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動きのある写真、動きのない写真

この秋は、ひたすら写真と向き合っている。精神的な意味合いではなく、物理的な意味で。

七五三で撮影が立て続けに入っているおかげで、写真整理と現像でとにかくずっと写真を眺め続けているのだ。

子供ってジッとしていないし、大人だって集合写真の時には瞬きしたり視線を逸らしたりするものだ。だから確実な仕事をしようと思うと連写は必須…という訳で、1時間の撮影で500枚は撮っている。下手したら1000枚近い枚数になることもある。

これを納品用に80枚前後という数へと絞り込まねばならないので、前述の通りひたすら写真と向き合うことになる訳だ。


似たようなカットを見ては表情や構図をチェックして、瞬時にありかなしか判断していく…という修行のようなことを延々とやっていて。ある時にふっと気がついた。

あ、自分は動きのある写真が好きなんだな…と。

構図がほぼ同じ写真があって、どちらの表情も良くて、選び難い。そんな時はいったんディスプレイから顔を離して、少し引いて見た時の印象で決めるのだけど…そういう時に、動きがあるものを選ぶ傾向があることに気がついたのだ。

動きのある写真、ない写真とはどういうものかというと…例えば集合写真なんかは動きがないものに当てはまる。ポーズを取ってもらったものなんかもそうだ。

カメラのレンズにきちんと目線があっている、というのは写真の選定基準の1つではあるんだけれど…

個人的には目線がきているか、よりも。こういった動きのある写真の方が、その場の空気が感じられて良い写真である…と判断している節がある。無意識に。

だからこんな転んでしまった写真と照れ笑いしてる写真をセットで残してあったりするし。

こういう躍動感に溢れてる瞬間なんて、大好物だ。

揺れる髪、舞い散る葉っぱ、楽しげな表情…その瞬間の幸福のカケラをギュッと閉じ込めて保存しておけるのが、写真の良い所だと心から思う。

それに、人は元々動く生き物だから。

背筋を伸ばしてジッと立っているより、何かをしている時の方がずっとイキイキとしている。

「笑って」とお願いしても、動きのない集合写真ではなかなか笑顔は出てこない。出てくるのは作り笑顔だ。でもただお父さんと抱っこで移動しているだけで、こんなにも自然に笑顔は出てくる。

周りをチョロチョロ動き回りながら、こういう瞬間を見つけ出して撮るのが好きなので。自分の撮るものは、スナップ写真の方が愛が溢れている…と思う。

何気ない瞬間が好きなのだ。


だからお約束の定番なので撮っているけれど、上記を見てわかるように…正直、大人数での集合写真は上手な方ではないだろう。

イベントにおいての全員での集合写真、というのはオフィシャルなものだという意識があるから。さらに休日の七五三の境内のような混み合って順番待ちもある場合は、時間もないので。あれこれ動きを提案したりはせず、簡単な立ち位置の指示とカメラ目線や瞬きの注意を呼びかけるくらい。目瞑りが無いことと、カメラ目線を押さえておくだけで精一杯だ。

愛もスキルも不足気味の自覚がある。

一方で少人数だったりプライベート感のある撮影の方は、記念撮影であってもそこまでの苦手意識はない。

時間の余裕もあり少人数だとこちらの声も届けやすいので、動きや表情のある写真にできるからだ。

なので時間に余裕があるときは、個別でツーショットはいかがですか?とご案内したりしている。

その方が見返したくなる写真が撮れる。

動画ではない、静止画である写真だからこそ、動いて欲しい。
それが写真を息づかせてくれるから。

きっと、動きの中から切り取った一瞬だからこそ、写真は眩しいのだ。



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広島で、大人から子供まで人物の出張撮影をしています。自然な情景を、その時間を…切り取って残したスナップ写真は、お客様だけでなく自分にとっても宝物。何かありましたら、ぜひどうぞ!

ユルリラム
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