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サラリーマン時代の後悔II ... S氏からの遺言

先日、元同僚で後輩のG君に連絡した。

「G君、たまには飲みに行こうよ」
「ああフレッドさん、いいっすね。ぜひ行きましょう。」
「でも最近飲むと必ず翌日調子悪くなるんですよね。」

なんとも情けない話だが、還暦を過ぎるとこの手の話はどこにでもある。
そんな話の先に、G君が言った。

「フレッドさん、Sさんが亡くなったのを知ってますか?」
「えっ、Sさん?まだ若かったよね。」
「Sさん、69歳ですよ。病名は詳しく聞けてないけど。」

大手IT企業に勤めたS氏は、常務取締役まで上り詰め、65歳で退任したはず。人生は死ぬまでの暇つぶし。なんて言うけれど、あまりにも早い死。
暇をつぶす時間もなかったのではないか。

僕はS氏が好きではなかった。
ある時、役員会にて大型プロジェクトの説明をする機会があった。僕は部長職であったが、本来なら足を踏み入れることもない役員が居並ぶ場でのプレゼンは緊張する。

そのプレゼンの場で、S氏は僕を罵倒したのだった。
用意周到に準備をし、担当役員にも根回し済であったにもかかわらず。
僕のメンツは丸潰れとなった。

僕のS氏との接点は、後にも先にもその一回限り。本当のS氏がどういう方はわからない。でも、僕はその後もずっとS氏にネガティブイメージを持ち続けることとなった。

たった一回の罵倒がつくる永遠のネガティブイメージ。

僕自身も部下を罵倒した記憶が少なからずある。
おそらく彼ら彼女らには多くのネガティブイメージが残っているのだろう。組織運営で苦労したサラーリマン時代。これも原因の一つに違いない。

今さらどうにもならないが、S氏の訃報があらためて思い出させてくれたのだった。

「伝え方」「叱り方」の何と難しいことか。
どんな相手にも、忍耐とリスペクトをもって接するということだろうか。

部下を持ち、組織を動かす身であれば、よくよく自らに言い聞かせる必要があると、今にして思う。

Sさん、ご冥福をお祈りいたします。



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