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ジャッキー・チェンが一番かがやいていた頃

ミーティングなんかでだれかがしゃべっている最中に、ふと別なアイデアをおもいつくことってありません?

しかし、いきなり割り込むのは失礼だから、ふつうはタイミングを見計らう。話がおちついてきたら「ところでさっきおもいついたんですけど・・」などと入っていこうと思う。

ところがそう思っているうちに別の人が割り込んで、予想外の方向に展開していき、そこにさらに別な人がコメントしてどんどん話題が変わってしまって、それきり元の地点にはもどらず、言わずじまいにおわるってことはないだろうか。

ぼくはよくある。アルアルである。じつは、このnoteでもにたようなことがある。あなたから見れば、徒然なるままに好きなことを書きつづっているように見えるかもしれないけど、いちおう今日、明日、明後日の大まかな流れというのは意識しているのだ。

生き方についてマジメに書いた翌日に、いきなり心霊スポットについて書くわけにはいかない。そうすると、書くタイミングを逸してそれっきりになっている記事というのも出てきてしまう。

じつは去年の夏、ぼくにはジャッキー・チェンのマイブームが来ていたのである。毎晩仕事が終わってからプライムビデオで80年代のジャッキー・チェンの映画を見まくっていた。そして、ジャッキーの魅力について一度書こうと思っていたんだけど、そうこうしているうちに、プライムビデオでは「007シリーズ24作品デジタルリマスターで一挙公開!」というのが始まってしまった。

ぼくもジャッキーのことは忘れて007にのめりこみ、007についてはこのnoteでもなんどか触れている。そうこうしているうちに寒くなってきて「いまさらジャッキーでもないな」と言う感じになってなんとなく書くタイミングを逸してしまったのだった。

しかし、北京五輪の聖火リレーにジャッキーが登場した。ふたたびジャッキーの季節がやってきたというか、「書くならいましかない!」という感じがするので書いてみよう。

というわけで、昨年の夏はプライムビデオでジャッキー・チェンの80年代の映画をつづけて見た。

『プロジェクトA』
『ポリスストーリー香港国際警察』
『少林寺木人拳』
『サンダーアーム/龍兄虎弟』

などなど、どれも中学・高校時代見たなつかしい作品ばかりだ。

当時の日本映画には、中高生が夢中になれるような娯楽作品は皆無だったので、ジャッキーがくりだすエンターテイメントには助けられた。

初期の『蛇拳』『酔拳』といったカンフー映画もいいことはいいんだけど、なんといってもすばらしいのは『プロジェクトA』から『スパルタンX』、『プロジェクト・イーグル』、『ポリスストーリー』など。ジャッキー自身が監督をつとめてハリウッドのアクション映画に対抗した作品群だ。

あのころのジャッキーのカラダを張ったアクションでほんとうにすごかった。時代を越えて観る価値がある。

しかし、その後ジャッキーはアメリカに進出した。そしてヒット作もとばしているらしいんだけど『ラッシュアワー』以降の作品はぼくはあんまり見る気がしない。香港でも不評だったらしい。テレビでちらっと見ることはあるけどなんか違和感がある。

彼一人がアメリカ人の中に入っていっても、単に「小柄ですばしこい東洋人」になってしまう。まわりのキャストも彼のスピードについてこれないし、そうするとジャッキーらしさがいまいち出ない。

ジャッキーはジャッキーと言う単品ではなく、香港映画のキャストやスタッフやセットやスピード感という世界の中で生きるものだったのだなあと思わされる。

これはジャッキーにかぎらない。

たとえば宝塚は、男役女役をぜんぶ女性が演じることで宝塚独自の世界観が成り立っている。そこに渡辺謙さんの王様が入ってきたらバランスが崩れて成り立たなくなるだろう。

劇団四季がシェークスピアをやるときも、ぜんぶ日本人が演じるからいいのだ。ケネス・ブラナーがいくら名優だといっても、彼が入ってきたら成り立たない。。

ジャッキーは80年代の香港映画が最高だった。世界進出したいという気持ちはわかるけど、車寅次郎には葛飾柴又が似合うように、ジャッキーチェンには香港が似合っていた

ジャッキー自身、「自身の作品で一番好きなのは?」と聞かれて

アクションなら『ポリス・ストーリー/香港国際警察』

と答えている。ぼくもあの作品がいちばん好きだ。

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