「超えられない」　「イライラする」

　言わずもがな「Shuffle」の冒頭歌詞だが、自分にとっては因縁のある歌詞だ。今回は奥井雅美さんのライブに参加し、因縁を乗り越えた日記を書いていく。

発端

　バトルシティ編のOPテーマで映像も歌詞も印象に残り幼少期から「Shuffle」が好きだった。バトルシティの設定、新たに登場した神のカードに心躍らせ、カードを引くことを見えない未来と重ねた歌詞は勇気をくれた。
　それから月日が経ち悲劇が起きたのは仕事の初海外出張時、国内線の乗り継ぎ時に空港でパスポートを紛失した。客のアテンドが終わり気が抜けた瞬間だったとはいえパニックになり、発見される可能性にかけたが見つからず現地人に助けてもらい何とか帰国した。無事出国できたものの、イミグレで別室に連行され詰められたりと苦い思い出になった。そんなパスポート紛失時に聞いていたのが「Shuffle」だった。

ライブ参加まで

　その後もナンダカンダで曲を聴けなくなるまではいかないものの、少し尾を引く感覚が残っていた。そんな折！（バクシンガー要素）ブシロード15周年祭で（おそらく）初めて奥井雅美さんソロの歌唱を聴く機会があった。ベルーナドームを1人で支配するパフォーマンスに感動し、「これはShuffle聴きにいかないと後悔するのでは」と思うようになった。同年訃報が多く、「いつ何が起こるか分からない」と考えていた所もありソロライブ参加を決めた。せっかく行くならVIPチケットだ。

『奥井雅美 30th Anniversary Live 2023 EVE ~一夜限りのBirth Live』

　会場はオシャレな日本橋の百貨店？内にあるホール、年齢層は流石に高かったが女性も多かった。約1万ちょっとかけて「Shuffle」を聴きに来たわけだがセットリストとして以下の可能性が考えられた（突然のDJ仕草）
1.1曲目
2.本編最後
3.アンコール一発目
4.全体のトリ
　1曲目に来ると感情の頂点がそこになってしまうので避けたかったが結果的に自分にとっても感情が乗るセットリストだった、歴代有償参加した中で最も知らない曲を聞いたライブだったかもしれないが歌唱力で十分楽しめた。

　結果的に舞台版スタァライトが一段落したタイミングで「輪舞-revolution」を聴くことになったのも妙にめぐり合わせを感じる。

肝心要の「Shuffle」

　幼少期の思い出からトラウマまで全てがフラッシュバックして号泣するかと思ったが意外とそうはならなかった。バンドも含めたパフォーマンスに圧倒され、身体が高揚し、一瞬で終わった。
　最近情報が溢れる環境に辟易してあえて情報を入れずに作品を楽しもうとしていたが「見えない明日だからこそワクワクできるんだと嗚呼気づいた」って歌詞が幼少期から心に染み込んでいたのかもしれない。
　矢吹さんや大月さんも登場し、奥井さんの歴史を振り返ったりと今まで見てこなかったアニソン史の一遍に触れられた気がした。アウェーな環境だったけど楽しめた。

　最後のお見送り会と言う名のほぼ剥がし無しロングお渡し会で聴きに来た経緯を少し話したところ、奥井さんから「先生も亡くなられたから、より大切に歌っていきたい」と言われて少し悲しくともとても嬉しかった。今回は聴けなかった「あの日の午後」もいつか聴きたい。