来てみんさい、広島へ 5 ~パンに向ける愛~
観音のTROUVERの、じゃがいもパンが好きだ。
トースターで温め直して、よつ葉バターを塗ってかじる。
外側は少し堅めで歯ごたえがある。しかし内側はふわふわだ。
ただ柔らかいだけではない。ふんわりとした感触だがしっとりとしていて、
僅かにもっちり感も存在している。
その絶妙なバランスが好きだ。
バターを足してやると、そこにほんのり塩気と油分が加わって。
ひとくち食べる度に、なんとも幸せな気持ちになる。
他にも美味しいパンは色々とあるのだけれど…
このじゃがいもパンが一等好きだ。
比較的シンプルで、パン自体の味を楽しめるものが好みなんだろう。
古江のMehlなら、カンパーニュが好きだ。この店に行くと総菜パンには目もくれず、カンパーニュだけ買って帰るくらいに好きだ。
厚めにスライスし、軽くトーストする。
そして熱いうちにバターをたっぷり塗る。
とろけ始めたバターと一緒にかぶりつくと、うっとりしてしまう。
ハムやベーコンといった余計な物はなくていい。
むしろ邪魔だ。
シンプルにこれだけで、至福の時間が味わえる。
ひとくち食べるごとに、なんて美味しいんだろう…と幸福な気持ちになって。
気づけば、次の1枚をトースターに放り込んでいる。
他に、1口ごとに幸せを噛みしめるパンと言えば…
安佐南区の山奥にある、カドナ。
ここのモッツァレラチーズとハムのごくシンプルなバケットサンド。
ただのパンなのに、どうしてだろうと不思議な気持ちになる。
口にするごとに、舌にパンの旨みが伝わってきて…
思い出しながら、溜息をついてしまった。
食べたい、近所にないのが辛い。
今はもう無いけれど、ベッカライアインのチャバタもそうだった。
日によってばらつきはあるけれど。
最高に美味しい日はこれまた1口ごとに「美味しい…」と
言わなければ気が済まなかったし。
ここの全粒粉のクロワッサンも、仄かな酸味があって好きだった。
大御所アンデルセンでは、デンマークフェアで限定販売されていた石窯パン。
たまたま何の気なしに選んだこれが、アンデルセン歴最大のヒットだった。
うっすらバターを塗って。
デパ地下(広島そごう)でゲットしたちょっと良いハムと
カマンベールチーズ(シャレオのジュピター)をのっけて食べると。
これが絶妙にマッチしていて。おいしいおいしいと、浮かれて食べた。
そして数日後。
「またあのパンを買うぞ」といそいそアンデルセンに向かったのだけれども。
同じ物がどこにも見当たらない。
店員さんにこんな色でこんな味で…と説明して尋ねてみると。
申し訳なさそうに「デンマークフェアの限定品だったので…もう終わってしまったんです…」と教えてくれて。
物凄くがっかりしたのだった。
もしこのパンを見かける事があったら。
ぜひ美味しいハムとカマンベールチーズと一緒に食べて欲しい。
それだけでご馳走気分になれるから。
さっきお昼にTROUVERのじゃがいもパンを食べて。
その時の幸せな気持ちのままに一気に書いてしまったけれど。
舌の合いそうな人は、広島に立ち寄る事があればぜひ試して欲しい。
(ふわふわパンやマヨネーズの総菜パンが苦手で、大昔のドンクのカスクートが好きだったような人なら気が合うかも知れない。)
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