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観戦ビギナーが東京五輪の自転車ロードレースを振り返ってみた

こんにちは。サイクルロードレース観戦歴5か月🔰のアラサーOLゆるりです。
私は東京五輪をきっかけに、サイクルロードレース観戦の沼にはまってしまいました。まだまだ観戦ビギナーの私ですが、ビギナーなりの視点で東京五輪の男子個人ロードレースを振り返ってみたいと思います。

和やかな面を持つ競技?!

私がレースを観て最初に感じたことは、「え、なにこの競技!?4年に1度のオリンピックなのに和やかすぎない!?」でした。パレード走行の存在を知らなかった私は、レースがスタートしているのに隣の選手同士で談笑している様子に驚いたのです。

多摩川の是政橋を越えたところで明らかに雰囲気が変わって、ここからが本番か!ということに気付きました。ステージレースを観るようになって、コースや展開次第で和やかな雰囲気が流れるときもあれば、緊迫するときもあるということを知りました。

緊迫した雰囲気というのはどの競技にもありますが、「試合中に和やかな雰囲気が流れる競技」というのは珍しいと思います。
サイクルロードレースは、敵であっても利害が一致すれば協力し合う競技であり、ステージレースの場合は長期間同じメンバーと同じ時を過ごすことになるので、選手同士の絆が深まりやすいのでしょうか?そのような競技の特徴が、レース中の和やかな一面を生み出しているのかなと思います。
もちろんしのぎを削る展開では、かなり緊迫した雰囲気になると思います。

このように「雰囲気の振れ幅を楽しめる」というのが、私が考えるサイクルロードレースの魅力の一つです。

ちなみに、東京五輪の私が思うベスト和やかシーンは、新城選手がゴールする際に「(開催国の代表なんだから)前行けよ」といった感じで周りの選手がスプリントを促すシーンです(結局周りの選手も頑張っちゃいましたが…笑)。

峠でのアタック合戦

初めてレースを観た私は、厳しい峠でアタックを仕掛けまくる選手たちの姿に衝撃を受けました。「こんなに走ってきて、アタック合戦とは何事?!しかもこんなにキツい坂道で?!」と思いました。

というのも、私にとって峠は「ゆっくり時間をかけてのぼるもの」だったからです。私は学生時代にサイクリングサークルに所属していました。基本グルメや景色を楽しみながらゆるーくサイクリングを嗜んでいたのですが、たまにガチな峠をのぼることもありました。
もうのぼった峠の名前は忘れてしまったのですが、蔵王や碓氷峠や風張峠などはキツかったのを覚えています。
たいてい私は「本っ当に峠きらい」と峠の悪口を峠に吐き捨てながら、何度も足をつき(自転車を引いたこともありました)、フラフラになりながら、かなりの時間をかけて峠をのぼっていました。それこそ、時速6kmとかで(笑)

このように、私は少しヒルクライムの経験値があったため、「厳しい峠でアタックを仕掛けまくる選手たちの姿」に対するリスペクトが止まらなかったのです。11月半ばに、実際にオリンピックコースを車で聖地巡礼したのですが、「厳しい坂道の連続をあんなスピードでのぼっていたのか?!」と驚愕しました。三国・明神峠にはおびただしい数の「恐怖の看板(勾配○%の道路標識)」が立っていました。恐怖の看板があんなに立っているのは見たことがありません。「いつか3日間くらいかけて、オリンピックのコース(自転車が通れる区間だけ)を走って、選手たちのすごさを体感したい」という好奇心に一瞬だけ駆られましたが、DNFという結末が待っている気がするのでやめておきます(笑)

不利な状況で勝利を掴んだカラパス

五輪のレースを観て私が驚いたことの一つは、「国によって出場人数が異なること」でした。完全なる個人競技であればそれで問題ないと思うのですが、観ているうちに自転車ロードはチームスポーツだということがわかったため、「チームスポーツなのに国ごとに出場人数が異なるってどういうこと?」と思いました。どうやらUCI(国際自転車競技連合)が定める国別ワールドランキングというものに基づいて、出場枠が割り当てられるようでランキングの順位が高い国ほど、出場枠が多くなるようです。

自転車が盛んなヨーロッパ諸国は4〜5人体制なのに対し、その他の国々は1〜2人体制で戦わねばならないという状況でした。自転車が盛んでない国の選手たちは、スタート前の時点でそもそも不利ということですね。

「そもそも不利な国」の一つに、「エクアドル」がありました。エクアドル代表は、最強軍団イネオス・グレナディアーズ所属のカラパスと同チーム所属のナルバエス。2人がいくらトップレベルの選手とはいえ、出場枠の多い国々も同様にトップレベルの選手を揃えてきているので2人で戦うのはかなり大変だと思います。

レース中盤まではあまり目立たないカラパスでしたが、残り24kmの地点でアメリカ代表のマクナルティとともにトップ集団から飛び出します。そして、無事そのままゴールまで逃げ切りました。

J SPORTSでお馴染みの栗村さんが「五輪ではカラパスが平地の強いマクナルティの力を上手く使って逃げ切った」とおっしゃっていたのを聞いて、カラパスは数的に不利な中で「どうしたら自分が勝てるか」を考えて勝負していたのだなと思いました。

カラパスといえば、2021年のツールの第17ステージの山岳勝負で、苦しいフリをしてポガチャルやヴィンゲゴーに先頭を引かせて、残り1.5km地点でアタックを仕掛けていました。結果惨敗でしたが、なかなか印象に残るシーンでした。

戦い方としては賛否両論あったと思いますが、カラパスには「ポガチャルには敵わない」という気持ちがあり、勝つためにできることをしたのだと思います(勿論本人の意思だけではなく、チームの作戦の結果ではあると思いますが…)。

私は現在社会人4年目なのですが、入社式での当時の社長のある言葉が印象に残っています。それは、「できない理由を考えるな、どうやったらできるかを考えろ」です。今でもたまにその言葉を思い出すのですが、凡人の私は「確かに大事なことだけど綺麗事だよね。」と思っていました。

しかし、カラパスの戦い方を観ると、彼は「勝つためにどうするかを考える」ということを徹底してやっているように見えました。そして、「勝つためにはなんでもやる」という信念が感じられました。やはりトップのスポーツ選手というのは、只者ではないのだなと実感しました。一人の社会人として、「結果を出すために、プライドに縛られず自分のできることを考えて実行する」というカラパスの姿勢を見習いたいなと思いました。

少し話はそれましたが、不利な状況の中で掴んだカラパスの勝利は本当に素晴らしいと思いました!初めて観たレースの勝者ってずっと心に残るものですよね。なので、私にとってカラパスは特別な選手です。これからもカラパスの活躍を願っています。

【番外編】サイクルロードレースの映像美

私は、綺麗な景色を見ることが本当に大好きです。
コロナ禍前は旅行に行くことも多かったですが、コロナ禍になってからは旅行に行けず綺麗な景色に飢えていました。そんな私は五輪の自転車ロードレースを観て「とにかく風景の映像が美しい」と感激しました!!

特に空撮が美しくて、本当に癒されました。(アヒルさんの遊覧船を映しまくるのは謎でしたが、ツールの映像を観てそういうものなんだと理解しました。笑)景色を見るためにレースを観るという方も一定数いるんじゃないかと思うくらいです。

今回は地上波でレースが放送されず本当に残念でしたが(惜しいことしたな、日本!)、今後サイクルロードレースの映像美が注目されるきっかけがあるといいなと思います。

おわりに

さて、ここまで観戦ビギナーの目線で東京五輪の自転車男子個人ロードレースを振り返ってきました。ごく一部の選手をピックアップしましたが、ほかにも印象に残る選手は沢山いました。
何よりあっぱれだったのは、ツール・ド・フランスを完走して6日後に東京五輪を完走した選手たちです。サイクルロードレースを初めて観戦した身としては、21日間ものレースの後に、時差もあり気候も異なる日本で244kmのレースを走るとは本当に驚きました。同じ人間とは思えないです(笑)

私はたまたま観た東京五輪でサイクルロードレースの虜になり、今ではレース観戦が生活の一部になっています。今後多くのレースを観戦していく予定ですが、東京五輪のレースは私にとってはずっと特別なレースとなるはずです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。また次の記事でお会いしましょう〜!

2021/12/5 ゆるり


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