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羽生結弦、天と地に寄せての覚え書き

「どんなに、どんなにいろんなことを積んできても、どんなに正しいことをやってきても、報われない時は報われないんだなって。でも、きっと僕が表現したかった『天と地と』っていう物語は、勝敗についてはよくないかもしれないけど、あのミスがあってこその『天と地と』だったのかも…」

“羽生結弦 演技後の発言まとめ 3回目の五輪終えた率直な思いは” より


 羽生結弦君の、上記の発言を踏まえて。

 夜の放送でフリーの演技を改めて見直して思ったのは、これは「天と地と、人と」の物語なんだなってことだった。例え倒れようとも傷つこうとも、それでもなお前に進もうと。より良くあろうと、結果を掴もうと、美しくあろうと…懸命に天と地の狭間で生き抜く、人間というものの有様を描いた物語で。そしてその様は、まさに挑戦を続ける羽生結弦の在り方そのもので。だからこそ彼の表現したかった「天と地と」っていう物語は、ミスを含めての完成という形なのかもしれないし。こんなにも多くの人の心に響いたのかもしれない。


 その後、BSの放送でも再び演技を見て。今度は違うことを考えた。

 自分と同じ立場で、同じ景色を見てる人は誰もいなくて。モチベーション維持の為に選んだ道は前人未到で、何が正しいかすら自分で考えて試して切り拓いていくしかなくて。誰も立てない場所にたった1人で立つ、そこからの視界はどんなものだろう。羽生結弦である、ということについて考えてしまった。自分にはとてもできない、自分ならやらない。他人が思わずそう口にしてしまうような、そんな途方もない道を。側にコーチもいない状況で、たった1人で試行錯誤を重ねながら進んでいくのは。きっと想像もできないような苦労や想いがあって、本当に本当に頑張ってきたはずで…努力は嘘をつくものだとしても。そういう時だってあるとはわかっていても。悔しいよな、報われたかったよな、と改めて考えてしまう。

 でも同時に…羽生結弦が羽生結弦である、と誰もに見せつけたその挑み続ける姿は。勝ち負けの結果ではない所で、それはそれは沢山の人達に、形のない何かを届けたんじゃないかなって思う。だって、このたった半日だけでも。彼の挑戦についての温かい言葉や、そこから感じとったことを綴っている文章を本当に数多く目にした。たしかにメダル、という意味では報われない努力だったのかもしれない。でも、それでも。一生懸命頑張った彼の努力は、きっと違う形で報われている。

だから…

"努力は嘘をつく、でも無駄にはならない。"
今こそ、彼の口から聞いたこの言葉をそのまま返したい。


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 世界で1番完成に近い4Aも、そして挑み続けるあなたそのもののような演技も、心に響きました。4年前は、こんなにも長く夢が見続けられるなんて思ってもいなくて。4年後の今もまだ滑り続けてくれて、この五輪でもこんなにも素晴らしいものを見せてくれて、本当にありがとう!!

サポートはたぶん、うちのかわいいワルチーズのおやつか好物のささみに化けます…!