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写真と、災害と、彼女と。

目の前の光景に シャッターを押していいか迷ったあの時。

集落ごと流されてしまったその場所を
何も言わずじっとみつめる彼女。
カメラを構えて「カノンちゃん」と呼んだ。


私はこの瞬間が忘れられません。
あんな悲しい顔をしていた彼女が
私に気づいてふっと笑顔をくれた時の顔。

言葉では表現できないあの瞬間。
この時の写真は、私のこころに大きく残る写真です。

私の災害ボランティアにおける写真活動は
彼女との出会いによってより考えさせられるものとなりました。


写真に写っているのは
シンガーソングライター「カノン・ドレミ」


21歳の彼女はこの夏広島に長期滞在し
災害ボランティア活動をしながら歌い、被災地に笑顔を届けていました。

ボランティアや被災者の方達が彼女に勇気づけられるその理由は
まわりをパッと明るくする存在であることだけではなく
かわいい歌声の中にある、とても強い歌のメッセージ。

戦争がなくなることよりも 平和を願おう
戦争がなくなることよりも 世界平和を祈ろう
戦争がなくなることよりまず 平和を願おう
戦争がなくなることよりまず 世界平和を祈ろう
生きてる者はいつかなくなり 灰になり空に放たれるけど
いつかの思い出や言葉が 誰かのこころに何かを灯す
マイナスな言葉はいつも何かを否定したりして
だけどプラスな言葉はいつも何かを作り出してる
特攻隊に選ばれた少年が出撃2時間前だというのに
写真に写るその顔は なぜか笑ってるんだ
「8月6日は何の日?」と聞かれて
「ハムの日」と答える現代の若者に何を伝えたかった?何を語ってるのか?

これは、昨年彼女が広島の原爆について作詞作曲した
「はちがつむいか」という曲。(1番を抜粋しています)

こんなにも力強い歌を歌う彼女に勇気づけられ
たくさんの人のこころが癒されました。
私もそのうちの1人です。


私にとって今年は
「生と死」について一番考えさせられた年でした。

この世は苦しみに満ちていて
しあわせって何なのか
すぐに当たり前になってしまうこの日常をどう生きればいいのか
過去も未来もないこの現実をどう受け止めればいいのか

頭がおかしくなるほど考えました。


そしてその思いを一緒に分かち合ったのは、彼女でした。
今年の夏に出会い、一緒に過ごした時間は数日でしたが
とても素晴らしい出会いだったのです。

そして、そんな出会いもあれば、別れもある。

たくさんの出来事が重なり
写真展をやろう、と考えてからしばらく時が経ちました。

そんな中ようやく決まった写真展イベント。
その日には「彼女に歌ってほしい」と1番に考えました。

そして、来年1月26日、彼女が私の写真展で歌ってくれます。

写真と、災害と、彼女とともに過ごしたこの夏。
ぜひたくさんの方に彼女の歌を聴いていただきたいです。

写真展イベントの詳細はこちら



※掲載されている写真は2018年8月20日~22日
広島県呉市安浦町市原地区で撮影したものです。
被災者の方をはじめボランティアの方々
全ての方に許可をいただいています。


サポート、心より感謝します。 頂いたサポートを糧にがんばります!