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物撮りと、その裏側をのぞいてみる

普段は仕事で人ばかり撮っているけれど、仕事の落ち着いた時期には趣味で小物を撮ったりもしてみている。最近はある意味で物撮りに近いニューボーンフォトの撮影も増えたので、だいぶ慣れてきた感があるとはいえ…最初はまったくのゼロ知識からだったので。何をどうしたら雰囲気の良い写真が撮れるのか、さっぱりだったし。どんな小物があれば雰囲気作りに役立つのか、どこで手に入れればいいのか、何がコツなのか…もうとにかく、なんにもわからなかった。

そんな過去の自分みたいな人には、こういう記事も何かの役に立つかな…と思ったので。先日のお休みに遊びで撮ってた、指輪とオイルの撮影を振り返ってメモメモ。


(写真の作例があるのは、「●レース&洋書&板材で指輪を撮る」以降になるよ!)

●自分にとっての物撮りのコツ

あくまで自分にとっての、なので。独断と偏見に塗れてるけども…

★小道具が何よりも大事

自分にとっては、これにつきた。
おしゃれ感を演出してくれる小物、これが無ければ始まらない。理想の雰囲気を演出する為のアイテムを持ってること、最大のコツはこれ!!
ただ手頃な値段で理想的なものを集めるというのが、なかなかに大変だったので…とりあえず今回使ってるものに関しては、細かく書いてみた。

★画面をどう埋めるかと、アングル

次に大事なのが。写真という四角い枠の中をどう埋めていくか、何で埋めていくか…という小道具の配置。ただこの配置の前に、アングル決めが必須

真上から、斜め上から、横から…どのアングルから撮るかで背景の作り方が変わる。真上から撮るなら、平面に物を配置していくだけで良いけれども。斜め上からであれば、物を置くにも少し立体感をつけた方が映えるし。横からであればもう一面増えた、背景にも気を配る必要がある。
個人的には、真上からだと影を気にしないといけないし。横からだと背景作りの手間がかかるので。斜め上から撮るのが1番楽かなーと思ってる。

アングルが決まれば、写真で切り取る予定の四角の中に美観を損なうような物が入り込まないように物を置いていけばOK。余白のバランス、色のバランス、ラインのバランスなんかをファインダーを覗きながら調整する。個人的に思ってるコツとしては、物を重ねる・奥側に物を置くと立体感や奥行きが出て良い感じになりやすい。

★光の種類や方向

まず気をつけてること、部屋の照明だけでは撮らない。真上からの光オンリーで撮るとのっぺりした印象になるし、照明の種類によっては色味も補正が必要になってくるので基本は自然光。自然光っぽいライティングができる機材があるなら、夜に撮ってもいいけど…太陽は無料だし収納場所を取らないので、有効活用してる。

光の方向は、サイドからの光か半逆光でが定番。直射日光ではなく、レースのカーテンなんかで光を和らげてから撮る。ただ窓の方向と時間や天気によっては、カーテン無しでも柔らかい光のこともあるし。撮りたい雰囲気にもよるので、その辺は臨機応変に。

あとは自然光に加えて、サブライトとして液晶ライト持ってると便利かも?自分は4000円程度で気軽に買えて、ホワイトバランスや光の強弱の変更もできるこれを、ちょっとしたレフ板代わりやスポットライト的に使ってる。(電池や充電はたしか別売りで、最安値は楽天だった気がする)


●レース&洋書&板材で指輪を撮る

この写真の雰囲気作りのポイントとしては、洋書とレースと背景になる板材。
それから左サイドからの自然光と左手前からのLEDライトで、写真の左下から右奥にかけて明暗差ができていること。さらに撮影後の周辺減光で、メインの被写体である指輪付近に視線が行くようにしてあること。

カメラはフルサイズで50mm単焦点、手前と背景はボケさせたいけどピントが浅くなり過ぎないように絞りは開放にはせずf4.0。ピントが合うギリギリ寄った距離感で、このくらいの画角。

マクロレンズを引っ張り出すのは面倒だったので、メイン被写体の指輪をもう少し目立たせたい時は撮影後のトリミングで対応↓

★撮影で使ってる小物について

☆レース
これ、実はニューボーンフォト用のおくるみ。たしか1500円〜2000円くらいで楽天やメルカリで売ってる。結婚式のヴェールのような繊細さがあって、手持ちのレース系小道具の中でNo.1のお気に入り。

☆洋書
ブックオフでGET。ただ程良く古びて見た目が良い感じのハードカバーの洋書、さらにはリーズナブルなお値段で、というのがなかなか無くて…出会えるまで数ヶ月かかったと思う。古びた紙と英字の組合せは、雰囲気作りにかなり便利!2冊持ってて、たしか800円と1000円で買った。

☆板材
薄くて軽い、持ち運びや収納がしやすいもので。かつオシャレ感を演出してくれるもの、という条件で探すとなかなか見つからず。1年くらい探して、カインズで出会った。(実店舗で買ったので、ネットショップだと無いかも。広島ならLECTの2階にあるよ!)

売ってる物では長過ぎたので、半分に切ってもらってちょうど良いくらい。切ってもらうとリュックにギリギリ詰め込めて、お部屋の収納コンテナにも入るサイズになる。(我が家で使ってるコンテナは、これ
色は今回は水色に塗装しているものを使用してるけども、下の写真のナチュラルカラーのも持ってて。どっちも使いやすい。白に塗装したものも売ってたはず。
お値段的には3本買って1000円ちょっと、かなり安い。これをお店で半分に切ってもらうと撮影台にしてるコンテナの上が、ちょうど綺麗に埋まるくらいになる。
家にあるテーブルは濃いめのブラウンで、自分の撮りたい雰囲気と違うので。この板材、物撮りにめちゃくちゃ役に立ってる。買って良かった一品!

★撮影風景はこんな感じ

それから、撮影風景はこんな感じ。すりガラスから入ってくる自然光が少しきつ過ぎたので。ライトスタンドとクローゼットの取手に、目玉クリップでレースのマルチクロスを留めてカーテン代わりに。

そして指輪の石が綺麗に見えるように、左手でLEDライトを当てながら、右手でカメラ持って撮ってる。どっちかに三脚使えばいいんだけど、ライトスタンドはレースを留めるのに使っちゃったし。アングルや構図を気軽に変えたいから、カメラは手持ちで撮りたかったので…。

ちなみにこのレースのマルチクロスは、salut!の実店舗で撮影小物用に数百円で買ったもの。

カーテン代わりにする以外に、こんな感じでちょい足しして雰囲気作りに使ったりもいいし。何かの下に引いて、チラ見せとかするにも○。安いから汚しても惜しくない所も良い。
一緒に写ってるレトロな雰囲気のガラスケースも同じくsalut!ので、収納と撮影小道具を兼ねられそうなので買ってみた。こっちは1600円くらい。

●洋書と流木、ドライフラワーと天然石で撮る

先程とは少しセッティングを変更したバージョン。こちらは絞りをf2.0にしたので、最初のカットより少しボケが深いのと。メイン被写体のすぐ後ろにドライフラワーを持ってきたので、さっきのよりボケ感が目立つ仕様。
全体的にブラウン系の色味の中で、本の表紙の青いラインがアクセントに。
この重ねた本と流木でできるラインがバランス良く見えることが大事だったので、撮影時の細かな配置調整、それから撮影後に画像の角度調整やトリミングもしてある。
光に関しては先程とは違ってレース無し、左からの自然光と左手前からのLEDライト。レースが無いぶん光が少し強まったので、さっきよりこっくりした雰囲気、影も濃い。

写真の雰囲気を作っている要素としては、ボケ感・光の陰影・ラインが作る構図のおさまりの良さ、色のバランスがある。

★撮影で使ってる小物について

板材はほぼ隠れて見えないけど、先程と同じ物。洋書を1冊増やして重ねることと、背景にドライフラワーを置くことで立体感を出してる。天然石はいくつかある中から、このセットでは白がパッと目が行きやすいという理由でセレクト。そして流木は本を置いた角度がきつすぎて、置いた天然石が滑っていってしまうので。それを防ぐ為の苦肉の策だったり。

☆流木
近くに浜辺があればその辺で拾って来れるかもしれないけど、自分は東急ハンズでひとつ数百円で購入。とても軽いし、普通にインテリアにも撮影小道具にも使えるしで、何個か持ってる。ニューボーンフォトでも、これの形違いを頻繁に使ってる。撮影小道具としてめちゃくちゃ便利。

☆天然石
これはジオード?晶洞?っていうのかな。丸い岩が2つにパカっと割れると、中が細かい水晶になってるもので。アクセサリー撮る時とかに、ちょいちょい使ったりする。ネットでも、鉱物ショップやパワスト屋さんでも買えると思う。

☆ドライフラワー
ドライフラワーはこのブラウン系のもの、個性的な雰囲気にしたい時のプロテア、ナチュラル感を出したい時の白・黄・緑のもの、オレンジ系のブーケ、スモークツリー、といくつか持ってて使い分けてる。
簡単に素敵なものを手に入れるなら、もう見るからにおしゃれな専門ショップで購入するのが1番。予算をおさえて安く手に入れたい場合はナチュラルキッチンが、使いやすいものが多くて安い。メルカリはピンキリだけど、探せば市販3000円くらいしそうな雰囲気良いのが1500円程で買えたりする。

★指輪の配置を変えてバリエーションをつける

絞りはf2.5。セッティングは先ほどのものそのままに、天然石に載せてた指輪の位置を変更。左手にはめて、右手にカメラ持って撮った。左手に持ってたLEDライトは、画面の外の左手側に指輪に光が当たるよう置いてある。

生々しさが減った方が、雰囲気良くなるから。この手へのライティングと撮影後に彩度を落とすことで、実際よりもかなり色白の手に見せてある。それから上記に加えてホワイトバランスも調整して、黄味をおさえて緑かぶり気味に仕上げてるのがポイント。

絞りはf2.8。同じくセットはそのままで、指輪は本に直置き・構図は引き気味に変更。セッティングが変わらなくても、写真という四角の中に何をどれだけいれるかのバランスを変えれば、雰囲気は大きく変わる。

ちなみにこのカットは、こんな感じで左手で造花を持って。木漏れ日風の影を落としてるのがポイント。(フルサイズの重たいカメラ使ってるのに、片手は常に何かに使ってて。撮影中だけ手がもう1本欲しいね…!)

これは商品撮影の動画を見て、「こういう表現方法もあるんだ!いつかやってみたいなー」と思ってたので。今回、実行できて満足。

こういう小細工も雰囲気を構成してる要素のひとつだけど、知らないと見逃してしまう部分でもあって。「知識をつけると、写真から答が拾えるようなる」と昔に行った写真教室で言われたことをなんとなく思い出した。

★レンズを変えてみる

今度は物はそのまま、微妙に配置を変えて指輪を置く位置を流木に変更。絞りはf8.0。

そこからさらに、今度はレンズを変更。

絞りはf7.1。同じ単焦点レンズではあるけれど、50mmから135mmに変えたのでボケ味は絞り以上に増してる。(焦点距離が長い方がボケやすい)

そしてf4.0で撮ると、こういう感じに。

なお付け加えるならば。50mmレンズと比較すると、なんとお値段10倍なので。ボケのまろやかさやピントの合ってる部分のシャープ感なんかの描写力も違ってる、ような気がする。

この135mm f2Lは鬼のように作例を見て、このレンズの描写が好き!!と選んだお気に入りの1本なので。その欲目もあるかもしれんけど…

ばしっとピントの合った時のシャープさが、やっぱり50mmとは違うと思う。ボケもとろんとろんだし。ひさびさに使ってみて、やっぱり好きなレンズだなと再確認。


●光の強弱による対比

光の強さで写真の雰囲気が変わる、ということがわかる例かなと思って載せてみる。

★レース越しの光で撮る

こちらはレース越しの光での撮影。

今回は横からのアングルなので、開いた洋書とレースで背景の生活感のあるものが写り込まないようにしてある。洋書はそのまま立てるだけでは綺麗に開かないので、マスキングテープで両サイドを留めてある。紙が傷まないように、粘着力があまり強くなくて剥がしやすいものをチョイス。

あと指輪の時は左からのサイド光で撮ってたけど、今回はガラス瓶に入った液体の透明感が引き立つように半逆光へと角度を変えての撮影。

レース越しの光で撮った方は。朝の光のようなやわらかさや透明感が感じられる、コントラストのきつくないふわっとした優しい雰囲気のカットに。
朝と真昼って、日差しの強さが違うし。また同じお昼に撮るのでも、晴れと曇りの日では光の強弱が違うので。この影の出し方をコントロールすることは、時間やお天気を意識させる要素になる。あとは季節感を感じさせるにも良いよね。夏は日差しが強く、冬は弱い。そういう描写をしたい時に、意識しておくと良いポイントかも。

★レース無しの光で撮る

今度はレースを取っ払って撮影してみる。

カメラの設定は先程のレースありの時と同じ、f2.8のSS1/160。現像時の明るさ・彩度の補正具合も揃えてみたけれど…それでも仕上がりはちょっと違う。

光が強くなったぶん、こちらの写真の方がコントラストが高くなってるから。影と色の出方が、さっきと比べてハッキリしている。光は写真の大きな要素のひとつ、というのがよくわかる。

さっきのが曇りがちな冬の日の朝なら、こちらは初夏の日差しのまだお昼前かなという時間帯。同じ場所で同じ設定で撮って、同じ補正をしても。レース1枚でこんな風に変わるから、写真って面白い。

この仕上がりの差は、野外での撮影でも同じことで。晴れの日の方が色は鮮やかに出るし、影は濃くなりやすく。曇天の日はやさしい色合いの、ふわっとした印象に仕上げやすいし。晴れて日差しの強い日、12時前後の太陽が真上にある時間帯に野外で撮ると顔に落ちる影も濃くなりがちなのでご注意を…

★撮影で使ってる小物について

☆造花
ベリーとユーカリの造花は、リビングハウスの実店舗で売ってたもの。ユーカリかオリーブの造花が欲しい、とはずっと思ってたんだけど…いくつかのインテリアショップやホームセンター、手芸屋で見ても、大きさや枝ぶりやリアル感が気に入るものがなかなか無くて。2年くらい探して、これだなぁというのに出会った。たしか、この2つで2500円くらい。

☆オイル
これは撮影小道具ではなく、単なる私物。雑誌とかにも載ってて有名なので知ってる人も多いだろうけど、金木犀の香りというtrackオイルの03。こういうちょっと写真映えする瓶が欲しいなら、カルディのキャンディスの方が安上がりだと思う。キャンディスはスマホでお茶菓子撮ったりする時に、こんな感じで余白に入れ込んだりして。ほぼ撮影小道具扱い。

ついでにこの写真の解説もすると、何気なく撮ってる風でまったくそんなことはなく。ティーカップの下に撮影用のレース編みのランチョンマット引いてチラ写りさせたり、お皿じゃなくわざわざウッド製のカッティングボードに乗せたり、このお茶には入れないキャンディスも小道具として入れ込んである。

大好きなキッシュ屋さんのキャロットケーキを良い感じで撮りたいが為の、完全に演出。※撮ってる間に猫舌仕様に程良い熱さになったお茶は、この後でケーキと美味しくいただきました


★スマホで撮る

1枚目がiPhoneの内蔵カメラで、2枚目はUlikeという写真アプリでフィルターかけて撮ったもの。フィルターのあるアプリで撮った方が色味やトーンが好み。でも大体は普通に内蔵カメラで撮って、自分でLightroomアプリで補正しちゃうことが多い。その方がイメージするカットに近づけやすいので。

というわけで、内蔵カメラの写真をLightroomアプリでトリミング&調整したものがこれ。

一眼で撮ったものとは、さすがに細かな描写や質感は違うけど。色や雰囲気自体は、近いものに仕上げられるので。スマホ写真の撮影後の補正に、Lightroomはおすすめ!あとLightroomアプリは部分調整が有料なので、それが無料でできちゃうsnapseedも入れておくと便利。

ちなみに色味は「ホワイトバランス、各色の彩度や明るさや色相」に加えて。このカレーグレーディング(ハイライト部分・シャドウ部分・中間部分にどんな色を乗せるか)で、かなり雰囲気が変わるので。色にこだわりたければ、『Lightroom>カラー>ミキサ>色調整』で微調整するのがおすすめ。


●最後に

思いつくままにつらつら書いてきたけど。物撮りって、何気ない1枚の裏に色々詰まってて。でも知識ゼロで始めた時は、何にもわからなくて。どうやって撮ってるんだろう??と謎に思ってたので。今回は撮影中の引きのカットも交えて、昔の自分に見せるようなつもりでまとめてみました。なにかひとつでも、今から撮りたい人がへーって思うようなことがあったら嬉しいです。そして最後に…こんな自分で読み返してもひくような、めっちゃ長い記事を最後まで読んでくれてありがとう!!
ではでは。

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