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ドーナツの穴に新玉ねぎを

異動になって1ヶ月。引き継ぎがほとんどなく、それでなくても慣れるのに何をやっても時間がかかる上、仕事ができないため周りから色々言われているわたしは、やはり周りをイライラさせているらしい。なんとなく雰囲気でわかる。空気が読めない、のはわかっているのだけど、その空気にどう合わせていいのかがわからなくて悩んでいる。前にパワハラ上司の悪口を書いたけど、その通りかもしれない、と思うようになった。できないわたしにものをいう権利はないのかもしれない。

異動になってからどうしたらいいのかずっと悩んでいて、疲れも溜まっていたのもあったのか、体の調子も悪い日に、あぁ大変なことを色々やらかしてしまった。もちろん注意を受けて、注意を受けたことによって少し頭の中が混乱してパニックになってしまって、どうしたら良いかわからず、情けないが会社のトイレでこっそり泣いてしまった。

仕事が終わったあと、なんで自分はこんなことをしてしまうんだろう、なんでこんな迷惑ばかりかけるんだろうとずっと自問自答し続けた。余計に疲れたのか、無性に甘いものを食べたくなった。1番最初に頭に浮かんだのは甘い甘いドーナツだった。ドーナツ食べたい。近くにミスタードーナツがあったのを思い出し、家とは逆方向のミスドへ歩いて向かう。とにかく甘いものにかぶりつきたかった。

ショーケースに並んだ甘いドーナツたちは、今ならわたしのお腹の中に全て収められそうだった。選んだのは王道オールドファッションと、宇治抹茶ティラミスデニッシュ、そしてフレンチクルーラー。オールドファッションとフレンチクルーラーをお持ち帰りにしてもらって、宇治抹茶ティラミスを店内で食べることにしたのだが、結局気持ちが収まらずお持ち帰りの袋をガサガサ開けて全て食べてしまった。

ドーナツを食べている間は本当に幸せだったのだけど、一気に食べ終わったあと、激しい虚無感が襲う。まるでドーナツの穴のように、埋まることのない穴があって、ボロボロ崩れ落ちていくようだった。それをまた必死で埋めようと、甘いものが食べたいという欲望がむくむく湧いてくる。際限なくドーナツに手が出そうな気持ちを抑えて、カフェオレをがぶ飲みして、外に出た。

帰ってからはしばらくぼーっとしていた。さっきのドーナツで若干口の中がネバネバする。ふと目に入ったのは数日前に買った100円で買った、あまり綺麗とは言えない新玉ねぎだった。あ、このままじゃいけない。ちゃんとしなきゃ。もう22時を回っていたけど、キッチンに立って鍋を出す。ハムを炒めて水とコンソメをいれて、新玉ねぎをそのまま丸ごと煮た。その間に缶詰の鯖缶を皿に出してチン。煮るのに結構な時間はかかったが、温かくて美味しかった。

不思議なことに、ドーナツでは満たされなかったものが満たされたような気がした。なんでだろう?旬のものだから?温かいスープだから? わからないけど体と食べ物の関係ってすごいなぁと思った。

次の日、朝は仕事行きたくなさすぎて休もうかと思ったけど、自然とおさまった。やっぱり不思議だなぁと思った。

#食べもの #新玉ねぎ #日常 #日記 #ドーナツ

ありがとうございます。文章書きつづけます。