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【ツール・ド・フランス2023】第16ステージ現地観戦記

こんにちは、サイクルロードレースファンのアラサーOLゆるりです。

前回の記事で予告させていただいた通り、今回からは少しずつ「ツール・ド・フランス2023」の現地観戦記事をアップしていきます。

今回の記事のテーマは、「第16ステージの現地観戦」です。第16ステージは、今大会唯一のTTステージでしたね。距離はパッシーからコンブルーまでの22.4kmで、厳しい登りを含むクライマー向けのコースでした。また、総合優勝争いはほぼヨナス・ヴィンゲゴー(TJV)とタディ・ポガチャル(UAD)に絞られており、その2人のタイム差がたったの10秒という胸熱な局面になっていました。今年の総合優勝はこの第16ステージのTTか第17ステージのロズ峠で決まるのではという意見もあり、開幕前から注目度が高かったステージだと思います。今回は、そんなステージを現地観戦して思ったことをゆるく書き連ねていきます。

衝撃の現地入り

私は、第16ステージの前日に夫とともにコンブルーに到着しました。コンブルーは、フランス南東部にある第16ステージのフィニッシュ地点となっている街です。モンブランも近く、標高も高いのでさぞかし涼しいのだろうと思っていたのですが、とにかく暑かったです(やっと避暑地に来られたと思ったのに…!)。

ジュネーブ国際空港からコンブルーに向かう途中の車で、早速イネオスのチームバスを発見しました!

14時間超えのフライトの疲労も一気に吹き飛び、とうとう来たんだなという気持ちになりました。その後も街中でいくつかチームスポンサーの看板を見つけては興奮しながら、我々を乗せた車が無事ホテルに到着…

えーーーーーーーーー?!?!?!?!?!?!?

なななんと、ボーラとアスタナと宿泊先が同じであることが発覚しました!!!


我々が宿泊したのは、「Chalet Alpen Valley, Mont-Blanc」という小規模のコテージ風のリゾートホテルです。

少し言い訳をさせていただくと、私も夫も人見知りで「遠くから見ているのが好きなタイプ」のオタクです。しかも、ホテルの予約は旅行会社の方にお任せしていました。

何を言いたいかというと…

わざと出場チームの宿泊先にかぶせたわけではありません・・・!!(必死)

我々以外の宿泊者はほぼチーム関係者なのでは?と思うほど、ロビーもカフェテリアもチームのスタッフで溢れていました。現実とは思えない状況に心臓をバクバクさせながら、チェックインを済ませ、部屋に入るやいなや夫と作戦会議をスタート。

夫「え、やばくない?!どうする?!」
私「どうしよう、訳が分からなくなってきたー!!」
夫「ロビーとかで選手に会っちゃったらどうしよう。サインペンとか持ち歩く?」
私「私はこのキャップにサインしてもらおうかな。え、でも、迷惑かけたくない。去年の世界選手権でマチューと一般人のトラブルもあったし、選手もファンと一緒のホテルとかめっちゃ嫌だよね…」
夫「もしも知っている選手にばったり会ったら、『頑張ってね!』って声をかけるくらいにするか!」
私「そうしよう!」

ということで、我々は興奮を抑えながら「ツール・ド・フランス?何それ、知りませんけど」みたいな顔をしてホテル内を歩くことにしました。

結局、ホテル内でばったり選手に会うことはありませんでしたが、ヴィノクロフ監督(大佐)を見かけることができました。第16ステージ当日、朝食時に近くの席にボーラのスタッフがいたため、「今日は頑張ってね!応援しているよ!」と声を掛けたら、「ありがとう!良い旅を!」と笑顔で返してくれてほっこりしました。

コンブルー散策

少し時を戻しますが、我々はホテルの一件で混乱した感情を鎮めるべく、ホテル周辺のコンブルーの街を散策することにしました。第16ステージが登り基調のTTであるということは知っていたものの、私が想定していた以上に「山!!!」という感じでした。ジムで30kgの重りを持ってスクワットをしても足をつることはなかったのに、コンブルーの坂があまりにもキツく、夜中に足がつりました。「第16ステージは厳しいステージになる」ということを身をもって感じました。

いざ、現地観戦へ

第16ステージ当日。レース開始の4時間前にホテルを出発し、徒歩でゴール地点に向かいました。

途中に牛さんがいたり…

可愛く装飾された建物があったり…

激しい戦いが行われるとは思えないほど、のどかな風景が広がっていました。

シクロクロスができそうな急な砂利道を3kmほど歩き、ようやくフィニッシュ会場に到着しました。

⚫︎フィニッシュ地点の特設会場

⚫︎フィニッシュ地点までの登り

⚫︎チームジャージの特設ショップ

超有名人とご挨拶

会場を歩き回っていると、なんと弱虫ペダルの作者である渡辺航先生を発見!Jsportsのツール・ド・フランスの放送にゲストとして出演された際に「今年は現地に取材に行く」とおっしゃっていたので、もしかしたらお会いできるかも…とは思っていたのですが…まさか本当にお会いできるなんて…!渡辺先生は日本のレース会場にお見えになることも多いですが、超有名人なのでいつもサイン待ちの長蛇の列ができています。貴重な機会なので写真をお願いしたところ、気さくに応じてくださり、オリジナルポストカードまでくださいました。


場所取り大作戦

その後、しばらく会場を歩き回り、レース開始2時間前になると観客が増えてきたので、急いで場所取りをしました。我々はゴールまで200mの地点で観戦することにしました。

持参したアウトドアチェアに座って場所取りをしていると、隣にデンマークの国旗を持ったファミリーがやってきました。話を聞くと、シャモニーでのバカンスの帰りに観戦しに来たとのこと。何度か現地観戦の経験もあるようで、「隙を見せると間に入ってくる奴らがいるから注意しな!このゴミ袋から右側は俺らの陣地で、左側はあんたたちの陣地。俺らとあんたたちの間には誰にも入れないように気をつけよう。協力してお互いの陣地を守ろう!」と話を持ちかけられ、一緒にお互いの観戦場所を守ることに。海外の方々の体格の良さにビビり、見えなくなったらどうしようと不安に思っていた我々にとっては、本当に心強かったです。その後、「典型的な控えめな日本人」である私たちは、案の定あとから来た観客に場所を奪われそうになり(現地観戦の洗礼?)、デンマーク人ファミリーに助けられました。それからは、「我々はサガンくらい強いぞ」という心持ちでデンマーク人ファミリーと場所取りを頑張りました。

直前の試走

売店で買ったフランスパンを食べていると、選手たちが続々と試走を始めました。前日は休息日だったし、まさかこんな直前に試走するとは思ってもみなかったので、本当にびっくりしました。心の準備ができていない段階で、スーパースターたちが次々と自分の目の前を通っていくのですから…「夢だけど!夢じゃなかった!」という気持ちになりました(となりのトトロ風)。


初めてのキャラバン隊

選手たちの試走も落ち着き、とうとうキャラバン隊がやってきました。毎年日本で行われているTOJ、ジャパンカップ、ツール・ド・フランスさいたまクリテリウムは現地観戦したことがありますが、いずれもキャラバン隊はなかったため、キャラバン隊を見るのは初めてでした。

キャラバン隊を初めて見た印象は、「ディズニーのパレードみたい」です(ディズニーファンの方ごめんなさい…!)。もちろんディズニーのパレードのように揃ったパフォーマンスはないし、ファンタジー感もないのですが、観客とスタッフが一体となって盛り上がる雰囲気が似ているなと思いました。

乗り物に乗ったパリピ風のお兄さんやお姉さんがクラブミュージックに合わせて踊りながら、次々と販促品を投げています。

マイヨジョーヌの巨大人形も来ました。

キャラバン隊が来ると、一気に会場のボルテージが上がり、いよいよレースが始まるぞという雰囲気になりました。

レースがスタート!

現地時間13時過ぎ、待ちに待った第16ステージがスタートしました!ラスト200m地点で観戦していたため、ドキドキしながら選手が到着するのを待機。しばらくすると、超スーパースターたちが続々とやってきて、自分の目の前を駆け抜けていきます。

⚫︎エガン・ベルナル(IGD)

⚫︎ワウト・ファンアールト(TJV)

⚫︎サイモン・イェーツ(JAY)

写真をご覧いただければ分かる通り、TTのヘルメットが巨大なので選手のお顔は確認しづらかったです。ただ、選手名の横断幕が貼られたチームカーが選手の後ろについているため、誰が通ったかは分かります。出場選手をおさらいすると言う意味でも、現地観戦の最初にTTを観戦できてよかったです。

展開については、お茶の間で実況・解説を聴きながら観た方がよく分かります(現地でもゴール付近では実況が流れていますが、フランス語のため全く理解できませんでした)。ただ、「この選手とこの選手の間が短い」、「まだこの選手は来ていない」、「この選手は明らかにスピードが速い」、「この選手は声援が大きい」などなど…現地だからこそ感じられることが多くありました。個人的には、落車したヴィクトール・ラフェ(COF)が再出走する際に、ニコニコしながら自分で観客を盛り上げるジェスチャーをしていたのが印象的でした。どうしても放送だと、有力選手が多く映るのですが、映っていない部分でもさまざまなことが起こっているのだなと感じました。

声援については、やはりフランス人のティボー・ピノ(GFC)やジュリアン・アラフィリップ(SOQ)が群を抜いてすごかったですね。フランス人以外で言うと、ワウト・ファンアールトの声援がかなり大きかったと思います。人気な選手が近づいてくると遠くの観客がざわざわし始めるんですよね。それを察知して、ドキドキしながら待つのが本当に楽しかったです。あとは私の周りにはデンマーク応援団がいくつもあり、その熱量がものすごく、デンマーク人選手が通るたびに大きな声援があがりました。もちろん私たちの隣のデンマーク人ファミリーも大盛り上がりでした。

ここで、隣のデンマーク人ファミリーとのほっこりエピソードを1つ。デンマーク人ファミリーに「好きな選手は誰?」と聞かれたので、夫はワウト・ファンアールト(TJV)が好きで、私はマチュー・ファンデルプール(ADC)が好きだと伝えました。すると、ワウトとマチューが我々の前を通る際に一緒にバリケードを叩きながら盛り上げてくれたのです。これが本当に嬉しくて。こんなに遠くに住んでいても、同じ自転車レースを愛する仲間なんだなと感じました。これからデンマーク人選手が勝つたびに、このファミリーを思い出す気がします。

さて、レースも終盤になり、有力な総合勢が出走するようになりました。隣のデンマーク人ファミリーからも、「ポガチャルが速い、でもヴィンゲゴーがもっと速い」という情報を聞き、ドキドキしながら到着を待ちました。

「とうとうポガチャルがやってくる…!!」そこで、我々が見た光景はこちらです。

えーー!!!ポガチャルがロドリゲスに追いついている!!そして、すぐ後ろにヴィンゲゴーも来ている!!

本当にこれは衝撃的でしたね。

さすがディフェンディングチャンピオン、ヴィンゲゴー!でも、「ポガチャルなら翌日の第17ステージで巻き返す可能性もある」とこの日の時点では思っていました。第17ステージでのことについては、また次の記事で綴りたいと思います。

おわりに

長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。
初めてのツール•ド•フランスの現地観戦、思いがけないことが沢山起こって本当に楽しかったです!この記事の写真や動画を通して、少しでも現地の雰囲気を楽しんでいただけたら幸いです。

では、また次の記事でお会いしましょう〜!

ゆるり


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