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いつも、あなたは本棚に

親元にいた頃、一人暮らし時代、結婚してから…
本棚はどんどんと縮小された。

実家に置いてきたものも多いし、引っ越しの度に捨てたり売ったりしてきた本は100冊を超えると思う。それでも、どうしても手元に置いておきたくて。必ず本棚にあるのがスティーヴン・キングの小説たちだ。今でも60冊以上が本棚に並んでいる。

作家の名は知らなくても、映画化された「スタンド・バイ・ミー」「ショーシャンクの空に」(原題:刑務所のリタ・ヘイワース)「シャイニング」あたりのタイトルであれば名前を知っている人も多いだろう。

最近ではピエロがトラウマになる恐怖映画「IT」がリメイクされたばかりだし、映画好きなら「ミスト」「グリーンマイル」「ドリームキャッチャー」なんかも見ているかもしれない。


しかし彼の作品が輝くのは映画ではない、本だ。

自分はずっとそう思っている。彼の作品は映画化されると、本で読んだ時に響いていた要素がスッと消えてしまう。

スティーヴン・キングといえば"ホラーの大御所"ではあるんだけれど、彼の作品は恐怖心を煽るだけではない。

「人の心の機微、特に弱さを上手く掬い出して描いているのでリアリティがある」「ストーリーテリングが非常に上手いので、序盤さえ乗り切れば続きが気になってしょうがなくなる」

こういう部分でもとても優れていて…ホラー描写以上にそういった人間の感情の描写が好きで読んでいる。だけれどもその複雑な味わいが、映画という形になると。限られた時間で楽しむ為に、よく似た別物に作り変えられてしまっているように思うのだ。

また超常現象や超能力に異世界といった、現実には存在しないものを現実と地続きで描いているのもいい。存在しない世界をリアリティを持って体験する、これこそ小説の醍醐味ではないだろうか?

最初に手に取った中学生時代から、どれも既に5回も6回も読み返してしまっているので。すっかり小説離れしてしまった昨今は、なかなか開くこともないのだけれど…

すぐそこにある、ここではない世界。
それが手の届く本棚にある、というだけでなんだか安心できて。

彼の作品は、どれだけ時が経っても手放せない本になっている。
そうして、いつでも我が家の本棚に並んでいるのだ。



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