色のついたお金

補助金で国からもらうお金は、色のついたお金、という言い方をする。
いろいろと制限や制約のあるお金という意味で、それは税金だから当然といえば当然なのだけど、もらうのもつかうのもとにかくえらく苦労する。

まず申請が一苦労。あれこれ申請条件がある。すべてクリアしないともらえない(ここに誘導が発生する)。
そしてもらえることがわかってから送金されるまでの間には、そうとうタイムラグがある(場合によっては年度末に後払い)。
計画変更は基本認められない。その計画だから承認されたのであって、変わるなら変更届によって再度承認されなければならないという理屈。計画が法になるわけだ。
ものを買うときも、さっと自由になど買えない。すべて見積もり合わせで買わねばならないし、証憑書類は意思決定を含め一連の流れがすべてが分かるように全部とっておかねばならない。備品系は資産になるから買うことにいい顔しない。買えるもの払えるものに細かい制約がある。いくらまで、とか、これは買ってはだめ、とか、これは払えない、とか。
どこのなんの補助金かによってルールが結構違う。経理報告もひときわ細かくて面倒。文具一つ買うにも証拠書類が何枚もいる。書類の提出方法、紙の順番、綴じ方、インデックスの付け方まで事細かな指定がある。

なんでそうなっているかというと、結局は、全部、証拠のためだ。国民からどう使ったか証明しろって言われたら、いつでも即時ちゃんとこの通りですよと証明できるように整えるため。税金だと、そうなる。がちがちに固まった、色付きのお金になる。そういうお金は、砂糖というより、鍋にへばりついたべっ甲あめみたいなもの。舐めるのも片すのも一苦労。

だから、実のところ、補助金はあまり取りたくなかったりする。もらえる金額だけ見れば、入るのだからありがたいって思うけれど、それと引き換えに差し出す時間と手間と書類と、誘導により整えなければならない制度のもろもろを考えると、事務的にはそんなに嬉しくない。それが仕事だ文句言うなといわれればそうなんだけど、証明のための書類作りって、いろいろ消耗するんだよ。時間とられるんだよ。やりたいこと必要なことってそれだっけ?ってなるんだよ。

正直に言うと、自由に使ってね、というのが一番ありがたい。だから、税金をもらうより、寄附をもらったほうが、嬉しい。使いやすい。早く動ける。寄附は、色がほとんどないから。
それは大学や研究者だけじゃなくて、NPOとか起業したい人とか自治体とか、いままで補助金に頼ってきたところはどこも同じ気持ちじゃないかと思う。
お金もらえるのはありがたい。補助金は税金だからちゃんと使わなきゃいけない。それは分かる。分かるんだけど、つらい。できれば寄附がほしい。
だから、いろんなところで、寄附もらいたくて頑張ってるわけだ。ふるさと納税とか、クラウドファンディングとか。

でもそれって、税金の敗北のようにも思える。

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