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「やりたい」は「行動」すれば叶う。〜初めてのイベント運営を終えて

「ビール女子の企画やらない?」
「もちろんやりたい!」

その二つ返事から始まった初めてのクラフトビールイベント。

ビールのイベントには何度か足を運んだり、ボランティアとしてお手伝いしたことはあったが自分が主催をして開いたことはなかった。だから正直、楽しみの反面不安なこともたくさんあった。

まずは何から決めるべきかも分からなかったので、今後の計画の目処を立てるために「4月15日(日)に開催する」というにタイムリミットを自分に課した。そうすることで自分にある程度緊迫感を持たせることができると思ったからだ。

「日程」が決まり、「時間」と「金額」そして肝心の「コンテンツ」まで確定させたのは3月末。イベントまであと二週間という節目にイベントの「集客」と「ビール女子集め」を始めた。

SNSを使っての呼びかけ、DMでの個人間の連絡、オンラインでの声掛けはもちろんオフラインでの勧誘も毎日した。

「前例も実績もない私のような、まだお酒歴も浅い女の子の開催するビールのイベントに来てくれる人はいるのだろうか...。」

「一人も集められなかったらどうしよう。」

そんな途方も無い不安に襲われて眠れない日が続いた。

「日程調整してみるね」

「面白そうだね」

「予定がわかったらまた連絡するね」。

なかなか「参加します」という声が送られてこなくて焦る。

「まだ二週間前だし、予定がわからなくて当然か。調整してくれるって嬉しいな」という期待の気持ちと、「建前で送ってくれるだけで本当はハナっから来てくれる気はないのかもしれないな。」というひねくれた気持ちが複雑に混じり合う。

心の中のキャンパスにのせられた絵の具がぐちゃぐちに混ぜ合わされて、自分の中の汚い部分と綺麗な部分の境界線がわからなくなった気がした。そんな不安が身体をじわじわと蝕み、4月の頭に体調を崩してしまった。全身の関節痛と自己管理の甘さに情けなくなって何度も涙が出た。

そんな中、winkの代表からラインが届く。
「winkのメンバーからも当日のお手伝い連れていくよ!他のコミュニティにも告知しておくね♩」

その一言でふわっと心が軽くなった気がした。


私は今まで全部一人でやらなくちゃいけないし、全部一人でやっていたと思っていた。
けれどそうじゃなくって、ちゃんと見守ってくれる人がいるんだと気付かされた。

「体調なんて崩してる場合じゃない。早く治してやらなくちゃ!」


まだ熱もあるし、関節も痛い。それなのに不思議と、身体は動いて頭は考えてくれたから『病は気から』ということわざは案外間違ってはいないのかもしれない。

代表からの一言がきっかけで気持ちが前向きになり「人を集めることへの不安」は次第に薄れていった。そして不安と反比例するように参加してくれる人は少しずつ増えていったのだ。

イベント一週間前の日曜日。

私はとある「ビールセミナー」に足を運んでいた。ビールの師匠といっても良い程知識が豊富で、毎回足を運ぶたびにすごい量の情報をインプットさせてもらえる。早く同じくらいアウトプットできるようになるのが当面の目標だ。その師匠に力を貸してもらって当日のイメージ写真を撮らせてもらった。

フルーツのビールは思っていたよりも色のレパートリーが少なくて当日の「提供方法」を工夫しなければいけないなと考えさせるきっかけになった。やはり事前にある程度「シュミレーションしておくこと」は大切だなと感じた。また1種類を日替わりで飲むのと、6種類全部を一日で飲むのとじゃ全く味に対する感じ方も違うことを学んだ。

「ベルギービールだけだと飽きてしまうこと」と「国産のフルーツビールも飲んで欲しいこと」が頭の中にぼんやりと思い浮かんだ私は急遽、日本のビール醸造所からもビールを取り寄せることに決めた。フルーツのビールは季節ものなので、なかなか今まで飲んだことのあるものは手に入りにくい。

そこで周りのビール通の話やネットの口コミから味を想像し、なるべく飽きさせないように様々な種類のフルーツビールを発注することにしたのだ。無事6種類が決まったのは、イベント一週間前。

残りの一週間で「告知のための記事」を書いて、当日のスケジュールを出し、イベントに集まってくれた人に伝えたかった自分の「やりたいこと」のプレゼン資料を作ると決めていた。記事はターゲットである「ビールが苦手な女の子」にいかに届くかを考えて書き、スケジュールはなるべく余裕を持って進行できるように決めた。

問題のプレゼン資料は、大阪に住む友達が手を貸してくれて一晩で素敵なものを作ってくれたから感謝しかない。やはり持つべきものは「デキる友達」だ。

イベント4日前。23歳の誕生日を迎えた私だったが頭の中はイベントのことでいっぱいで自分の誕生日を人からの「おめでとう」で気付かされた。それだけ余裕がなかったのかもしれない。

そしてイベント3日前。

着々に準備を進め、あとは当日の流れを手伝ってくれる人に共有して自分のやることをシュミレーションするだけだというところまで来た時、事件は起きた。

「この度は〇〇をご利用ありがとうございます。すみませんが、注文された商品の入荷が遅れてしまったのでご指定いただいた日時に届けることができません」という酒屋さんからの連絡。

顔が青ざめて冷や汗が止まらなくなった。「当日は絶対6種類のフルーツビールを飲み比べて欲しい。」という強い思いがあった。

急遽、その日納品する予定だった記事の期限を先送りにしてもらって都内のお酒屋さんを駆け回ることにした。しかし、大量のフルーツビールを購入したことがなかったのでどこに行ったらいいか皆目見当もつかない。winkのメンバーでビールが好きなのは私くらいだったので頼っても困らせるだけだった。

そこで、今回のイベント参加者や今までビールを介して繋がった人たちに「助けてください!」と思い切って声をあげた。今まで誰かに助けを求めることが苦手だったが、この時ばかりは本当にどうしようもない状況で満を辞して叫んだ。

するとどうだろう。いろんな人が「〇〇ならあるかも」「〇〇に連絡してみて!」「そういえば〇〇にあった気がするから連絡してみてね」と手を差し伸べてくれたのだ。おかげでその日の午前中に代用できるフルーツビールを手に入れることができた。それも、日本で作られている以前よりもうんと珍しい種類のビールを手に入れることができた。

「ピンチはチャンス」。私はこの言葉を決して疑わない。

迎えたイベント当日。

会場準備を私よりも早く来て手伝ってくれていたwinkのメンバーに感謝しながらも当日の最終確認をする。まるで学生時代の文化祭前のような、心地いい緊張感が身体を走った。

開場15分前。
「イベント開始前までに届くはずのビールがなかなか届かない...」
乾杯ビールを合わせた全7種類のビールのうち届いているのは3種類。あと4種類が届かないのだ。

慌てて配送業者に連絡を入れる。日曜日の夜だからかなかなか電話が繋がらない。スマホを握る手に汗がにじむ。やっとのことで繋がり配送状況の確認をしてもらう。「お調べ次第折り返しご連絡いたしますね」その一言で電話は切られてしまった。

いつ折り返しの電話がかかってくるかわからない状況で、待つ時間はとてつもなく長く感じた。

それでもイベントは始まるわけで、不安でいっぱいの中乾杯の音頭をする。笑顔が引きつっていないか心配になったが、みんな楽しんでくれている様子だったのでとりあえずなんとか始められた。

届いていた2種類のフルーツビールのうち一種類を出した時点でもう一度スマホを確認するが連絡はない。

参加者への挨拶まわりをしながらも、意識は常にスマホに向いていた。イベント開始から30分が経っても一向に連絡は来ない。2種類目のビールを配りなんとか場を繋いでもらう。再び電話をかけるが同じようなやりとりの後「折り返しますね」の始末。

思わず、「何分後に折り返していただけますか?30分前にも同じようなことを言われたのですが」と強い口調で問いただしてしまった。自分がこんなにイライラしてしまうなんて...。こうなることを予測できなかった自分に対してもイライラが募っていた。

そんな時、お店を貸してくれた人が「俺連絡して、周辺の集荷場回ってくるから、その間にせっかく用意したプレゼンやっちゃいな!」と言って私の代わりに配送業者に掛け合ってくれた。まだビールが届いたわけじゃなかったが、おかげで少し心に余裕ができてプレゼンは自分の伝えたいことを全力で伝えることができたと思う。

「応援してるよ!」「何か手伝えることあったら言ってね!」という声をいただくことができてこの日のために準備しておいてよかったと口がほころんだ。

結局、最後までビールは届くことなくイベントは終わりを迎えたしまった。不完全燃焼な気持ちと、ここまでやり遂げられた達成感に板挟みにされる。イベントの参加の方からはとても愛のあるメッセージがたくさん、たくさん届いた。

楽しかったですという言葉はもちろん、私の成長を願って厳しい意見を伝えてくれる人もたくさんいた。当たり前だけど、自分が一番わかっている。ダメだったとこ、至らなかったとこ、反省すべき点。それを第三者から言われることほどキツイことはない。私は無力だ。無力で、子供だ。

でも挑戦して、失敗して、初めて気付くこともある。己の無力さ、周りの人の大切さ、応援してくれる人たちの温かさ。きっと一人ではできなかったことをわt氏は周りに支えられて成し遂げたのだ。

もっと人に頼ることを覚えようと思う。もっと誰かと何かを成し遂げることに意味を持たせようと思う。ビールを飲みながら、酔いながら書いている文章なので支離滅裂なところもあるかもしれない。また明日、訂正するかもしれ得ないし消してしまうかもしれない。


それでも私は、伝えたい。

「やりたい」は「行動」すれば必ず叶うということを。




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