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新たな旅の幕開け

序文

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アンフィールドに観客が戻ってきたシーズン最終戦から早くも一ヶ月半が経とうとしている。現在も移籍市場の真っ只中であり、EUROとコパアメリカが終了した今後は獲得や放出の噂が更に加速する筈だ。今回のキャンプに名前を連ねている選手の中にも新たなクラブへの移籍が決まり、離脱する者も現れてくるであろう。リヴァプールは昨夏と同じオーストリアでプレシーズンキャンプを開き、新シーズンへと動き出す。今月上旬に活動を再開し、既にプレシーズンマッチを行なっているクラブも少なくないが、選手達のリフレッシュを重視するクロップはより多くの休養期間を設けた。またアカデミーから沢山の若者が招集されている。クロップやトップチームの選手達と共に過ごす期間は自身の未来を切り拓く大きなチャンスであり、ターニングポイントとなり得る。今夏はEUROとコパアメリカが開催された為、トップチームの選手達の合流が遅れ、アカデミー組にも試合に出場する機会が幾らか訪れるであろう。そして今回の記事ではトップチームへと招集されたアカデミー所属の若者に焦点を当てる。普段は彼らを目にする機会が少なく、この夏が初めての機会になる方々も少なくない筈だ。リヴァプールで活躍することを夢に見る若者を応援しよう。輝かしい未来が待つ若者を。大切なプレシーズンを前に、この記事が今後の参考になることを願い執筆する。

※間違いを見つけた場合はお伝え願います。
※拙い文章に御容赦下さい。


プレシーズンへの参加メンバー

(以下、クラブ公式発表の掲載順)

GK
Adrian
Caoimhin Kelleher
Loris Karius
☆Marcelo Pitaluga
☆Harvey Davies

DF
Ben Davies
Ibrahima Konate
Joel Matip
Nat Phillips
Rhys Williams
Virgil van Dijk
Joe Gomez
Trent Alexander-Arnold
Kostas Tsimikas
☆Billy Koumetio
☆Owen Beck
☆Conor Bradley

MF
James Milner
Alex Oxlade-Chamberlain
Naby Keita
Curtis Jones
Marko Grujic
☆Jake Cain
☆Leighton Clarkson
☆Tyler Morton

FW
Divock Origi
Sadio Mane
Mohamed Salah
Taiwo Awoniyi
Harvey Elliott
Takumi Minamino
☆Ben Woodburn
☆Kaide Gordon
☆Mateusz Musialowski

☆印がアカデミー所属の若者である。


Marcelo Pitaluga

Age:18 (December 20th, 2002)

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同郷のアリソンに太鼓判を捺され、昨夏フルミネンセからリヴァプールに加入したピタルーガは弱冠18歳ながらU23守護神として期待通りの活躍を見せた。セービング能力の高さは勿論のこと、キック精度や足元の技術にも優れ、飛び出しの判断とカバーエリアの広さをも兼ね備える現代型GK。フィジカル面では向上の余地を残すが、年間を通して将来性の高さを示すには十分なパフォーマンスを披露した。二月のチェルシー戦で膝を負傷して以来、離脱を余儀なくされたが、ジョーゴメスやファンダイクとのリハビリも順調に進み、既に治癒したと見られる。将来の守護神は万全の状態でプレシーズンに臨む。


Harvey Davies

Age:17 (September 3rd, 2003)

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九歳の頃からクラブ一筋の彼は昨季のU18で最も株を上げた若者の一人であろう。シーズン当初は控えであったが、守護神の離脱で巡ってきた出場機会やトップチームでの練習参加で印象的なアピールに成功し、シーズン中盤以降はU18の守護神に君臨した。安定感や総合力に欠ける部分はあるが、典型的なセービング型GKとしてユースカップではチームを決勝に導く活躍、更にアストンヴィラとの決勝戦では数多くのショットストップを披露するなど目を見張る活躍を見せた。プレシーズンで試合に出場するチャンスを得られるかは分からないが、トップチームに招集されたことこそが彼の順調な成長を証明するものであり、この機会でも良い経験を積んで欲しい。


Billy Koumetio

Age:18 (November 14th, 2002)

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昨夏のプレシーズンでトップチームに大抜擢され、印象的な活躍を披露したクメティオは今季をU23でスタートしたが、シーズン序盤から失点に繋がる致命的なミスが減らず、U18へと主戦場を移した。身体能力に由来するスケールの大きさを感じさせるプレーは少なくないが、経験不足を露呈する局面も多く、大成するには未だ長い時間が掛かるであろう。しかしビルドアップやロングフィード能力、守備の原理原則に従う規律など様々な側面で格段に向上しており、昨夏よりも良い選手へと成長していることは間違いない。トップチームのキャンプに招集されたことを疑問視するファンも一定数居るが、現在の彼が持っている力を遺憾なく披露して欲しい。


Owen Beck

Age:18 (August 9th, 2002)

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クラブから高い評価を受け、長期の新契約を結ぶ間近と言われているオーウェンベックはU23のスタメン左SBとして自身の立ち位置を確立した。既にトップチームの練習にも頻繁に参加し、ロバートソンのプレーを近くで観るウェールズの若者は憧れの先輩のように無尽蔵のスタミナでライン側の上下動を繰り返し、エリア内に高精度のクロスを供給する。派手さには欠けるが、安定感のある堅実なプレーでツィミカスを脅かす存在になる筈だ。今夏はトップチームでプレーする姿を観れるであろう。


Conor Bradley

Age:18 (July 9th, 2003)

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18歳の誕生日を迎えたばかりの若者が右SBの控え候補に名乗りを上げる。17歳ながらもU23でレギュラーの座を掴み取ったブラッドリーはスピードに優れ、ライン側での攻防を得意とする。足元を含めた攻撃性能が高いだけでなく、守備面も問題なくプレー出来る筈だ。経験不足により弱点を露呈する機会も見られるかもしれないが、彼の成長速度なら直ぐに改善するであろう。ネコの去就が不透明な今夏はトップチームに定着する大きなチャンスであり、是非ともこの機会を生かして欲しい。


Jake Cain

Age:19 (September 2nd, 2001)

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U23の主力として活躍するレフティーはクロップからも高い評価を受け、昨季は何度かベンチ入りを果たした。巧みな足元の技術と高精度の左足、試合を俯瞰的に捉えるビジョンを武器に、中盤から長短のパスでゲームメイクを行う。また試合の流れを掴むのが上手く、決定機と見るや、前線へと駆け上がり決定機に絡むことも多い。一方でトップチームのプレスや球際、強度に適応できるかは未知数であり、出場機会を得るにはこの部分が今後の課題となるであろう。今季トップチームに絡む為にもプレシーズンでのアピールが必要だ。


Leighton Clarkson

Age:19 (October 19th, 2001)

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クラークソンはミッティラン戦でのプレーが印象深いであろう。中盤の底から長短のパスを散らし、試合を上手にコントロール、小柄な若者は大きな存在感を放っていた。U23では図抜けた存在であるが、カーティスの後に続くにはトップチームのスピードやフィジカルに慣れる必要がある。現在の彼はフィルター役として未だ不十分であり、長所を生かすことに加えて苦手な局面を減らすことが当面の課題になるであろう。ブラックバーンを含む数多くのクラブが関心を示しており、今季はチャンピオンシップでの武者修行で経験を積むことになる筈だ。何れにせよ、自身の価値を証明する機会にして欲しい。


Tyler Morton

Age:18 (October 31st, 2002)

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現在のアカデミー組で最も過小評価されている若者こそがモートンである。18歳ながらもU23の中盤の座を自分のモノにした彼にクラブは異例の5年契約を用意した。プレースタイルは典型的なボックスtoボックスの8番。飛び抜けた特徴こそ無いが、全てのプレーを高水準に熟し、オンザボールとオフザボールの両面で輝くことが出来る。更に非凡な得点力も備えている。ユースカップの決勝へと進出できたのも彼の活躍がかなり大きかった。未だ線が細く、直ぐにトップチームで戦うのは難しいが、クロップが高く評価する若者は将来、大きな役割を担うかもしれない。


Ben Woodburn

Age:21 (October 15th, 1999)

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クラブ史上最年少得点記録を保持し、将来を嘱望されてきたウッドバーンに多くのファンが夢を見たであろう。しかし華々しいデビューを果たした若者は順調とは言い難いキャリアを歩んでおり、同世代で切磋琢磨してきたトレントは遠い存在になってしまった。ブレイズやオックスフォード、ブラックプールへのローン移籍は不運な怪我も重なって何れも失敗に終わり、クラブへのローンバックを繰り返している。それでもウッドバーンの挫けない姿勢は賞賛に値する。U23のキャプテンとして攻守に献身的な働きを続ける姿は若手の素晴らしい見本となっている。だからこそ今夏にキャリアをリスタートして欲しい。腰を据える新たな居場所を見つけて欲しい。この夏、リヴァプールのユニフォームを身に纏うウッドバーンは見納めになるかもしれない。僕はウッドバーンが本当に大好きだ。心の底から彼の成功を願っている。


Kaide Gordon

Age:16 (October 5th, 2004)

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最も大きな才能を秘めるワンダーボーイは昨冬クラブに加入して以来、自身の価値と将来性を示し続けている。この世代最高の才能と称される16歳の若者はU18で圧倒的なプレーを披露し、シーズン終盤にはU23デビュー。そしてデビュー戦で初ゴールを記録するスターぶりだ。右WGを主戦場とするレフティーはスピードとテクニックに優れているのは勿論のこと、サッカーIQが高く、オフザボールでも違いを作れる。また守備の貢献も素晴らしく、逆に心配になるくらい数多くのスプリントを繰り返す。更にフィニッシュのパターンも多彩であり、逆足でのプレーも苦にしない為、ゴール前で多くの選択肢を持つ。センスに溢れた若者は今夏最大の楽しみであり、トップチームの公式戦デビューも遠くない未来の筈だ。


Mateusz Musialowski

Age:17 (October 16th, 2003)

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次世代のスター候補と称されるダイヤの原石。幼い頃から異質のキャリアを歩んできたポーランドの若者は唯一無二の才能を秘めており、予測不能なドリブルと両足から繰り出されるパンチ力のあるシュートで多くの人々を魅了する。オンザボールのプレーに絶対的な自信を持っており、ゾーンに入ると誰にも止められない存在へと化ける。反面、トップチームで活躍するには多くの課題を抱える。『球蹴りは上手いが、サッカーは下手。』を象徴する彼は根本的な部分が欠如しており、サッカーの原理原則やオフザボール、守備の立ち位置など成長の余地を多く残す。しかしそれでも無限大なポテンシャルを秘める彼は我々が夢を見ていたいロマン溢れる存在であり、誰にも予測出来ない成長曲線を描いて欲しい。


以下、惜しくも招集外の若者を紹介する。

Jarell Quansah

Age:18 (January 29th, 2003)

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ピッチ内外でU18を引っ張るキャプテン。クメティオと共に強力なCBコンビを形成し、DFリーダーとして最終ラインを統率、ユースカップでは優れたパフォーマンスでチームの躍進に大きく貢献した陰のMVP。年齢の割に完成度の高い守備者であり、ビルドアップ、フィード、対人守備、スピード、空中戦、カバーリングと様々な面で高い能力を備え、弱点を持たないタイプである。現時点ではクメティオを上回っているように見えるが、将来的なポテンシャルを考慮されたのであろう。この悔しさを来季以降U23のチームで生かして欲しい。


James Norris

Age:18 (April 4th, 2003)

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今夏プレシーズンに最も呼んで欲しかった若者の一人である。U23で活躍するオーウェンベックとポジションが重なった為に招集が見送られたが、U18では高水準のプレーを安定して披露しており、彼の継続性には目を見張るものがある。ミスが少ない足元の確かな技術と状況判断に優れており、前方の状況によってインナーラップを行うことも出来る。しかし大外のライン側だとスピードなどフィジカル面に課題が残る為、トップチームに昇格するのは難しいであろう。そしてノリスは左SBと並行して起用される左IHのが向いているかもしれない。小回りが効く彼は中央でもミスなくプレーすることが可能であり、貴重なレフティーとしてボックスtoボックス型の中盤へと成長する可能性を秘めている。


James Balagizi

Age:17 (September 20th, 2003)

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左腕の怪我により惜しくも招集外となったアンダー世代のイングランド代表。U18の攻撃の大部分は彼に依存してると言っても過言ではない中心選手。恵まれたフィジカルに由来するスケールの大きさはリヴァプールに居ないタイプの中盤であり、クロップも強い期待を寄せる。元々はトップ下が本職の10番タイプであったが、オンザボール以外の部分の質は乏しかった。しかしこの一年で守備意識やトランジション、強度や球際の強さが大幅に向上し、トップチーム仕様の中盤へと成長している。元来の足元のテクニックに加えて、アグレッシブさを身に付けた若者は今季中のスカッド入りを目指す。



Layton Stewart

Age:18 (September 3th, 2002)

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フィニッシュ能力に優れる生粋のストライカーであるスチュワートはU18でゴール数が試合数を上回る圧巻のパフォーマンスを披露し続け、U23へと昇格した。新たなステージでも順調な適応を見せた彼はクラブ待望の存在であったが、ウルブズとのリーグ戦で前十字靭帯断裂の大怪我を負ってしまい、現在は長期離脱を余儀なくされている。それでもクラブは新契約を用意するなど信頼と今後への期待を示しており、本人も精力的にリハビリに励んでいる。クロップや数多くのレジェンドに特大の期待を寄せられる頼れるエースの完全復活に期待したい。


跋文

今回はプレシーズンに参加するアカデミー所属の若手に関するnoteを執筆しました。個々人に焦点を当てて簡潔で内容の濃い記事が書けたんじゃないかなと思います。処女作以来の満足のいく文章が出来たかなと。

若手の成長というのは本当に難しいもので、誰にも予測不能な要素が大きかったりします。"才能を持っていること"と"才能が開花すること"は全くの別物であり、各々に適した環境と条件を見つけなければなりません。彼らに出場機会を多く与えれば良いという話ではなく、本人の能力や意思にあらゆるコンディションが合致することが必要です。時にはリヴァプールに残留するより他クラブで新たなチャレンジに挑むのが正しいかもしれません。正解の道は誰にも分からないのです。また今日ではSNSを通して過度な批判や誹謗中傷に晒される危険性も少なくありません。アカデミー育ちの若者に期待することは素晴らしいですが、過度に持ち上げて勝手な期待を持ち、その期待が裏切られた矛先を本人に向けるという行為はあってはなりません。最近では番記者のピアースやリンチが補強を待望するファンへの火消しに、アカデミーの若者の才能を過度に高く評価する記事を書くケースを度々目にします。このスタンスは結果的に失望へと繋がるケースが多く、全方向にメリットが皆無なので早急に辞めて欲しい限りです。クラブの宝である若者を長い目で大切に育てて欲しいです。

怪我人続出で苦しんだ昨季を経て、新たな気持ちで臨む今年の夏は例年以上に大切なプレシーズンだと思います。ファンダイクやジョーゴメスなどの長期離脱明けの選手達は勿論のこと、サラーやマネがシーズン中に離脱することを考えると、現有戦力や若手の底上げも必須となります。また中盤と前線に最低でもそれぞれ一枚の補強を加えることを確実であり、この期間に新戦力の試運転と適応も行えると理想ですね。

ということで今回は以上です。これまではアカデミーを中心に記事を書いていましたが、今後はもう少し題材の幅を広げてみようかなと考えてます。また不定期開催でキャスで話してたりするんで宜しければ是非。金曜日の夜に話していることが多いです。最近は聴いてくれる人が少し増えて楽しいです。

noteをシェアして戴けると嬉しいです。
最後まで読んで戴き有り難うございました。


ユース世代に関するnoteを不定期で掲載する予定です。
多くの方々に届く様、拡散して戴けると幸いです。
是非次回も宜しくお願いします。
誠に有り難うございました。

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