしまうのだけど、もとの歌詞をたどると"no one mourns the wicked" とある。直訳すれば、「誰ひとりとしてあの邪悪な魔女の死を悼んだりしない」という意味になる。

たった2秒ほどのフレーズでも、込められている情報量がこんなに違う。英語と日本語どちらがいいとかいう話ではなく、その違いがただただ面白かった。

軽快なフレーズの中にも風刺や皮肉がピリリと効いているし、これでもかと韻を踏む歌詞は耳に心地よい。


なんで久々に聴きたくなったんだろう?と思ったんだけど、もしかすると、二人の女性がライバルとして出会って唯一無二の仲間になるお話だからかもしれない。

さて、今晩も家に帰ってレタッチせなね。






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