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尊敬できる人は誰ですか?

昔から、この質問に対する答がみつからなかった。

親兄弟、教師、過去の偉人…一般的に挙げられやすいのはこういった人物だろうか?だけれどもいずれも自分にとって「尊敬する相手」と言い切るには、しっくりこない相手だった。

しかし7年前から、胸を張って「わたしの尊敬する人です」と言える人が出来た。それが今回の平昌オリンピックで連覇を成し遂げた羽生結弦選手だ。

素晴らしい技術、高い表現力、彼が成した様々な実績…それらは勿論誇るべき物だけれど、自分が惹かれたのはそういった部分よりも"彼の在り方"だったように思う。その勝ち気さ、明確な目標、それに対するアプローチの仕方。彼のこうあるべくとせん、意志の在り方が魅力的だった。

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例えば今回の試合前に彼は金メダルについて問われ、こう答えている。「誰が取ろうが、僕も取ります」こういう所が、すごく好きだ。自分に甘えの余地を残さない、このキッパリとした言葉!

彼がこの発言をする少し前に、「そうだ、この人は羽生結弦だった」でも書いたのだけれど…

しかし本気の願いをハッキリと宣言するというのは、実はとても怖いことだ。口で大きいことを言ってしまって、もし実現できなかったら?格好悪いじゃないか…という見栄が大抵の場合、邪魔をする。

それなのに「誰が取ろうが、僕も取ります」なのだ。なんと羽生結弦らしい言葉だろうか!
 
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そういう彼の在り方こそが、五輪での2度の金メダルという結果をもたらしたのではないかと個人的には感じている。

彼はソチと平昌、こうして2度の金メダルを手にしたけれど…どちらも金メダル大本命の選手としては扱われていなかったように思う。少なくとも、トリノのプルシェンコのようではなかった。

ソチでは「ピーク年齢が平昌と合っているから、彼はそこが金メダルの本命だ」と言われており、彼がパトリック・チャンの対抗馬として躍り出たのは五輪のほんの2ヶ月前。グランプリファイナルで大きなミスの無かったパトリックを破った時のことだった。

恐ろしいスピードで突っ走ることによってソチのメダルに間に合わせた、と思った。ニースからの2年、彼がそこを目指して走り続けているのは知っていた。個人的には間に合うと信じてはいたけれど、世の中の金メダル予想の大本命はパトリック・チャンだった。

そしてピークのはずの平昌では、怪我に泣かされた。

若手の実力は跳ね上がっており、直接勝負ではミスによりネイサン・チェンに1位の座を奪われたこともあった。そんな状況の中でシーズン序盤の怪我、数週間前まではジャンプの練習も出来なかったというのだ。押しも押されもせぬ大本命というよりは、「怪我明けでの仕上がりは…」というどこか様子を伺うような扱いだった。

それが、蓋を開けてみればこの結果だ。

しかも試合後のインタビューによると、足首の状態は思わしくないのだという。普段弱音を吐かない、怪我の話などしたがらない選手が「ハッキリ言って、状態は良くないです」と語るぐらいだ。全く楽観視できない状況なのだろう。

だからこそ、余計に思う。この結果は「彼の強い想いが、意志が、勝ちへの拘りが引き寄せた」のだ、と。力を尽くして、本当に持てる力の全てを尽くして勝ち取った金メダルなのだ。

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そういう彼を見ていると、たとえ彼程のことは出来なくとも…自分は自分なりに、きちんと己の人生に向き合わねばという気持ちがどこからか湧いてくる。

「こう在りたい」という願いを持つこと
そこに向けての歩みを止めないこと

ゆっくりでもいいから歩き続けよう、そういう勇気をもらえるのだ。

わたしの尊敬する人が、そうしているから。
どんな困難にも歩みを止めず、前へ前へと進む人だから。

だから、わたしもそうしよう…と思わされる。


自分にとって羽生結弦とは、そういう人だ。
改めて…金メダル、連覇、本当におめでとうございます!!
そして怪我からの回復を、心より祈ります…!


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