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故人は夢では喋らない…らしい

「亡くなった人は、夢に出てきても喋らない」という話を聞いたことがある。

自分はその時に初めて耳にした。彼女から以外は、聞いたことのない話だ。教えてくれた相手は「たしかに夢には出てくるけど、話しているのを見たことがない」と語っていたけれど…世間的にはいったいどうなんだろうか?
 

ちなみに自分の夢では、故人はよく喋る。

昨年亡くなった母はわりと頻繁に夢に出てきているけれど。亡くなってから日が経つにつれ、どんどん口数が増えるみたいだ。一緒に親戚の集まりに出て、何でもない事を普通に話していたり。我が家に来て「スモモ剥いてあげようか?」なんて言ってきたり。既に15年以上前に亡くなった祖父と、年賀状の相談なんかをしていたりする。

夢の中で母から「こっちに帰って来れることになったんよ」と言われた時は、嬉しくて。これが夢だったらがっかりするから…と側にいた父や夫に「ねぇ、頬つねってみて!」と頼んだ。そしていざ確かめる…というところでパチッと目が覚めて、随分とがっかりしたこともある。

こういう感じで、母とは極々普通に会話をしている。
 
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ただ思い返してみれば…どの身内も亡くなった当日や、そのすぐ後に見た夢では喋ってはいなかったように思う。祖父母についても死後しばらくは、夢で会っても直接の会話はなかったはずだ。

そんな彼らがいつ喋り出すかといえば、お化けの気配がなくなってからだ。

自分の夢ではなぜだか、亡くなって最初に出てくる時は全員が必ずお化けの気配を纏っている。だから会えて嬉しいはずなのに、とても怖い。
 
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例えば父方の祖母が亡くなり、最初に夢に出てきた時は。「小さい頃に幽霊がいるかいないかの話になった時、もしいるなら死んだら出てあげるから」って約束したことを実現しにきたのだ…と言葉ではなく、祖母の顔を見て察するという内容で。「約束を覚えていてくれた!」と喜ぶよりも、幽霊の気配だったのでとにかく怖かった。

それが次に出てきた時は、やけに良い顔をしていた。

亡くなった頃より若い姿でストールを首からたなびかせて、堂々と格好良く歩いていく…最初の夢と違って普通に話せるし、怖い感じも一切ない。「あれ?もしかして…」となんとなく日を数えてみたら、ちょうど四十九日に当たる日だった。
 
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初孫として可愛がってくれた母方の祖父は、たしか1度だけ怖い気配で出てきたが…その後は随分と長いこと出てこなかった。次に会えたのは11年後だ。

やはり怖い気配は亡くなっていた。夢の中では一緒に手を繋いで、従弟を探しに祖父の家に向かいながら。のんびりと「このへんも変わった。あそこもなくなって、ここも店がなくなって…さみしいねぇ」などと話していた。

途中で祖父から「お前は落ち着いたのぉ」と感慨深そうに言われ、「当たり前じゃない、もう大人なんじゃけん(笑)」と普通に答えたけれど。よく考えたら、祖父は学生の頃の自分しか知らないのだ。

起きてからそれに気がつき、本当に祖父に会えた気がして泣けた。
 
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自分の身内はどうにもお喋り揃いのようだが…

あなたが夢の中で会う懐かしい人は、黙して語らないだろうか?
それとも、気軽に喋りかけてくるのだろうか?
 

 
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