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荒川のカベ

関東平野ってフシギだ。。。

埼玉県民となってはや15年…故郷以外でこれほどながく暮らした土地はない。

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ぼくは瀬戸内海に生まれそだった。よくも悪くもこじんまりとした箱庭的な環境である。自分の足でうごきまわれる範囲で地形がつぎつぎに変化する。

そういう人間からすれば、関東平野はだだっぴろい。単にだだっぴろいだけなら北海道のほうが広いし、さらには米中西部の大平原のほうがもっと広いわけだが、関東平野がすごいのはえんえんと住宅がならんでいる点だ。私鉄の車窓から眺めていると、まさに「住宅の大海原」という感じである。

太平洋はデデーっとひろがっているが、住宅の大海原がふしぎなのは、一見デデーっと広がっているようにみえて、じつはあちこちに地政学的な力がはたらいている点である。

たとえば『東京都北区赤羽』というマンガがあるけど、作者によれば赤羽にはかつてわりと風変わりな人が集まっていたそうである。いまはだいぶ減ったそうで、それには自分の責任もあるのかもしれないと語っていた。

それはともかく、これだけだだっぴろいのになぜ「赤羽」にあつまるのだろう?ふしぎにおもいませんか?もちろん、専門的に研究しているひともいるかもしれない。

ただし、シロートでもわかるのは、これだけ広い場所で局所的なちがいを生み出すとしたら、まずは大きな河がポイントだということ。そして鉄道と道路である。ズバリ!「川と線路と道路」。他に考えられないでしょー。

ぼくは、いま西武線ぞいに住んでいるけど、かつては東武東上線ぞいに住んでいた。そして、浦和にかよっていた時期もあり、そのころは埼京線ぞいに就職活動をすることもあったので赤羽はよく通過していた。3つとも、池袋を中心とした路線という点は共通している。

しかし、西武線や東武線と、埼京線はやや雰囲気が違う気がする。。。

ぼくの感じでいうと、西武線と東武線の雰囲気はかなり似ている。どちらも池袋を中心としたベッドタウンであり、中央集権体制がしかれている。池袋に近いほど都会であり、離れるほど田舎になる。池袋のほかにネ申はない。

しかし、埼京線の場合は、池袋を離れるにつれて、こんどはさいたま市(浦和+大宮)という別の引力がはたらきはじめる。どこまでが池袋の引力圏で、どこからがさいたま市の引力圏になのか?びみょうなところだが、地図で見るかぎり、やはり荒川がデカいだろう。

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ズバリ!荒川のこちら側が池袋引力圏であり、荒川の向こう岸は、浦和レッズのホームと見ていいのではないだろうか?

そして、池袋引力圏とさいたま市引力圏のはざまに位置するのが赤羽だ。まさに「ノーマンズランド(緩衝地帯)」である。

「荒川をこえてしまうと、ダサイタマというムラの掟にしたがわねばならない。しかし、都心にもベッドタウンにも居場所がない」と感じる人々が、荒川の土手の手前まで吹き寄せられてきていたのではないだろうか。

ふと、そんなことを考えた。これだけひろいと、いろいろあっておもしろいのである。

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