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来てみんさい、広島へ 6 ~呉にはヤブがいる~

昨日一昨日と、家の近くの神社が秋の例大祭のようで。花火の音が聞こえてきたり、神輿が練り歩いたりといつもの休日より少し賑やかだった。

今の家は去年の11月に越してきたばかりなので、こういう風景を見るのは初めてだ。

音楽を流し神輿を担いで町内を練り歩き、お布施をいただいて…というのを窓から眺めていて。「爽やかだな…」と思いながら、それと対比するような子供の頃の地元の祭のことを思い出した。


子供時代を過ごした地元・呉のお祭りは、爽やかというよりは迫力があるという言葉の方がしっくりくるイメージだった。

地元だった龍王神社のお祭りには、ヤブが必ずいた。
黄色い縞の衣装と赤い鬼の面を身に着けた、祭りにはなくてはならない立役者で神様のお遣い達。

鬼の姿という見た目からして迫力があるのだけれど、腕の模様を見ていただければわかるように…そう、龍王会のヤブは中の人の迫力もなかなかだ。

子供の頃のことなので、詳細はうろ覚えになるのだけれど…たしか龍王神社の秋祭りはいくつかの町内が寄り集まり、仕切りを龍王会が行う形で。

うちの町内の場合は午前中は子供はお囃子を吹きながら、大人は神輿を担いだり幟を持ってヤブと共に家や店を回ってお布施をいただいて。お昼ごはんは皆で集まっておでんなどを食べて(呉ではおでんはハレの日の食べ物だ)、午後からはお囃子の謝礼をもらって友達と祭りの屋台を冷やかす。

そういう流れだった。

ちなみにこの謝礼…子供にまで現金が支給されてのは、どうやら自分の地区だけだったようで。他の地区の同級生はお菓子の袋詰めだったり、図書券だったりをもらっていた。

なぜ我が地区だけ現金だったのか、といえば…それはおそらく"お膝元"だったからだろう。縦笛は3000円、横笛は5000円をもらえて毎年楽しみだったことを覚えている。


祭が最高潮に盛り上がるのは、20人近いヤブと俵神輿が神社の前で激突を繰り返すシーンだ。日頃は閑散としている境内が観客でいっぱいになり、テレビの中継も入ったりして大賑わいとなる。

中の人が中の人なので、そしてお酒が入っていたりもするので…最初に述べたように「爽やかというより、迫力がある」神事だ。

これが終われば今度は陽が落ちた頃に、小学校の校庭で酔っ払ったヤブが介添えをつけお囃子にのってぐるぐると歩いたり走ったりする…というものが行われ、それを眺めて祭は終了する。(ぐるぐる回る中央には何かが作ってあったはずなので、たぶんこれも神事の1つ)


呉の総氏神で1番大きな祭である亀山神社の秋祭りはもう終わってしまったけれど、この龍王神社の秋祭りは毎年11月3日なのでこれからだ。もしこの日に広島にいるのであれば、話の種に呉に立ち寄ってみるのもいいかもしれない。

地方で今も続いている、祭のひとつの形だ。


<龍王神社付近までの移動について>
呉駅

広電バス31-1系統・辰川線 鉄管道路にて下車
(上り線には現地に停留所の標識がありませんが、止まります)
マエダ方術薬局の角を左に入る
or
広電バス32系統・長の木長迫線の右まわり 郷町にて下車
そのまま坂を上って、至心保育園の先を左折して5~10分歩く


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