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子供の撮影とは、待ち続けること

「子供の撮影とは、自由さを見守ること」の続きです。

ひたすらに走り回って、追いかけて…そして最後にやってきた"待ち"のターン。延々と砂場でドングリを埋めることに夢中になる2人、全く顔を上げる気配がない…。

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必死で話しかけても顔を上げてくれることはほぼなく、それどころか「お姉さんのドングリはありません」という残念なお知らせを告げられるという。そうか、ないのか…。

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気を惹くことは諦めて。下から覗き込むことで、どうにか表情を捉えるという作戦。しゃがんだ子供より下からのアングルということから、どんな体勢で撮っているのかは察していただけるかと…

しかし写真が好きな人なら同意していただけるかと思うが、「撮りたい!」で頭がいっぱいだと服が汚れるとかそういうのはもう思い浮かびもしないのだ。ただ「こう撮りたい」という欲望のままに身体を動かしている。客観視する理性は消失し、端から見たらどうとかがすっ飛んでしまう。

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砂場で待ち続けるのに飽いてしまった大人は、再度提案してみた。「あっちでおうちとは違う方法で、お水が飲めるみたい!面白そうよー!」

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気を惹くのには成功したけれど、こうなる可能性を忘れていた。3月らしからぬ、暑いくらいの陽射しの日で本当に良かった。

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そうだそうだ、子供とは水遊びも好きな生き物だった。

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水遊びに夢中になりそうな2人、このままでは砂場の再現に…と感じ、速やかに幼子の手では開けられない程度に蛇口をキュッとひねることで水遊びを阻止。そこにすかさず入るお母さんの機転とフォローで、そのままおやつタイムに突入した。

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七五三などのイベント撮影や「こう撮って欲しい」というご希望がない場合は、無理にポーズをお願いすることはないけれど…せっかくなのでこのチャンスに2人揃っての写真も撮っておきたい。

これもひたすら2人共が顔を上げる瞬間を待つ。なぜならお願いをすると、こんな風にテンションの下がった顔になるからだ。

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少しでも気を惹こうと話しかけながら、できるだけ自然な表情で2人とも上を向いているカットを狙う。食べている間は下を向きがちなので、これがなかなかに大変。

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それでもテンションの下がった表情や作り笑顔よりは、こんな写真の方が好きだったりする。どちらも思い出だけれども、こういう自然な一コマが好きだ。

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お母さんにも入っていただく。この写真は子供達というよりも、それを見つめるお母さんの眼差しの優しさ柔らかさが好きで選んだ1枚。

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お母さんにとっては、子供の写真が目的かもしれない。でも子供が大きくなって写真を眺めた時に、こんな1枚があっても良いではないか…と思うのだ。幼い頃の自分達を、母がどのような目で見つめていたのか。

作り込まないスナップだからこそ、こういう表情は響くはずだ。

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写真とは、今この時を写すものだけれど…未来に向けた財産でもある。

いつかこれらの写真を眺めながら「あなたたち、この頃はこうだったのよ」と思い出話を交わしたり、「お母さん、若い!」と驚いたり、親と同年代になった時に写真の向こうの母に思いを馳せたり…

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そんな未来を想像する。
写真とは時間が経てば経つ程に価値を増す、宝物なのだから。

自分の手元に残る、幼い頃の写真のように。今は亡き家族と過ごした時間が、たしかにあったことを感じさせてくれるそれらのように。



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今の時代、子供の撮影も様々なスタイルがありますが…こういう所にカメラマンの個性って出るようで。今回は「色んなカメラマンさんにお願いしてきたけど…珍しいですね」と言われて、意外な気持ちになりました。

ちなみにこうやって遊びながら撮ると、「この後ご飯食べない?」と提案されたり、「一緒に帰ろう」も何度も誘われたり、手を繋いでもらえたり…ちびっ子のかわいさを実感する機会が倍増します。
  

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広島で、大人から子供まで人物の出張撮影をしています。自然な情景を、その時間を…切り取って残したスナップ写真は、お客様だけでなく自分にとっても宝物。何かありましたら、ぜひどうぞ!

ユルリラム
http://yururelam.web.fc2.com/


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