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「出世するには、サラリーマンかくあるべき」 サラリーマンあれこれ#5

サラリーマンを引退し、FIRE専業主夫になって3カ月。38年間のサラリーマン生活を振り返ると、今更ながらにはっきり見えてくることがある。

「昇進・出世する人、しない人」の差異。
もちろん、両者ともに普通にまじめにサラリーマン生活を送っているにも関わらずにだ。

そもそも、何をもって昇進・出世と言うかは人それぞれ。ほんとは、自分が納得した仕事ができていれば、どんな肩書であろうと関係ないはずだが…

でも、肩書には給与が紐づいている。より多くの収入を得るには肩書が必要だし、やっぱり世間体というのもある。

主任・課長・部長と昇進するたびに得られるマニュアル車のシフトアップの如きに上がっていく給与は、簡単には諦めきれないのだ。

元旦に届いた年賀状の中に、懐かしい元部下のA君からの一枚があった。

「新年あけましておめでとうございます。今年から〇〇部を担当することになりました。」

どうやら部長職に昇進したらしい。まだ40代前半、この会社ではかなり早い昇進。新年早々のめでたい話でうれしくなる。

確かに、昔から優秀なヤツだった。営業成績も良かった。

A君は、とにかく人を巻き込むのが上手だった。
案件があれば、すぐに関連部門を集めてプロジェクトを組む。
あーだこーだとミーティングを重ねながら、絶妙にメンバーに仕事を割り振っていく。

さらに上司の僕もグルグル巻きで巻き込んでいく。
客先に連れて行かれて会社としての約束をさせられ、社内からは営業支援金の調達をやらされ、役員へは経過報告をお願いされ。

万一の案件対応失敗時には、僕の責任になるべくリスクヘッジが効いていた。さすが抜け目がない。

ある日、そんな優秀なA君のことを、営業事務を担当するD君が何気ない会話の中でポロっと僕に漏らしたことがあった。

「Aさんは、人使いが荒いですからね。なんでもかんでも周りに仕事を振って、そりゃ成績も上がりますよ」「それに比べて、Bさんなんか事務処理も契約関係も全部一人で頑張って、完璧ですよ」

D君は、圧倒的にB君を高く評価し、A君への評価は散々だった。

なんでも全部自分でこなすB君。そんなB君を高く評価するD君。
B君もD君も、頑張ってるのに出世に恵まれない典型的な構図だ。

会社と言う組織に属していながら、組織で仕事をすることを理解できていない。仕事を他者に振るのは良くないことと決めつけている。

なるほど、B君が日ごろ忙しい忙しいと言うのも頷ける。

うちの会社には、真面目で優秀な人が多かった。
でも、その真面目さと優秀さがゆえに、仕事を抱え込み、属人的な対応に終始してしまう人がなんと多いことか。

きわめて残念な気がする。

昇進とは、組織を任されること。
組織に属するヒト•モノ•カネを動かして、より大きな成果を出すこと。

人を動かせるA君が評価され、部長へと昇進したのは当然のこと。

今や年功序列はとっくに崩壊し、能力ある人を大胆に引き上げる時代だ。

A君の部長昇進は決して早いわけではなく、むしろ遅すぎるのかもしれない、と思った。







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